やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

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【感想】ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラ・アイ」

師走に突入しましたね。ARAIです。

さて、今回は「セブン」で現存する話数で単純換算すると第3クールのラストに当たるエピソードになります。

それでは今日もいきましょう。「セブン4K」第37話です。

 

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラ・アイ」

他人の星 ~分かれた「命の使い方」~

何とも言えない余韻に包まれるお話。

第33話同様にスーツの怪獣や宇宙人が登場しないお話なんですが、それを補って余りあるほどのドラマを見せてくれました。第33話がホラー的演出で魅せてくれたのするなら、今回はシナリオで魅せてくれた印象です。

 

地球を「狂った星」と評しておきながら、同胞であるマヤを見捨てて恒星間弾道ミサイルを発射するマゼラン星。「狂って」いるのは果たして、地球なのか、マゼラン星なのか。

しかし、地球は地球で超兵器観測ロケットの前例があります。マゼラン星を一方的に「狂っている」と一笑に付すことは決してできないでしょう。

 

また、ダンとマヤの「命の使い方」の対比も非常に興味深いものがあります。

地球という「他人の星」を命がけで護り、戦い続けるダン=セブンと、マゼラン星という「自分の星」に見捨てられ、「他人の星」で生きることを放棄したマヤ。「生きる」とは、すなわち命をどう使うか。その「命の使い方」をめぐり、同じ宇宙人でありながら、地球という「他人の星」を舞台にした2人の選択は、まったく正反対のものでした。

 

ダンにウルトラ・アイを返し、母星からの任務を放棄した=母星に反旗を翻したマヤが、なぜダンと共に地球で生きようと決心しなかったのか。いや、できなかったのか。

熱い想いと言葉をもってマヤを説得しようとしたダンが、なぜマヤが自死を選択したことを理解できなかったのか。

この辺りから、今回のエピソードに込められたメッセージ性のようなものが見えてくるような気がしますね。

 

ちなみに、今回のサブタイトルは脚本段階では「他人の星」だったようです。個人的には「盗まれたウルトラ・アイ」よりは「他人の星」の方が良かったかも。

 

今回のエピソードをして、「セブン」エピソードの中の「名作」と呼ぶ方もいらっしゃるようです。

たしかに、今回のお話は時代背景だったり、予算都合だったり、制作当時の色々な状況が絶妙に組み合わさってこそできたものなのだろうと思います。近年のウルトラシリーズでは、今回と同じようなお話を作ろうと思ってもなかなか作れないかもしれませんね。

 

正気の星の使者 ~マゼラン星人~

登場したのはマゼラン星人マヤ。宇宙人に固有名詞がつくのは近年のニュージェネシリーズではすっかりお馴染みですが、当時のウルトラシリーズではまだまだ珍しい方ですよね。ちなみに、「マヤ」という名称自体は、本編では一切登場していません。

 

地球を「狂った星」とし、恒星間弾道ミサイルで破壊しようとしたマゼラン星から送り込まれた、少女の姿をした工作員です。テレパシーはもちろん、ダンプカーの運転に機関銃の操作まで会得しており、加えておそらく何らかの洗脳、あるいは催眠術のようなもので地球人を自在に操ることもできます。

 

宇宙船から地球へ侵入した後、ダンからウルトラ・アイを奪取し母星への帰還を要請するも、無視され続け、自身が母星に見捨てられたことを知ります。

最終的にはダンにウルトラ・アイを返すも、「地球で一緒に生きよう」という彼の説得を聞かず自死「セブン」屈指の哀しい最期を遂げた宇宙人となりました。

 

冒頭の醒めた表情、中盤にかけての若干の不信感を覚えつつも淡々と振る舞う表情、そして最後、すべてを知った時の哀しい「目」と、演じた吉田ゆりさん(現・香野百合子さん)の表情と目の演技が堪らなく魅力的でしたね。

 

さて、「セブン」に登場する多くの宇宙人の例に漏れず描写が少なかった今回のマゼラン星。

本編でのミサイルの描写から、おそらく相当に高度な科学力と技術力を持っているものと思われます。何せ、宇宙ステーションV2の攻撃にも、ウルトラホーク1号2号の攻撃にもびくともせず、加えてV2を突き破り破壊するほどの巨大さを誇るミサイルを開発できるわけですから、少なくとも地球文明以上のレベルと見て間違いないと思います。

しかしその科学力がある意味で裏目に出たのか、破壊が不可能であったとしても、内部からの操作による方向転換というかたちで地球破壊は失敗に終わることとなりました。

造ったのは自分たちですから、何らかの制御方法は持っているでしょうし、あれでそのまま自滅したということもないでしょうが。

果たして、また「狂った星」という烙印とともに地球を襲来する日は来るのでしょうか…。

 

今回のウルトラ警備隊 ~アマギ隊員とフルハシ隊員が心配~

今回のウルトラ警備隊は、何というか、少しアラが目立っていた印象です。

まず冒頭のアマギ隊員。一体どうしたというんでしょう、ソガ隊員に向かって声を荒げるわウスノロと呼ぶわ、虫の居所が悪かったなんてレベルじゃあ説明できないほどの荒れっぷり。

個人的にはアマギ隊員は優しくソフトな印象があったのでこのシーンは意外でしたね。もしかしたら、このやり取りの前にソガ隊員から何かしらをからかわれたりしたのかもしれませんね。

 

そしてフルハシ隊員。まあアマギ隊員も含めてなんですけど、未確認飛行物体をキャッチした現場で、しかも夜で、マヤみたいな少女がダンプカーを運転している時点で不審に思いなさいよ…。前にも似たようなことがあったというのに…。

 

展開上仕方のないこととはいえ、ダンもあのキリヤマ隊長の命令を無視したかたちになってるし、ミサイルの迎撃も結局はできなかったですし、今回は総じてウルトラ警備隊の見せ場は少なかったかもしれませんね。あ、でもダンにフォローを入れるソガ隊員は良かったですね。

 

あと細…かくはないですが、第32話でたしか名前だけ登場していた宇宙ステーションV2が初登場しましたね。登場したと思ったらミサイルで破壊されてしまいましたが…。

 

ミサイルの軌道を変える ~真紅のエージェント~

マヤにウルトラ・アイを返してもらいながら、というなかなかに印象的な変身シーンとなった今回。状況が状況だけに、戦闘らしい戦闘はなし。

 

マゼラン星から発射された恒星間弾道ミサイルを迎撃すべく宇宙へ向かいますが、さすがのセブンも破壊するには手間取る大きさだったのか、迎撃をあきらめ、内部からの軌道変更を試みました。

宇宙空間で、かつ異星人が放ったミサイルということでセブンの姿のまま活動するわけですが、セブンがあれこれと機械をいじくっているシーンは画的には少し面白かったですね。ただそれでもあまり違和感がないのが、真紅のエージェントたる所以でしょうか。

 

その他 ~次回に向けて~

さあ、いよいよ第4クールの幕開けになりますね。個人的には第4クールの真の幕開けと言えば「あの」宇宙人なんですが、次回はとりあえず、第4クールの肩慣らし、ウォーミングアップといったところでしょうか。

 

次回は第38話「勇気ある戦い」です。

 

それではまた。