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【感想】ウルトラセブン 第26話「超兵器R1号」

10日ぶりの更新です。ARAIです。

先週はバタバタと急用が入り更新ができませんでしたが、ボチボチ落ち着いてきたのでまた感想を再開していきますよ。

 

それではいきましょう。「セブン4K」第26話です。

 

ウルトラセブン 第26話「超兵器R1号」

悲しいマラソンの出発点 ~「セブン」で紡がれてきたもの~

「セブン」屈指の名言である「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」が登場するお話。「地球防衛」や「平和」という名目で、人類が強大過ぎる「力」を手にし、それを発端に悲しくも恐ろしい事件が起きてしまいます。

 

後のウルトラシリーズでも似たようなお話は多く見られるわけですが、私の世代である平成だけでも「ダイナ」のプロメテウス(→デスフェイサー)やテラノイド(→ゼルガノイド)、「ギンガ」のビクトリウム・キャノン(→ビクトルギエル)、令和になってからでも「Z」のウルトロイドゼロ(→デストルドス)が近い例として挙げられますかね。

 

 

まあこの手の題材は「ありがち」と言えばそれまでなのかもしれませんが、それだけ「人類が選ぶ可能性の高い未来」もしくは「多くの人類がそう望むだろう」という社会や世界の流れ、風潮、傾向を表しているのかもしれません。そして時代こそ変われど、その社会や世界の流れ、風潮、傾向というものはあまり変わっていないということなのでしょう。

 

今回のお話はまさにその原点。「ウルトラシリーズにおける“悲しいマラソン”の出発点」とも言えるのかもしれません。

 

そんな「セブン」第3クール最初のエピソードは、「“悲しいマラソン”の出発点」でもあり、また同時に第1クール、第2クールとこれまでの「セブン」で紡がれてきた要素と物語の、ある種の到達点とも言える展開になりました。

 

第6話「ダーク・ゾーン」で描かれた「地球人もまた宇宙の“侵略者”あるいは“破壊者”になり得る宇宙人である」という考え方、そして第14話第16話で描かれた「地球の観測用ロケットを侵略行為とみなし宇宙人が報復に来た」という事実。これらの要素が大いなる伏線となり今、「“侵略者”としての地球人」が完成しようとしています。

幸いにもタケナカ参謀をはじめとした、決して少なくないであろう数の人類が、さらなる超兵器開発を中断するよう考えを改めましたが、「地球人がギエロン星を滅ぼした」事実が消えることはありません。その事実をペダン星人が、アンノンが、他の数多の宇宙人が知ったら、地球に何を思い、何をもたらすのか。

 

少なくとも「平和」ではない、ということだけはたしかでしょうね。

 

悲しい使者 ~再生怪獣~

登場したのは再生怪獣ギエロン星獣

生物のいないとされたギエロン星の出身で、超兵器R1号の放射能を受け変異を起こした生命体です。

 

クチバシや翼のような両腕を持ち、生物的には鳥に似た姿をしていますが、肩書はあくまで「星“獣”」。「鳥」として扱われたのは後年の「ジード」が初でしたかね。

 

破壊されたギエロン星から真っすぐに地球へ飛来。

一度はウルトラ警備隊の攻撃を受け死亡したかに思われましたが、恐るべき生命力と再生力でわずか一晩で再生・復活し、再度人類の前に立ちはだかります。

 

その後、セブンと対峙しますが、大きな隕石を容易く破壊できるその頑強な頭部と両腕はアイスラッガーをものともせず、両腕から繰り出す輪状光線は、被弾したセブンを見るに相当な威力を誇る様子。

口から吐く放射能の灰と合わせセブンをかなり苦しめますが、近接戦で右腕をもがれた後、最期はアイスラッガーで直で喉元を斬られ死亡。その出自からは凡そ考えられない、静かで安らかな死に際が印象的でした。

 

人類が「力」として生み出したもの自体に加えて、そこへさらに侵略者=第三者の悪意が介在した上述のデスフェイサーやゼルガノイドらと異なり、人類の直接的な過失100%で生まれた怪獣と言えるこのギエロン星獣

地球襲来の目的は明確に語られてはおらず、また、セブンとの戦闘後にはなぜか再生しなかったなど、実はかなりの疑問や謎が残る怪獣なんですよね。

 

まあ個人的には、地球に来た目的は復讐で、セブンをあそこまで追い詰めたのはその復讐心と怨みに起因する力、そして人類とセブンの心に自らの怨みとこの悲しい出来事を伝えることができたために死亡したと、自分なりにはそう解釈しています。

解釈してはいますが、なんというか、今回のお話としてはあまりそこまで多くのツッコミを入れつつ、すべてのことに理由を付ける必要はないのかなとも思ったり。

 

一つ言えることは、人類がR1号を開発し、使用していなければ、このギエロン星獣が地球に来ることはなかったし、生まれることもなかっただろうということだけですかね。

 

悲しいランナーたち ~「力」を行使する者~

さて、今回のウルトラ警備隊。

基本的には、ダンを除く全員が超兵器R1号を肯定的に捉え、且つ現れたギエロン星獣へ爆撃を加えるなど全編を通じて一貫して「“力”を行使する」側として描かれています。

故に、今回はライドメカの特撮パート以外は実はそんなに見どころはなかったりします。

 

細かいところでは、ダンの異変にいち早く気付くアンヌ隊員と、ダンとの真剣なやり取りを見せたフルハシ隊員ですかね。

特にフルハシ隊員は、ただ頭ごなしにダンを否定していたりとか、ダンのきれいごとにうんざりしていたりとか、そんな感じではなさそう。感情的になって発言をしていたわけではなく、自分なりにしっかりと「人類」と「地球」のことを考えた結果、R1号に賛成しているような。それはきっと前々回に登場した家族も関係しているかとは思われますが、ただの強硬派、過激派ではないといった感じが上手く伝わってきましたね。

 

あとは上述の通り、後半のホーク1号3号との連携によるギエロン星獣戦は見応えのある特撮に仕上がっていました。

 

ホーク「2号」問題や「ミサイル」問題など、こっちでもけっこうツッコミどころはあったりするんですが、こればっかりはミスだろうと思っています。脚本と特撮の連携が取れていなかったのかなと思ったり。

 

悲しい戦い ~舞い散る羽、黄金の血潮~

今回の戦闘パートは見応えがありました。「セブン」の中でも上位に来るのではないでしょうか。特に、随所に映り込む花々と河川、太陽、舞い散る羽に黄金の血潮、蒼穹の下のセブンなど、画的な美しさがあちらこちらに見られました。

 

登場するや肉薄するセブンに、すかさず灰と目くらましを仕掛けるギエロン星獣。素早く目くらましを回避したセブンが空中からアイスラッガー。続けて計4回に渡り連続でアイスラッガーを繰り出すも、ギエロン星獣はことごとくそれを無力化。

近接戦では有利に戦いを進めるセブンでしたが、ギエロン星獣の灰で距離を取られ、輪状光線を右腕に受けてしまいます。そのダメージは相当なものだったのでしょう、珍しくセブンが苦悶の声を上げていました。しばらく患部を押さえていましたし、その後も右腕を庇うような様子も見せていましたね。

太陽光のエネルギーを受けた後は、ギエロン星獣の右腕を引きちぎり圧倒。喉元をアイスラッガーで直に切り裂きなんとか勝利を収めました。

 

作中の描写から、今回の戦闘はやはり相当に消耗したようでしたが、苦しみ、息も絶え絶えといったあの様子の原因は、おそらくは右腕の痛みだけではない筈です。

 

この悲しい戦いを終え、蒼穹の下で佇む真紅のファイターは、一体何を想っていたのでしょうか。

 

その他 ~次回に向けて~

次回のアイツのデザインがけっこう好きなんですよね、子供の頃から。

ドラマパートを含めてちゃんと全編見るのはほとんど初めてな状態かもしれません。

 

次回は第27話「サイボーグ作戦」です。

 

それではまた。

 

 

超兵器R1号

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