やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

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【感想】ウルトラセブン 第32話「散歩する惑星」

10月も終わろうとしていますね。ARAIです。

いつもであれば「年末が近いなぁ」と思う程度なんですが、今年に関しては「10月の終わり」というのがまた別の意味を持ってきます。

まあそれについてはまた別の機会に。

 

それでは今日もいきましょう。「セブン4K」第32話です。

 

ウルトラセブン 第32話「散歩する惑星

ロマンのある奇妙 ~疑問と不安が与えてくれる満足感~

迫る謎の島、断たれた通信、無人の基地、明かされない真相など、SFとミステリーの要素を程よく詰め込みつつも仄かな余韻を与えてくれるお話。クライマックスがかなり駆け足気味(というか尺不足かな?)となってしまった感はありますが、第3クールの中でも特に好きなエピソードになりました。

 

ステロイドベルトや宇宙ステーションV2など初っ端からSF感を全開。「散歩する惑星」こと迫るその「島」は、まるで空間Xを思わせる謎と奇妙に満ちた世界観。漂う霧、生物の気配を感じない岩肌、明らかに不自然な建造物、しかし、その中は無人

こういう世界観が本当に大好きなんですよねぇ。ロマンのある奇妙さと言うのか…。

 

さらに今回は、「島」の出自と正体、あるいはそもそもの目的など、最終的な真相が明らかにされないまま、物語は幕を閉じています。尺の都合なのかもしれませんが、結局はすべてが明らかにされないまま終わるという展開。最高ですね。

「あれって何だったの?」という疑問。「もしかしたらまた同じようなことが起こるのでは?」という不安。ある意味ではリアリティのある、またある意味では想像と考察の余地のある、何とも言えないこの満足感にも似た仄かな余韻。これが大好きなんです。

 

ただの描写不足や説明不足、間延びなどのある作品では決して味わうことのできない何とも言えないこの余韻は、ただただ「謎を残して終わる“だけ”」の作品では得られないもので、すべての要素が絶妙なバランスで合わさってこそ生まれるものだと思っています。

 

そしてそれこそが、「ウルトラセブン」の魅力の一つでもあると。

 

少しだけ話が逸れてしまいました。

まあいずれにしても、今回のお話は大変面白かったということですね。

上に書いた点以外にも、空を飛ぶポインターやアギラの初登場など、細かい部分でも大きい部分でもそれなりに見どころと見応えのあるお話に仕上がっていると思います。

 

以下で、もう少し掘って見ていきましょう。

 

散歩する惑星の住民 ~メカニズム怪獣~

登場したのはメカニズム怪獣リッガー。

赤い眼に緑の体躯。四足歩行に長い尾。どこか恐竜や爬虫類を思わせる、王道と言えば王道な、変化球と言えば変化球な、ザ・怪獣というようなデザインですかね。良い。

(と思ったらスーツは恐竜戦車を改造したものらしいです。なるほど。)

 

見た目は思いっきり生物っぽいんですが、「島」を誘導する「電波」を頭部から発していることからその肩書の通り、どうやらロボット怪獣のようですね。

そういえばアイスラッガーで首を切断された際には体液が流れませんでしたね…。

 

アギラを打ち倒し、セブンともそれなりに渡り合ったことから戦闘力は決して低くはなさそうですが、ずば抜けて強いというわけでもなさそう。

「島」が爆弾であることや頭部から発する電波のことなどを考えるとそもそも対戦闘に特化して造られたわけでもないのでしょうね。どうせ自爆するわけですし。せいぜい何かあった時のための見張り、監視役といった程度の目的で配備されたと思われます。

 

本編では、散歩する惑星(「ディン」という公式名があるらしいです)内に突如として出現し、ウルトラホーク1号を破壊。ダン、フルハシ隊員、アマギ隊員を追い詰めました。

上に書いた通り、現れたアギラを破り、セブンとも善戦しますがアイスラッガーで首を切断されあえなく敗北。頭部はセブンによって「島」の誘導に利用され、おそらくは「島」もろともに爆発したものと思われます。

 

そしてついに、作中においてこの「島」とリッガーを差し向けた者の存在が明らかにされることはありませんでした。

地球防衛軍の凡そすべての機能を麻痺させ、加えてウルトラアイの使用も封じることのできるほどに強力な電波を操ることのできるその技術力と文明力。決して見過ごすことのできない大きな脅威になり得る筈ですが、果たして…。

 

極東基地の危機、再び ~断たれた「目」と「耳」~

シナリオ展開の都合か演出によるものか、あまり目立ってはいないように思いますが、今回のウルトラ警備隊、いえ、地球防衛軍に関してはかなりの危機に陥っていました。

 

何せ「島」からの電波で通信機器が軒並み使用不可。「目」と「耳」が断たれた状態にされ、さらには管制機器系統も使用不能になったのでしょう、ウルトラホークまでも離陸できない状態にまで追い詰められていました。

地対空ミサイルのキリーが動作し、ポインターも発進できていたことから、基地のすべてが機能停止したわけではなさそうなので、ある程度の防衛や作戦展開は可能だったでしょうが。まあ零下で閉ざされた時よりはまだマシか…。

 

しかしあのままいけばダン、フルハシ隊員、アマギ隊員というウルトラ警備隊の半数が殉職する事態になっていたわけですから、やはり相当な危機だったことは否めません。

 

状況が状況だっただけに、目立った活躍はありませんでしたが、肉体派のフルハシ隊員や技術屋なアマギ隊員など、各隊員の個性はきちんと分けて描写できていましたね。自然で良い感じ。

 

散歩する惑星の戦い ~ついに登場、鈍色の角獣~

今回のお話でついに3体目のカプセル怪獣であるアギラが登場しました。

やや朱色がかった鈍色の体躯に襟巻、そして印象的な一本角を持つ本編ではやや不遇な個体です。近年では随分フォローされてきているようですけどね。

 

電波の影響で変身できないダンに代わり、散歩する惑星を舞台にリッガーに挑みます。

軽快なフットワークで積極的なファイトスタイルで善戦しましたが、リッガーの強靭な尻尾攻撃に徐々に追い詰められグロッキー。ダンが気を失っていたため想定外の長期戦になってしまったかもしれませんが、しっかりと役割を果たしてくれました。

 

本丸である真紅のファイターは満を持して登場。

全長60mとやや大柄なリッガー相手に果敢に近接戦闘を展開。相手が飛び道具を使わない手合いなため、今回は専ら格闘戦を見せてくれましたね。ダイナミックな戦いは一見の価値あり。

 

格闘がもつれたり腕に噛みつかれたりとやや苦戦する描写はあったものの、どのシーンにおいても冷静に対処している印象でした。

最終的には落ち着いて体勢を立て直しアイスラッガーを一閃。ビームランプが点滅することもなく、「島」共々撃破し事態を収拾させました。

 

その他 ~次回に向けて~

次回は、おぉ…、作中随一のホラー編じゃなかったですかね。

 

第33話「侵略する死者たち」です。

 

それではまた。

 

 

散歩する惑星

散歩する惑星

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