やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

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【感想】ウルトラセブン 第39話「セブン暗殺計画 前篇」

すっかり寒くなりましたね。ARAIです。

この季節はいつも足先が冷えるから辛いんですよねぇ…。冬という季節自体は好きなんですが。

 

さて、それでは今日もいきましょうか。「セブン4K」第39話です。

 

ウルトラセブン 第39話「セブン暗殺計画 前篇」

最終第4クール、真の幕開け ~ガッツ星人初登場~

近年のニュージェネシリーズでもバリバリ活躍している、かの有名なガッツ星人が初登場するお話です。

冒頭いきなりセピア調演出の戦闘から始まり、随所に挿入されるガッツ星人の分析。セブンの地球での姿まで把握していることまで触れられるなど、のっけからほとばしる「コイツは只者じゃない」感。

序盤での遊園地の賑やかなシーンが逆に不気味に思えるほどに、見ている側としてもひしひしと、これから起こるであろう不吉な何かを感じ取ってしまいます。

 

今回のお話自体の目玉としてはもちろん、サブタイトルにもなっているようにセブンが暗殺…暗殺…、暗殺?、あれを暗殺というのか?、もとい、セブンが敗れてしまうという点が、今回のお話の最大の目玉なわけですが、それ以外でも、いつものようにお調子者なフルハシ隊員を中心としたウルトラ警備隊のワチャワチャとしたシーンや、逃げない覚悟を決めるアンヌ隊員、ウインダムの登場と敗北など、全編を通して見どころばかり。

 

前回でややスタートダッシュ不足気味だった感のある第4クールの幕開けを、補って余りある勢いで盛り上げてくれています。というか、今回のお話を第4クールの一発目と捉えても良いかもしれませんね。このブログ、ひいては私個人としては現存する全48話を単純に4で割った12話ずつを1クールの基準としているので、一応は前回が第4クールのスタートとしていたんですけども。

ちなみに、制作話数的には今回のお話は第38話に相当するとのことなので、制作当初の話数で考えると、第3クールのクライマックスを飾るエピソードだったわけですかね。

どちらにしてもおいしいポジションです。まあそれに相応しい仕上がりになっているわけですが。

 

さて、それでは以下でまた、それぞれ詳しく見ていきましょうか。

 

真紅への挑戦者 ~豪力怪獣と分身宇宙人~

登場したのは豪力怪獣アロンと分身宇宙人ガッツ星人

前者、豪力怪獣アロン。ガッツ星人がセブンの戦闘力を分析するために送り込んだ走狗怪獣で、その立ち位置的に、作中においては出現経緯やウルトラ警備隊から見た印象などは一切描かれていません。

 

また、本編の演出により本来のボディカラーも描写されていないなど、いまいちパッとしない、名実ともに前座扱いの地味な怪獣なわけですが、あのセブンを相手に、エメリウム光線のみならず透視能力とアイスラッガーをも使わせ、ビームランプを点滅させるまでに追い詰めた(あるいは戦闘を長引かせた)ことから相当に厄介な怪獣だったことは想像に難くないですね。

 

最終的にはアイスラッガーで頭部を切断され敗北・死亡するわけですが、元々はセブンの戦闘力を分析するためだけに送り込まれた存在のようなので、その役割はしっかりきっちり果たしたと言えるでしょう。

 

何気にデザイン自体はけっこう好きだったりします。シンプルなようでいて、地味に凝ったデザインのような。リッガーとはまた違うザ・怪獣感があるような。

翼もあるので、もしかしたセブンと空中戦を繰り広げたりもしたのかもしれませんね。ガッツ星人も飛行能力に言及していましたし。

 

さて、そんなガッツ星人。分身宇宙人の肩書を持つ今回のメインボスなわけですが、セブンに一度は完全勝利を収めたことから、ウルトラシリーズ全体を通しても強豪宇宙人としての分類されることも多いようですね。個人的には後年「ギンガS」に登場したボルストが印象的だったりします。

 

ヒヨコのような、オウムのような、なんとなく鳥を彷彿とさせるやや大きめの頭部と、棒立ちでありながらもせわしなく両手をブラブラとさせる動作がなんとも言えない不気味さと底知れなさを醸し出しています。

「いかなる戦いにも負けたことのない無敵のガッツ星人」を自称し、地球の守護者たるセブンに真っ向からの正面対決を仕掛けます。(「暗殺」とは…?)

 

而してその実力は本物。自らが登場するまでもなく、宇宙船を駆り、立ちはだかるウインダムを一撃で撃破。

その後、ようやく対峙したセブンを用意周到な分析と戦略により終始圧倒。アイスラッガーエメリウム光線、ワイドショットなどセブンの繰り出す技をテレポートや分身能力でことごとく無効化していき、セブンをエネルギー切れに追い込みます。数撃の物理攻撃の後、両サイドから挟み撃ちのかたちで怪光線を放ち、セブンを磔状態にし、見事勝利を収めました。

 

「無敵」を自称するだけあって、やはり強いです。まあ次回ではなかなかに無様な姿を晒すことになってしまうんですけれども、それでもあの真紅のファイターたるセブンを一度は完全に撃破したことは大いに刮目に値するでしょう。

 

しかしこうして見ると、後年のボルストと近しい部分もあるように思いますね。「脳筋」だなどといじられたりもしていますが、自身を「宇宙最強」と謳う辺り、なんとなく、ああ、同族だなと感じる自分がいました。

 

風来坊を想う ~人類の危機と仲間の危機~

今回のウルトラ警備隊は内容が内容だけに、いまいち活躍は少なめ。まあ今回は「やられる回」なわけですから、本格的な活躍は次回に持ち越し、といったところですか。

 

フルハシ隊員のプライベートが垣間見えた序盤のワチャワチャシーンは一見の価値ありですね。まあ次回の伏線なわけなんですが、それでもやはり、チームの面々が和気あいあいとしているシーンを見られるのは嬉しい限りです。はしゃいでいるアンヌ隊員がかわいらしい。

あと個人的には、この序盤のシーンでのキリヤマ隊長が印象的ですね。ダンをおびき寄せようとするガッツ星人の偽装通報に振り回された挙句、やや捨て鉢になっていたフルハシ隊員へ放った「たとえ1000回の通報が1000回ともウソでも、出動するのがウルトラ警備隊の義務」という言葉。地球を護る者としての矜持と使命が見て取れる言葉ですよね。このピシッとした感じがキリヤマ隊長なんだよなぁ。その後すかさず「軽薄でした」と反省するフルハシ隊員も良い。(いやまあ当たり前のことなんですけど。)

 

あとはやはり注目すべきはアンヌ隊員ですかね。

「ダメダメ」と自身に言い聞かせながら決死にガッツ星人へ立ち向かおうとする姿は、これまでの彼女のスタンスとは明らかに異なるもの。ウルトラ警備隊としてそんなで大丈夫かと、呆れ半分心配半分になる言動が多い印象だったアンヌ隊員ですが、ここ第4クールに来て成長が見られますね。

クラーコフで立派に任務を果たし、クライマックスで見事にディゴンを撃ち抜いた時のマイを見たような気分というか…。恐怖を自覚しながらも、恐怖に立ち向かう戦士の姿は、いつの時代も心に響くもんですね。リョウ先輩も震えながら戦ってたよなぁ。

 

ガッツ星人との戦いの中で行方不明となったダンを一人心配するアンヌ隊員の姿もかなり印象的でしたね。無論、ウルトラ警備隊の面々もダンを心配していないわけではなかったのでしょうが、本編でも言及されていた通り、「人類の希望の象徴」とも言える「セブン」と、「ウルトラ警備隊の一隊員」に過ぎない「ダン」とでは、やはり比べるまでもないというのが立場上の見解なのでしょう。皆それぞれに、心の内には想うところは多分にあったのでしょうが。

上述のガッツ星人に囲まれたシーンでのダンとのやり取りも含めて、ダンとアンヌ隊員の関係がより深く描かれているシーンでしたね。最終章に向けて、押さえておいた方が良いポイントかもしれません。

 

挑戦者との戦い ~討たれる白銀、敗れる真紅~

今回の戦闘パートは一応、2つに分かれていた、と言えますかね。

モロボシ・ダン」ではなく、あくまで「セブン」に勝利することへ拘るガッツ星人が、ダンへ変身を余儀なくさせる状況を仕向けるわけですが、それを警戒したダンがウインダムを召喚。事態の打開を図ります。

第24話以来の登場となった白銀の眷属ことウインダム。等身大状態のガッツ星人のテレポートと分身に翻弄された後、なんと宇宙船からの攻撃で、しかもたったの一撃で斃れることとなりました。無念…。

しかしながらこれに関しては、さすがに相手が悪過ぎたのだと言わざるを得ないでしょうね。何せ敵は、セブンを分析しまくっているガッツ星人。ウインダムを見て「何だコイツは?」とならずに「相手にならん」と吐き捨てた様子を見るに、おそらくカプセル怪獣の情報も少なからず持っていたのでしょう。迷うことなく額の電子頭脳を狙っていたのもその証拠。正直、これがミクラスでもアギラでも、結果は同じだっただろうなと思います。

 

それにしても今回のウインダム。斃れた際の描写と、今回のお話以降「セブン」では登場しないところを見ると、相当なダメージを負った、あるいは下手したら死亡してしまった可能性もありますね。まあ幸いなことに後年のウルトラシリーズに無事再登場を果たしていることから、今回はあくまで、戦闘不能状態にまでダメージを負ったという認識で良いと思います。今のセブンが使役しているウインダムは二代目、三代目という説は個人的にはあまり好きではありません。

 

そして真打ち、ガッツ星人との戦い。やむを得ない状況だったとは言え、満を持してセブンに変身し、ガッツ星人に挑みます。

開戦早々、短期決戦を狙ったのかアイスラッガーを放つも分離分身で躱されてしまいます。物理攻撃が効かないならばと、エメリウム光線とワイドショットを放ちますが、それらもすべて効果なし。

分身体と本体がたくみに入れ替わっているのでしょう、セブンの光線技も物理技も、そのすべてがガッツ星人には通用せず、確実にエネルギーを消耗していってしまいます。スキをつかれ、怪光線を受けもだえ苦しみ足蹴にされている真紅のファイターの姿は、人類を、視聴者を絶望させるには充分過ぎるもの。

いよいよビームランプも点滅し、2体のガッツ星人からダメ押しの怪光線を受け、磔状態に。

地球を護る我らが真紅のファイターが、ついに敗北を喫することとなりました。

 

この緊張感と焦燥感、そして絶望感は凄いですね。そこまでの激しい特撮であるわけではなく、淡々とした舞台で、淡々とセブンが追い詰められていく。

「セブン」戦闘パートにおける名シーンは数あれど、敗北までの緊張、焦り、そして敗北後の絶望感といった演出においては、今回は屈指の出来栄えなのではないかと思います。

 

その他 ~次回に向けて~

そして次回はリベンジマッチとなるわけですが、さて…。

 

次回は第40話「セブン暗殺計画 後編」です。

 

それではまた。