花粉症歴3年になります。ARAIです。
薬を飲みさえすれば症状が収まるのでまだマシな方なのかなと思いますが、しかしまあどうにも難儀な季節ですね。暖かくなっていくのは嬉しいですけど。
さあ、前回の更新から1か月以上も空いてしまいましたが、張り切っていってみましょうか。今回はいよいよ「ウルトラマンデッカー」劇場版の感想です。
例によってネタバレを含みますので、本編未視聴の方はご注意ください。
再度のご案内になりますが、本編のネタバレを含みますので、閲覧にはくれぐれもご注意ください。
ウルトラマンデッカー 劇場版「ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…」
セカンド・イマジネーション ~ツブイマオリジナル映画 第2弾~
さて、ついに公開されました「ウルトラマンデッカー」劇場版です。
昨年の「ウルトラマントリガー エピソードZ」に引き続きTSUBURAYA IMAGINATION(ツブイマ)オリジナル映画の第2弾として制作され、配給もこれまでのウルトラシリーズでお馴染みの松竹ではなく、バンダイナムコアーツと円谷プロダクションでクレジットされています。
また、本作も「エピソードZ」同様、劇場公開と同日にツブイマで独占配信されていて、ツブイマを利用しさえすれば劇場に行かずとも自宅で最新映画作品を楽しめるという何とも贅沢というか、ありがたいというか―、「見たい」と思う人に優しい公開体制が取られていると思います。
もっとも、それだけ円谷が自社コンテンツとしてのツブイマへ力を入れているということなのかもしれませんが、これもまた「タイガ」までのニュージェネとは異なった新しいウルトラ映画の在り方と言えるかもしれませんね。
コロナ禍を経てからこっち、「Z」の「セブンガーファイト」に「トリガー」の「ナースデッセイ開発秘話」、「デッカー」の「GUTS-SELECT交流記」に「ギャラファイ」にと、ツブイマオリジナル作品をコンスタントに配信しつつ、YouTubeでのボイスドラマやライブ、ショーとの連動など、円谷としても色々と模索しながらなのだろうなと思わせる展開が続いているので、映画のみならず、ウルトラシリーズの在り方という観点からもまた、新しい時代に突入している―あるいは、突入しようとしている―のかもしれません。
そうして考えてみれば、「ニュージェネ"クライマックス"」と銘打たれた「タイガ」劇場版は文字通りニュージェネのクライマックス、一つの区切りだったようにも思います。「Z」以降の作品は差し詰めニュージェネ第2期と言ったところでしょうか。
ちなみに本作の公開は2月23日。
近年のニュージェネ映画が3月公開だったこと(「タイガ」は例外中の例外ですが…)を思うとかなり異例のように思いますが、今年に関しては「グリッドマン ユニバース」が控えているのでそことの兼ね合いがあるのかなと思ったり。
昨年は「シン・ウルトラマン」のヒットもありましたし、現行のTVシリーズ劇場版以外の円谷劇場作品がこうして続けて公開されるというのは何とも嬉しい話ですね。
閑話休題。
本作の監督はTVシリーズでメインを務められた武居正能さんが引き続き担当されています。「エピソードZ」に続いての抜擢になりますが、2年連続で劇場版の監督を担当されるケースってあんまりないんじゃないですかね。ニュージェネ開始以降なら「X」と「オーブ」の田口監督ぐらいかな。
脚本は、TVシリーズでも初期三部作や第一部クライマックスの前後編、最終章三部作などことごとく重要なエピソードを担当された根元歳三さんが担当されています。安心安定の御仁ですね。
主題歌はTVシリーズで前期後期ともにEDを担当された影山ヒロノブさんが担当。本作のために書き下ろした新曲「ソラノカナタヘ」を引っ下げ、晴れて劇場版にも参戦です。
TVシリーズの楽曲を2曲も担当され、さらに劇場版の主題歌まで担当されたアーティストなんて近年ではいらっしゃらなかったんじゃないですかね。けっこうな快挙だと思います。(ボイジャーは規格外過ぎるので例外ですが。)
「カナタトオク」や「ヒカリカナタ」ほどまだ聴き込めてはいませんが、氏の楽曲の例に漏れず、迸るアツさを秘めたキャッチーな一曲に仕上がっています。
個人的なイメージとしては、「カナタトオク」は優しいアツさ、「ヒカリカナタ」は激しいアツさ、「ソラノカナタヘ」は壮大なアツさ、といったところですかね。
聴き込めてはいないと上には書きましたが、すでに心奪われつつあるのは間違いないので、お気に入りの一曲になるのは時間の問題かなと。
ちなみに、ウルトラ映画の主題歌の中でも私の一番のお気に入りは「ティガ&ダイナ」の「SHININ' ON LOVE」です。次点には「R/B」の「ヒカリノキズナ」、そして「8兄弟」の「LIGHT IN YOUR HEART」と続きます。
とまあ、随分とかなり、いつもよりもずっと前置きが長くなってしまいましたが…。
このブログでウルトラ映画の感想を書くのが初めてということもあってか、どうにもいつもより気合いが入っているようですね。こりゃあ饒舌にもなろうもんです。
まあまとまりのない文章はいつものことでしょうが、ここは一つご容赦いただき、引き続きお時間許す限りお付き合いいただければと思います。
さて、それではそろそろ本編の感想といきましょうか
彼方に輝く光の物語、ここに完結
はい、それではここから感想なわけですが…、
いやぁ、良かったです。
とっても良かったですよ。間違いなく最高に楽しませてもらいました。
第一印象としてはホントにもうこんな感じです。
シナリオ、キャラクター、演出、すべてがTVシリーズの流れを踏まえて丁寧に丁寧に展開されていて、繊細かつ堅実な仕上がりになっています。
カナタを含めたGUTS-SELECTの面々のやり取りはTVシリーズで提起された課題や設定をきちんとクリアにした上での台詞や展開になっていましたし、グレースやナイゲル、ノジマらといったいわゆる脇役、ゲストを登場させることでそれぞれのエピソードで広げた作品としての世界観と奥行きをしっかりとキープしてくれているのも好印象です。
物語の中心にゲストキャラであるディナスを据え、主役ウルトラマンであるデッカーが最後の最後まで登場せず、且つようやく登場したと思っても活躍時間は短く、タイプチェンジもDC怪獣もアイテムもなしという、本作単独で見れば相当に挑戦的というか、かなり攻めた構成になっているのは間違いないんですが、さりとて上述の、TVシリーズの流れを踏まえた繊細さと堅実さがそれを打ち消しているというか。
「最終章」と銘打たれた作品に相応しく、きちんと「ウルトラマンデッカー」の物語として着地できているんですよね。少なくとも一つの作品の完結編として視聴者を納得させてくれる。
極めて精密で、非常に完成度の高い作品だと思います。
TVシリーズ25話、特別編3話、スピンオフ5話、そしてこの劇場版を見てはじめて「デッカー」の物語が完結すると感じることのできるような。そんなつくりになっていました。
ゆえに、一つの映画作品としてそれはどうなのかとか、劇場版ありきと捉えられかねないTVシリーズはどうなのかとか、そういった議論に発展しそうな気もするんですが、それに関してここで語るのは止めておきましょう。
少なくとも私は、本作を心から楽しむことができましたし、また、「デッカー」の「最終章」としてこの上なく完成度の高い作品だと思っているわけですから。
さて、それでは例によって以下で色々と詳しく語っていきましょう。
ニュージェネレーション・ネオフロンティアを生きる者たち
カナタ
目の前のことを一つ一つ、をモットーに日々奮闘していました。
デッカーの力を失ったとしても、アスミ カナタとしてできることを全力で取り組んで生きているようですね。
冒頭の後輩への接し方がもうホントに全開って感じで面白いですね。微笑ましいとも言えますが。
というかあなたまだ20歳かそこらでしょ。
本作においてはカナタとしてのドラマは実際あってないようなもので、強いて言うなら今後の目標、というか将来の夢をどうしようか決めかねている程度。
大きな戦いと苦悩を乗り越え、主人公として、あるいはヒーローとして一定の完成形に成長しているような印象を受けました。
まあウルトラマンの力を失っているからという点も大きいとは思いますが、ウルトラマンとしての葛藤や戦う理由、護ることの重圧、失う恐怖など、おおよそこれまでのニュージェネ主人公が抱いていたネガティブな側面をほとんど持っていない、すなわちニュージェネ劇場版時点においては、トップクラスに完成された状態の主人公なのではと思えるほどです。
まあ本人は全然自覚ないんでしょうが、漂う風格はヒカルやガイさんに匹敵しそうですよ。大地もけっこうサバサバしてたかな。
今回キーとなったのはやはりディナスとの邂逅でしょう。
デッカーと同じ(と思われる)ダイナ由来の光を持ち、誰かにとっての大切なものを護るために命を賭すその姿勢は、デッカーとしての経験やアガムスとの衝突を経たカナタに相当な刺激と共感をもたらしたのだと思います。
あと見逃せないのはイチカとソウマとのやり取り。
TVシリーズから変わらない3人の関係性を見せてくれますが、ギベルス出現後の別荘でのやり取りはその関係性を語る上でまたしても外せないものになりましたね。
意図せずソウマを追い詰めてしまったことをイチカに諭され、正面切って頭を下げる。
カナタの主張も至極もっともではあるんですが、そこでソウマに寄り添えなかったことと、自分がデッカーだった時のことを思い返して、素直に反省して謝罪する辺りがああ、カナタだなと。
そしてそれと同時に、それでも、と気持ちをぶつけようとするのもまたカナタだなと。
TPU本部奪還後はなんとテラフェイザーに搭乗して参戦。デッカーの力を失った彼が、かつてデッカーとして共に戦ったテラフェイザーに乗り戦う。なかなかにアツい展開を用意してくれたもんです。
戦いの中、ゾルギガロガイザの一撃からディナスを庇い敗北。
そのダメージからなんと一時心肺停止状態に陥るなど、シリーズ屈指の窮地を迎えることとなりました。
その後、ダイナの光を媒介にGUTS-SELECTの仲間たち、そしてディナスの想いを受け再びデッカーとして覚醒。
受け継いだ光をもって、最後の戦いに挑むその姿はもはや歴戦の勇士のそれ。アスミが見たら何て言うでしょう。
ギベルス撃破後はなんと慣れ親しんだナースデッセイ号の艦長となり、イチカやディナスと共に宇宙へ向かうことを決意。
まだ見ぬ誰かの大切なものを一つ一つ護るため、宇宙の彼方へ旅立っていきました。
デッカーの力を宿した状態のままなので、ケンゴ共々、今後の客演が期待できますね。
イチカ
最終話はともかくとして、TVシリーズの終盤ではどうにも存在感が薄くなりがちだった彼女でしたが、一転本作ではメイン3人組の一人として華麗に返り咲いてくれた印象です。
カナタ、ソウマと共にメイン3人組の変わらぬ関係性を見せてくれた冒頭にはじまり、ドラマパートに戦闘パートにと八面六臂の大活躍。
今ではすっかりGUTSファルコンを愛機としているようですね。グリフォンフォーメーションへの合体もお手のもの。
印象的だったのはギベルスの宣戦布告から始まる一連のシーン。
自らの夢とアガムス、そしてデッカーのことを引き合いに出し、意図せずソウマを追い詰めてしまったカナタを諭しました。
ソウマに頼り過ぎだと諌めるような言い方ではなく、ソウマも怖いのだと寄り添うような言い方をする辺り、彼女の人柄が出ていますね。
絶望的な状況の中で、自身も相当な恐怖と不安を抱いているであろうにも関わらず、これはなかなかできることじゃあありません。
また、ウルトラマンとしての使命感と決意で無理を押そうとするディナスに対しても、自身の身の上話を交えて寄り添い、共に戦おうと手を握りました。
両親に対して抱いた「すごいな」「カッコ良いな」という想いは、すなわちそっくりそのまま今のディナスへ向けた言葉なのでしょうね。
そしてそんな想いを胸に宿した自分もまた、誰かにとっての大切なものを護りたいと思っているのだと。だからこそ、一緒に戦いたいのだと。
ここぞというところで見せる芯の強さは本作でも健在ですね。これぞ「真っすぐの天才」の真骨頂。
このくだりの中で、実家がお寺であるということに触れられ、且つそれが町の避難所になった→人々を救う両親の姿に感銘を受けた→ツーリングが趣味なほどに遠くに行くのが好き→だから宇宙で誰かの力になりたいと思った、と繋がる流れはもう最高ですね。
「最終章」たる本作で、イチカの持つすべての設定とバックボーンが繋がり、そしてそれが若きウルトラ戦士が立ち上がる糧となる。
そういえばカナタが初めて自分の意思でデッカーに変身した時も、イチカの言葉がある種の原動力になっていましたっけ。
彼女の持つ真っすぐさは、人々に宿る光をさらに強める力を持っているのかもしれません。
最終的にはGUTS-SELECTを離れ、宇宙へ行くという夢を叶えることとなりました。
気の置けない間柄のカナタと、気の合いそうなディナスと共に歩む道のりは、きっと彼女にとって最高の旅になるでしょうね。
ソウマ
TVシリーズ以上に様々な表情を見せてくれます。
さりとてそれは決して不自然なものではなく、TVシリーズの流れを受けての極めて順当な、リュウモン ソウマという人間味に溢れたものだったように思いますね。
マザースフィアザウルスとの決戦以降は、すっかりGUTSホークが愛機となっているようです。
やはり印象的だったのはギベルス襲撃前後の一連のシーン。
日本人全員を人質に取られ、満足な装備も兵器もない状況を受け、さしもの「見つめる天才」も手詰まりに。
カナタに詰め寄られた際、茫然自失になりながら「……え…?」とこぼしたシーンはかなりの衝撃。
あからさまに取り乱し動転することはなかったにしろ、疲弊した様子でカナタに放った「少し考えさせくれ…」という言葉とあの表情はもう最高でした。
焦燥と不安、プライド、そしてかつてウルトラマンだったカナタへの複雑な想いなど、ソウマの中で巡る色んな感情や想いがひしひしと伝わって来ます。
その後の「お前は強いよなぁ…、一人でウルトラマンになって戦って…俺にはそんなこと…」というカナタへの言葉と合わせて、あの一連のくだりは「デッカー」屈指の名シーンだったと思いますね。
卑屈さや嫌味を感じさせず、純粋に疲弊し、困惑し、カナタをすごいと評する。それでいてどこか達観している。
大地伸永さんの演技力の賜物ですね。
そういえば、ふと思ったんですが、今回のこの状況ってどことなくいつかの行軍訓練の時と似てるんですよね。
いや今回は訓練じゃなくて本当の危機で、スケールも何もかも違うんですけど。
さりとて絶望的な状況の中でカナタ、イチカ、ソウマの3人組が先に進むことができない、あるいは成功するかわからない問題に直面する、という今回のこの構図はどことなくあの頃を思い出させるものです。
あの頃は愚直に、完璧な正解のために前へ進むことを放棄しようとしたソウマが、今では疲弊しながらも何とか前へ進もうとしている。
感情を抑え、仲間に弱さを見せながらも「今できること」を考えようとしている。
つくづく、リュウモン ソウマという男の成長と変化を感じられるシーンだったと思います。
今回のシーンと第2話を見比べてみても面白いかもしれません。
あと細かいところでは、カナタとイチカの3人で将来の話をしているシーンですかね。
ソウマとしては、きっとカナタにチームに残って欲しかったというのが本音なところなのでしょう。文字通り苦楽を共にした仲なわけですし。
まあもっとも、大前提としてカナタの意思を尊重する、というのがあるんでしょけど。
最終的には冒頭での内示の通り、晴れてGUTS-SELECTの三代目隊長に就任しました。
「トリガー / デッカー世界」においても、おそらくウルトラシリーズ歴代の防衛チームにおいても、かなり異例の若さなんじゃないでしょうか。
まあ彼のことだから心配はありませんが。
サワ
副隊長兼分析官兼操舵士…ですが、本作においては分析官の一面はほぼなかったと言っていいでしょう。
TVシリーズ同様にメイン3人組ほどドラマがあるわけでなく、ムラホシほどの活躍があるわけでなく、本作も総じて宮澤さんの演技力による存在感が光ります。
さりとて、TVシリーズにて問題提起された「人と怪獣」についての一つの結論と方向性を示し、それを彼女の口から語らせたのは相当に意味のある展開だったと思います。
「最終章」と銘打たれた劇場版に相応しく、きちんとサワとしてのドラマの着地点を見せてくれました。
まあこの辺りの話は、TVシリーズでは結局あまり深掘りされずに終わってしまったので、少しもったいなかったなとも思ったり。
かなり難しいテーマではあると思いますが、彼女のキャラクターと設定により深みと重みを持たせてくれる要素だったと思うので、もう少し深掘りできたら良かったかなと。
今回もTVシリーズ同様に主にムラホシとセットのシーンが多いですね。
活躍としてはグレースらと共にカナタらの元へ駆けつけた辺りがピークですが、ナースデッセイ号バトルモードを駆り戦闘にガンガン参加するなど一応押さえて欲しいところは押さえてくれていたので個人的には満足です。
最終的には怪獣予知対策センターのセンター長に就任。
現場からは離れることになりましたが、立ち位置的にはGUTS-SELECTとのやり取りはめちゃくちゃ多そうですね。管理職同士、本部ではソウマと日常的に顔を合わせることになるかも。
ムラホシ
本作でも安定の隊長ぶりを発揮してくれています。
序盤でのサワとの会話から、「トリガー」時代の後に訓練校の校長を務めてた理由が「ただ一緒に戦う仲間が欲しかった」だけだったということが明かされました。
TVシリーズ序盤ならまだしも、数多ものドラマと戦いを経た今となっては、良い意味で何の捻りも意外性もない、実にムラホシらしい納得のいく理由だなと思います。
もしかしたら、この「一緒に戦う仲間」への想いが、初期の頃に見せていた「ウルトラマン」への複雑な表情の原因だったりするのでしょうか。
「トリガー」時代から戦い続けてきた彼のこと、GUTS-SELECT、ウルトラマン問わず、共に戦う仲間という存在に対しては人一倍強く思うところがあった…のかもしれません。
TPU本部奪還作戦時には、サワ共々カナタらのピンチに駆けつけるというおいしい役回りをもらっていますが、活躍自体はそこがピーク。
ムラホシ単独としてのキャラクターはすでに完成されているので、ドラマらしいドラマは特に展開されません。
が、やはり終盤にGUTS-SELECTの仲間としてカナタに呼び掛けるシーンは外せませんね。まあそれはみんなに言えることですけど。
最終的にはTPU訓練校の校長に復帰。
以前ほど現場に出ることは少なくなるでしょうが、ソウマやサワとは引き続き顔を合わせることがありそうです。
ハネジロー
マザースフィアザウルスとの戦い以降も引き続きAIユニットとしてGUTS-SELECTの任務を全うしている様子。
前半ではキングジョー出現に際しテラフェイザーを駆って参戦しましたが、デッカーなき今、基本的には怪獣が出たらハネジローがテラフェイザーで対処する、というパターンになっているようですね。
対キングジョー戦においては、果敢に挑むもキングジョーの実力に圧倒されグロッキー。
ディナスを援護するなどなんとか活躍の場は確保しますが、以降は敵にハッキングされたりテラフェイザーにはカナタが乗ったりと活躍は少なめ。
さりとてデッカー覚醒時にカナタに呼び掛けたり、ラストシーンでカナタらと共に宇宙へ旅立つなど、ドラマパートではきちんと存在感を確保。
やはりTVシリーズで培ったカナタとの関係性は大きかったですね。
なんだかんだ、最終的に印象に残ったのがディメンションカード解説パートだけ、なんてことにならず良かったです。
ラヴィー星人 ディナス
本作のゲストキャラにして新ウルトラマン。
立ち位置的には「ジード」のアイルさんに近い感じですかね。ウルトラマンになる辺りは「X」のユウト君か「R/B」のアサヒ辺りの要素かな?無理やりニュージェネ勢と絡めようとしてますけど。
地球人に近い見た目をした異星人で、身体能力を含めた肉体的特徴も凡そ地球人のそれらと同等であると思われます。
唯一見受けられる地球人との違いは、その優れたテレパシー能力で、動物のみならず怪獣とも心を通わせ、意思疎通を図ることが可能です。
ただし、地球人など知能が発達した複雑な思考を有する生物とのテレパシーは難しいようで、地球人の他にも例えば〇〇星人とか、ウルトラシリーズに登場する概ねの宇宙人とのテレパシーはできないのでしょうね。
ギベルス配下の宇宙人たちによる母星襲撃時にダイナと出逢い、彼から治療を受けた際に与えられた光が自身の想いと結びつきウルトラマンの力を発現。
ダイナの系譜を継ぐ2人目のウルトラ戦士となりました。
地球人に近い身体能力ということで、生身の戦闘には向かないという点と、おそらく元来の体質と気質(と運動神経?)も相まって作中では体力の覚束ないような描写が散見されましたが、あれが普通なのかと思ったり。
ウルトラの光を宿して超人的な力を得たとて、やはり元来の体質や気質で身体能力や体力に差が出るのは当然だろうなと。
ウルトラマンの変身者のみんながみんな、例えばガイさんみたいにバリバリ戦えるというのもおかしな話ですし、そういえばアスカも元々は格闘にめっぽう弱かったですっけ。
ましてディナスは光を得てからまだ日が浅い新米も新米なわけで、しかも元々はただの一般人だったわけですしね。
しかしながら、彼女の持つ精神力、すなわち想いの強さはすでに並のウルトラ戦士と同等、あるいはそれを凌ぐものがあると言えるでしょう。
自身を救ってくれたダイナに感銘を受け、敬愛し、自らもまたその宿した光をもって、誰かにとっての大切なものを護るために戦うという高潔な正義の心を持っています。
その心はまさに、ウルトラマン。
彼女自身は「なりたいんだ」と言っていましたが、もうすでになっているんですよね、彼女は。ウルトラマンに。
ギベルス打倒後は地球に留まり、そのままTPUの一員に。
カナタ、イチカ、ハネジローらと共に宇宙へ旅立つこととなりました。
外宇宙の旅の中では、彼女の持つテレパシー能力が相当力になるでしょうね。
次回作とは言わないにしても、またどこかの作品でぜひ客演して欲しいものです。
彼女の持つ光はカナタへ受け継がれたわけですが、個人的には変身能力そのものを失ったわけではないと思ってます。まあ詳しくは後述で。
三代目GUTS-SELECT
新隊長に就任したソウマの下、TVシリーズでもちょくちょく登場していたノジマ、サトウ、イソザキの3人が新メンバーとして名を連ねています。メンバー4人全員が訓練校同期という珍しい防衛チームになりましたね。
それにしても初代、二代目と段々メンバーの数が減ってきていますが、またある種のオートメーション化の流れも来ているのかもしれませんね。それかまだメンバー募集中とか。
ノジマら3人については、ソウマ同様に冒頭でGUTS-SELECT配属の辞令が出たようで、カナタたちとの再会を喜ぶシーンがありました。
また、ラストシーンにおいてもソウマ隊長の下で三代目GUTS-SELECTとして活躍している様子が描かれるなど、かなり優遇された愛すべき脇役たちと言えますね。
彼らの存在が、いつも「デッカー」の世界観とドラマの奥行をグッと広げてくれるんです。
また、ハネジローの後継機と見られるハネサブローをAIユニットとし、おそらく新型であろうナースデッセイ号の後継機と見られる母艦で日々任務に励んでいるようです。
作中の描写的に、この「トリガー / デッカー」世界における怪獣災害は未だ発生しているようなので、まだまだ活躍してくれることでしょう。
ケンゴ
TVシリーズであれだけの活躍と存在感を見せてくれたので、さすがに劇場版では空気を読んでくれたようです。(メタ発言)
本作では台詞上での名前のみの登場となりました。
半年前に宇宙へ旅立ち、今は冥王星を越えて太陽系を離脱した辺りとのこと。
「ケンゴさん"たち"」と言われていたので、ユナやシズマ会長も一緒なのかな?アキトとタツミは同行してそうですけど。
でもそうなったらテッシンやヒマリ、マルゥルもついていきそうですね。それってもはやただの先代GUTS-SELECTやん。
まあでも、マルゥルは地球に残っているかもしれないですね。以前に宇宙より地球の方が面白い的なこと言ってましたし、何より特務3課がありますしね。
アガムス
こちらも台詞上での名前のみの登場。「R/B」のツルちゃんのような登場と演出はありませんでした。ほんのちょーっとだけ、期待したりもしたんですが。
今回は宇宙進出に一抹の不安を覚えるイチカの話の中でというかたちで言及されました。
あの場合はアガムス個人に対してではなく、アガムスのような想いをする者が現れるかもしれないということに対するものでしたが、やはり彼のしたことやもたらしたものは、大なり小なり人々の心に暗い影を落としているようです。
この「トリガー / デッカー」世界においては、闇の三巨人、スフィアに次いで、忌まわしき存在として歴史に名を刻むことになっていくのかもしれませんね。
まあしてきたことを思えば当然ですけど。
しかしながら、以前にも述べたように彼の遺した技術が今の「トリガー / デッカー」世界を護り、ひいては未来を護る一助となっているのもまた事実。
まあこの「正の面」に対する「負の面」があまりにも大き過ぎるので、それほど声高に主張できるものでもないでしょうが…。
ちなみに、このアガムスの「正の面」については「GUTS-SELECT交流記」でホッタさんがちゃんと言及してくれていましたね。あのシーンでの田久保さんの演技は必見です。
宇宙格闘士グレゴール人 グレース
TVシリーズ第9話より、まさかまさかの再登場。いえ、むしろ待ってましたの再登場。
経緯は不明ながら、ギベルス親衛隊に追い詰められたムラホシ、サワの元へナイゲルと共に駆けつけ、力を貸してくれました。ミカちゃんは元気かな。
全盛期に比べ体力が衰えてきているらしいとはいえ、何せあのレッドキングを一時でも圧倒できるほどの実力を持つわけですから、まさに心強い味方というわけです。
しかしまあ、他者の姿へ変身可能という能力を考えると、彼は工作任務にも向いていそうですね。今回の展開はまさに灯台下暗しというか、言われてみればたしかにな作戦というか。
まさかあのグレゴール人が、潜入からの騙し討ちを仕掛けるのを目にする日が来ようとは…。
25年以上も前に登場したキャラクターの設定や能力を拾って、現代にまた新たな活躍の場面を与えてくれるというのが、ウルトラシリーズの醍醐味とも言えますよね。
そういえば、今回再登場してくれたということは、おそらくスフィアバリア消滅後も地球に留まっていたということなんでしょうが、トリガーとの対決は実現したんですかね。
きちんと事情を説明すれば、ケンゴなら付き合ってくれそうなもんですけど。
メトロン星人 ナイゲル
さらにこちらは第17話からの再登場。TPU内部調査局長です。
グレース共々、ムラホシとサワを助けた後にペダン星人の追撃からディナスを救出。
警備システムを攪乱するなどして、ギベルスを追うGUTS-SELECTの面々をサポートしてくれました。
終盤、「お黙りなさい」とバド星人の頭をぺしっとするシーンは最高ですね。短い出番ながらも抜群の存在感を見せてくれました。
「侵略」の探究者
ゾゾギガ星人 プロフェッサー・ギベルス
「全宇宙を支配する"最後の天才"」を自称する本作の黒幕。
ダダとゼットンとサーガ以降のバット星人を足し合わせたような、どこか禍々しく不気味な外見をしています。
一人称はまさかの「余」。ウルトラシリーズで「余」を使うキャラってもしかしてエンペラ星人以来?
声は「ドラゴンボール」シリーズのフリーザでお馴染みの中尾隆聖さん。ウルトラ的には劇場版「メビウス」のナックル星人ですかね。
「一番美しい侵略方法」を求め、日々あらゆる惑星を「実験」という名目で侵略しているというかなりのマッドサイエンティスト…というか根っからの「悪」ですね。
また、実験ついでに侵略先で優れた能力を有する種族を見つけると改造・強化を施し自らの配下としているようで、今回地球に現れた目的も、スフィアを打ち破った地球人の強靭な精神力に目を付けたため。
地球人の精神力と怪獣の生命力を融合させることで、より強力な配下を手に入れようと目論んでいたようです。
移動、実験、攻撃が可能なオールラウンドの宇宙船、実験要塞艇ゾルガウスを拠点としており、また、後述のギガロガイザへ変身することで自らも本格的に戦闘へ参加することもできます。
同じ「余」を用いるエンペラ星人と比べて圧倒的な強者感と強烈なカリスマ性はないにしても、その実力と脅威の程は間違いなく本物。
ウルトラシリーズに登場する宇宙人の中でも、厄介な方の手合いに分類されるでしょう。配下の異星人部隊もいるし。
上述の通り、戦闘時にはギガロガイザへ変身するので、ギベルスの姿での活躍は実は少なかったりします。
TPU本部を奪還された後はずっとギガロガイザに変身したままだったと思うので、本格的な登場時間となると20分くらいなのでは?
最終的には自らが認めていた筈の地球人の精神力の前に徐々に追い詰められていき、カナタ渾身の一撃を受け敗北することとなりました。
銀河皇獣 ギガロガイザ
ギベルスが戦闘形態として変身した姿です。
公開前はてっきりギベルスが使役している怪獣だと思っていました。
どことなくレッドキングを彷彿とさせるシルエットに、ブルーを基調とした体色。あしらわれたレッドのラインはギベルスの骨格がそのまま反映されたものでしょうか。
作中の描写を見る限り、単体としての戦闘力はそこまでといったところ。決して弱くはないと思いますが。
主役クラスのいわゆる歴代ウルトラ戦士相手では、多少なりとも苦戦させることはできても、サシであれば敗北してしまうでしょう。(新米ウルトラ戦士や並の宇宙警備隊員ぐらいであれば勝利できそうですけど。)
ゾルガウスの援護射撃により相手を怯ませ、スキをつくり、ギガロガイザが攻撃を加える。そしてギガロガイザの攻撃に、ゾルガウスが加勢する。
ほぼほぼ2対1と言っても過言ではない状況に持ち込み相手を追い詰める。
ギガロガイザの実力と脅威を語るには、ゾルガウスとの連携ありきで話を進めた方が良いかもしれませんね。
後述の奥の手もありますし。
最終的にはGUTS-SELECTの手によりゾルガウスを破壊され撤退を図りますが、デッカーの追撃を受け光線の撃ち合いに。
精神力に勝るデッカーのセルジェント光線をくらい、無残にも爆散。敗北を喫することとなりました。
銀河要塞怪獣 ゾルギガロガイザ
ギガロガイザとゾルガウスが合体した強化形態。戦闘におけるギベルスのある種の奥の手であると思われます。
両肩の砲口からは超火力のビームを放つことができ、また、展開されるバリアはネオマキシマ・ナースキャノンとハイパーソーンレーザーの同時発射のみならず、TRメガバスターとディナスによるゼットンの火球の同時発射をも完璧に防ぎ切り、且つホーミング機能を有するビームへと撃ち返すこともできるという凄まじい性能を持っています。
単純な火力、攻撃力、そして防御力で語るならば間違いなく「デッカー」トップクラスの存在と言えるでしょうね。ディナス&GUTS-SELECTの総力を一度でも退けたのですから。
作中のように、ゾルガウスを優先的に撃破されてしまうと、ステータスの大幅な低下は避けられません。
そういう意味では劇場版のラスボスを張るには少々力不足だったと言えるかもしれませんね。ビジュアルはかなりカッコ良いのですが。
ゾルガウスの下僕たち
ギベルス親衛隊
ペダン星人、クカラッチ星人、ゼラン星人、ガルメス人、バド星人、ゴース星人、シャプレー星人、グローザ星系人、サーペント星人、レキューム人、ヒュプナスで構成された異星人部隊です。
作中の描写を見る限り、ペダン星人がリーダー格かな?団長だけに。
バド星人のみ、後述のラヴィー星襲撃部隊とダブって登場となりますが、作中の描写を見る限りそれぞれ別個体と思われます。
立ち位置的には等身大アクションを盛り上げるためのキャラたちなわけですが、かなり幅広い異星人が名を連ねているのでそれがかえってギベルスの脅威のほどを描くことに繋がっていたと思います。それだけ広範囲の惑星を手中に収めたというわけですから。
作中全編を通して活躍を見せてくれますが、最終的にはGUTS-SELECTと宇宙の友人の手によりあえなく一網打尽となりました。
宇宙ロボット キングジョー
物語序盤、ペダン星人の手により召喚されるかたちで登場。地中から出てきましたが、いつから隠されてたんでしょう。
ハネジローの操るテラフェイザーと対峙し、新旧ロボット怪獣の対決がここに実現しました。
戦闘開始後早々にテラフェイザーに脚部を狙われ体勢を崩すものの、即座に立て直し。
放たれたTRメガバスターを分離により回避し、そのままオールレンジ攻撃でテラフェイザーを一時グロッキー状態にまで追い詰めました。
現れたディナスに対しても地力の差を見せつけ終始圧倒し、大暴れを見せてくれます。
最終的にはテラフェイザーの援護射撃によりスキが生まれたところに、ゼットンの力を借りたディナスの攻撃を受け敗北。いつもの機能停止ポーズを経て、爆散することとなりました。
さすがの初代強豪ロボット怪獣も、初代最強怪獣の力には及ばなかったようです。
異次元宇宙人 イカルス星人
「ギンガ」で登場して以来、その口調と仕草によりすっかりコミカルなキャラが定着しましたが、闇のエージェントの一員としてギンガと並びニュージェネ黎明期を支えた存在の一人と言っても過言ではないでしょう。
まあもっとも、それは声を充てた関智一さんの演技によるところも多分にあるとは思いますが、そんな関さんがなんと本作でも参戦です。やったね!
グレンファイヤーにバロッサ星人、グレートにエンペラ星人にエースにと、近年のウルトラシリーズは氏の熱演なしには語れない作品も多数ありますし、去年の「全ウルトラマン大投票」に出演された時もシリーズに対する情熱を余すことなく語られていました。
私の大好きなアメコミ映画の吹替も多く担当されているということもあって、個人的に大好きな声優さんの一人です。
さて、そんなお話的にもメタ的にもギベルス親衛隊の中でも別格の存在と言える本作のイカルス星人ですが、やはりその実力は折り紙つき。
異次元空間を展開しGUTSファルコンとホークを瞬時に無力化。瞬間移動に肉弾戦に分身にアロー光線にと、カナタらメイン3人組とディナスを同時に相手取りながらも終始優位に立ち回ります。
最終的にはカナタらに異次元発生装置を破壊された挙句、ゼットンとケルビムの力を宿したディナスのかかと落としに敗北を喫してしまいましたが、控えめに言ってもかなりの強敵だったと言えるでしょう。
イチカとソウマの援護がなければカナタはもちろんのこと、ディナスも勝てなかったでしょうね。
カナタの変身するデッカーが相手であってもかなり良いとこまでいけると思います。流石にダイナミックタイプには勝てないと思いますけど。
ラヴィー星襲撃部隊
ディナスの回想シーンにて登場。面子はゴドラ星人、バド星人、マグマ星人と何かとセブンに因縁のある連中で構成されています。
ギベルスの侵略計画の一環としてラヴィー星を襲撃。ディナスと交流のあったザンドリアスへ危害を加えるなどしますが、駆けつけたダイナの前には手も足も出ず。
3体掛かりで、且つギベルスにより強化もされていたとのことですが、時空を超える英雄には敵わず敗北。
ゴドラ星人のみ、明確に撃破された描写がありましたが、残り2体に関してもまああのまま撃破されたと見るのが妥当でしょうね。
受け継がれるヒカリノキズナ
ウルトラマンディナス
ラヴィー星人ディナスが変身したウルトラマン。
デッカー・アスミ=ウルトラマンデッカーに続き、一個人の名前がそのままウルトラマンになった珍しいパターン第2弾です。
珍しい…?珍しいですよね?
変身者の名前がそのままウルトラマンの名前になっているのって、あとは「USA」ぐらいしか思い浮かばないんですが…。
はい、閑話休題です。
母星が襲撃された際に負傷し、救援に駆け付けたダイナから受けた治癒の光がそのまま自らの想いと結びつき、ウルトラマンとなりました。
外見的にはディナスは女性のようなんですが、「ウルトラウーマン」ではなく「ウルトラマン」となっている理由は定かではありません。まあジャスティスの前例もありますし、特に深い理由はないと思いますが…。
パープルとシルバーを基調としたシンプルな色味、それでいてデッカー同様にアシンメトリーのプロテクターとカラータイマーを持ち、静と動が合わさったかのような絶妙なバランスを誇る極めて印象的なウルトラマンですね。個人的には初見時から大好きなデザインです。
公開前のプロモーション時から全面的にプッシュされていましたが、実際本編においてもデッカーを差し置いて全編に渡って登場し、キングジョー、イカルス星人、ギガロガイザ、ゾルギガロガイザと実に4体もの怪獣と戦うなど、本作のメインウルトラマンと言っても差し支えない登場時間と戦闘回数を誇ります。
本人からも言及があったように、ウルトラ戦士としての戦闘力は決して高い方ではなく、ソルジェント光線やセルジェント光線といった自身オリジナルの光線技を持たず、また肉弾戦も明らかに不得手であることが見て取れます。
カラータイマーが常時赤色なのも、あるいは変身者が常にフィジカル的な無理を押して変身しているから…なのかもしれません。
一方で、変身者であるディナスのラヴィー星人としての特質から、ディメンションカードを経由して心を通わせた生物(怪獣)の力を借り戦うという他のウルトラ戦士にはない戦術を持っています。(まあビクトリーのウルトランスにエックスのモンスアーマーにと、ニュージェネ勢の中では割とザラかもしれませんが。)
特にゼットンカードにより繰り出される技の威力は凄まじく、GUTS-SELECTからの援護があったとはいえ、あのキングジョーとイカルス星人を撃破せしめるほど。
まあ何せあのゼットンなのでその実力は折り紙つきなわけですが、さりとて併せてケルビムやエレキングのカードを上手く使って戦闘を切り抜ける辺り、まったく戦闘のセンスがない、というわけではないことはたしかですね。むしろかなりよくやってる方。
攻撃力や身体能力の低さを、特殊能力や知識、工夫でカバーする典型的なトリッキータイプの戦士と言えるかもしれません。
最終的にはゾルギガロガイザに敗れ、その光はカナタの蘇生に使われることとなりました。
ディナスのカードにデッカー(フラッシュタイプ)が上書きされたような描写だったので、ひょっとするともう変身することはできないのかもしれませんが、引き続きカナタがウルトラDフラッシャーを所持していると思われる点と、ディナス自身が無地のカードを持っていると思われる点から、きっかけさえあれば再び変身することも可能なのでしょう。
ウルトラ戦士としての戦闘力的にはカナタ=デッカーの方が上と思われるのであまり出番はないかもしれませんが、さりとて怪獣の力を使えるというアドバンテージは必ずどこかで活きてくるでしょうから、「ギャラファイ」辺りでまた登場して欲しいですね。
中の人もウルトラシリーズ好きみたいですし。
ウルトラマンダイナ
ディナスの回想シーンで登場。
ラヴィー星を襲撃するギベルス配下の宇宙人たちの前に颯爽と現れ、何の苦戦もなく宇宙人3体を撃破します。もちろんカラータイマーは青のまま。
作中では終始「ダイナ」あるいは「ダイナさん」と呼ばれていますが、かつては「普通の人間だった」らしいことや「今も戦い続けている」という趣旨の説明がディナスの口から明かされたので、本作のダイナもまた、以前にカナタが出会ったダイナ、すなわち我々の知るアスカ・シンが変身したダイナであると思われます。
アスカのことだから、きっとラヴィー星を襲撃から護り戦った後も、何日か滞在して復興のお手伝いをしたのでしょう。
その際にディナスと交流を深める中で、上述の身の上話などもしたのだと思います。
直接顔を合わせたことのないカナタからならともかく、おそらく顔を合わせているであろうディナスからも「アスカ」ではなく「ダイナ」と呼ばれているのは、メタ的には「アスカ」の名を出すと話がややこしくなるからということなのでしょうが、物語的には「ウルトラマン」として生きていくと決めたディナスの覚悟の表れからなのかなと解釈しています。
今回はカメオ出演と言っても差し支えないぐらいの短い出番でしたが、実はディナスに光を授けた存在であり、また、デッカーの光の出自であることも示唆されるという、かなり衝撃かつ重要なポジションでの登場となりました。
ダイナが光を授けた存在がどんどんウルトラ戦士になっていくというのは、どこぞのO-50の光のリングのような感じがしてはじめは少し良い印象を抱かなかったんですが…。
よくよく考えてみれば、ダイナ(とティガ)の元いたネオフロンティアスペースにおいては「人は誰でも光になれる」「人は前へ進む=進化し続ける」とされていましたし、前に進み続け、限界を超えた先にたどり着いた者として、カズマが光=ウルトラマンダイナとなったという前例もあります。
強いネオフロンティアスピリッツを持っていたカズマの光をアスカが受け継ぎ、そのアスカの光を授けられたアスミやディナスが、無意識に自らに秘めた強い想いと光を結びつけた結果としてウルトラマンという新たな存在に進化した、とする展開は決して不自然ではなく、むしろダイナの光の出自とそのバックボーンを考えれば自然なこと…なのかもしれません。
ダイナから光の力を借りたゼロも、後にストロングコロナとルナミラクルの力を発現させていますし、ダイナの光にはそういう「触れた者を進化させる力」のような性質が宿っているのかも。
ちなみに今回は出番の少なさもあってか、タイプチェンジはありません。まあTVシリーズでちゃんとストロングもミラクルも見せてくれているので、それで充分でしょう。
ウルトラマンデッカー
本編開始から登場まで実に62分もの時間を要するという、満に満を持した再臨となりました。
再び宿した光を噛みしめ、想いと力を込めるように仲間たちと「輝け」と呟いてからの変身シーンはシリーズ屈指の熱いシーンではないかと思います。
登場後はブランクを感じさせない動きを見せますが、さしものデッカーもゾルギガロガイザには分が悪く徐々に劣勢に。
仲間たちの応援を受け、体勢を立て直した後の咆哮はダイナミックタイプのそれを彷彿とさせるもの。
また、撤退を図るギガロガイザに放った渾身のセルジェント光線は、マザースフィアザウルスとの決戦時に見せた疑似的一時的なグリッター状態を思わせる金色の一撃となりました。
一連の流れを見るに、今回変身したデッカーはTVシリーズで変身していたデッカーとは厳密には別物なのかもしれませんね。
タイプチェンジやDC怪獣、ウルトラデュアルソードなどといったお馴染みの戦術が登場しなかったのはそういうことなのかも。
マザースフィアザウルスとの決戦後のように、光が離れた描写が今回はなかったので、最終的にはまたカナタの身にデッカーの光は宿っている状態と思われます。
カードがないのでしばらくタイプチェンジはできないでしょうが、旅の中できっとまた新たな力(カード)を発現させるのでしょう、カナタのことだから。
あわよくば、またその勇姿を見せて欲しいものです。うんと成長した歴戦の戦士として。
できればディナスと二人、コスモスとジャスティスのようなコンビで末永く活躍していって欲しいですね。「ギャラファイ」に期待しましょう。
さいごに
「ニュージェネレーションヒーローズ」10作品目として放送された「ウルトラマンデッカー」という作品。
前作「トリガー」とは異なり「NEW GENERATION DYNA」という副題はつかなかったわけですが、さりとて「ティガ」の系譜を継ぐ「トリガー」の続編なわけですから、「ダイナ」という作品あるいは存在とは切っても切れないような関係性だったのではないかと思います。
私個人としては、本作「デッカー」は、「ダイナ」の系譜を継ぐ作品としても、「トリガー」の続編という作品としても、充分に面白く、また、「デッカー」という一つのウルトラシリーズとしても充分に面白く、素晴らしく、魅力的で、価値ある作品であると思っています。
その繊細で堅実な作風は、斬新な意欲と挑戦に満ちた「トリガー」とは真逆の方向性のように感じましたが、そのコントラストがまた、両作品の良さをより際立たせてくれているようにも感じます。
あえて元祖TDからもじるとするならば、さながら「トリガー」が「心意気のB級」で、「デッカー」が「志のA級」といったところでしょうか。
それぐらいに両作品の方向性や作風は違っていましたし、一方でそれぐらいに両作品は今や切っても切れない関係性になっていると思います。
しかしその関係性がもたらす異質な存在感こそが、10周年を迎えたニュージェネレーションヒーローズシリーズにまた新たな歴史を刻み込み、同時に新たな風を吹かせていくことになるのだろうなと感じています。
ニュージェネ初の続編作品(「ギンガS」はタイトル続きなので例外)となった「デッカー」が今後ニュージェネシリーズ、あるいはウルトラシリーズの中でどういう立ち位置になっていくのか、今から興味が尽きないところです。
「デッカー」というコンテンツとしての今後の展開はわかりませんが、これまでのニュージェネ作品の流れを見るに、少なからず何かしらの客演はある筈ですし、デッカー=カナタのみならず、あわよくばGUTS-SELECTの仲間たちやディナスにも、また会えたら良いなと思っています。
私個人、あるいはこのブログとしても「セブン4K」以来となる全話感想を成し遂げることができた作品なので、やはり愛着もひとしおというやつですね。
本当に大好きですよ、デッカー。
さて、全話感想の最終回。
随分と、それはもう随分と長くなってしまいましたが、この辺りで終了とさせていただきましょう。
昨年7月から約8か月、お付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。「デッカー」の感想は今回で終了ですが、このブログはもちろん、これからも続きます。
更新のペースはかなりガクッと(笑)、落ちてしまうかもしれませんが、自分のペースでゆっくりと。できる範囲で続けていこうと思います。
まずは中断している「ウルトラQ 4K」の感想から、再開したいですね。
新しい記事を書いたらTwitterでもお知らせさせていただきます。気長にのんびりと、首を長くして、お時間の許す限りお付き合いいただければと思います。
改めまして、これからも引き続き、よろしくお願いいたします。
それではまた。
ありがとう、ウルトラマンデッカー。