やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

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【感想】ウルトラQ 第11話「バルンガ」

約2か月半ぶりの更新となりました。お久しぶりです、ARAIです。

 

仕事に育児に家事に趣味にと、慌ただしい日々を過ごしている間にどんどんどんどん月日が流れているわけですが…。

今朝は久しぶりにまとまってキーボードに向き合う時間が取れそうだったこともあり、ようやくというべきか、今さらというべきか、「ウルトラQ 4K」の感想の続きを書こうかなというモチベーションになりました。

 

「デッカー」の感想が完結してからこっち、ブログでの感想はからっきしなわけで、何なら「ウルトラQ 4K」に関して言えば10か月以上も間が空いてしまったわけなんですが、さりとて一度始めたものを途中で辞める気なども毛頭なく。

 

せっかくということで、まずは久々に一本書いてみようじゃないかと。

不定期連載企画のようなノリで、取り組みたいと思います。

 

さてさて、それではいきましょうか。「ウルトラQ 4K」第11話です。

 

ウルトラQ 第11話「バルンガ」

「怪獣」という「現象」

「怪獣」を「自然現象」と捉えたお話。

この「ウルトラQ」の感想に当たって、これまで度々「理解できない存在」の最たるものが「怪獣」であるかもしれないと書いてきましたが、今回のお話はそこから更に踏み込んだ解釈がなされているように思います。

 

すなわち、「理解できない存在」の最たるものが「怪獣」であり、また、「怪獣」とは人智の及ばない「現象」であると。

今回はバルンガを自然災害や自然現象に喩えた話がでてきましたが、なるほどたしかに、思い返せばこれまで登場した多くの「怪獣」たちは、「アンバランスゾーン」に発生した「現象」の一つと言えるのかもしれません。

 

そうして考えてみると、「ウルトラQ」という作品は、そうした「怪獣」という名の「現象」が多発する「アンバランスゾーン」という別世界を、私たちが覗き見るための「窓」のようなもの、と捉えることもできる…のかもしれませんね。

 

 

さて、内容としては宇宙から飛来した謎の胞子により、文明より生じるあらゆるエネルギーが吸収されていってしまい、人類に未曾有の危機が迫るというもの。完全にSF回ですね。

 

「バルンガ」の脅威に直面する淳、負傷する一平、記者として奔走する由利子、鍵を握る奈良丸博士、そして徐々に明かされるバルンガの正体と、きちんと段階を経たシナリオ展開に加えて、しっかりとした人物描写にバルンガ関連の特撮描写など、今回は割に見所が多く、全編にわたって目が離せないような、非常に見応えのあるお話に仕上がっているように思います。

 

また、電気などのエネルギーを断たれた途端に生活が回らなくなる様子が生々しく描かれたり、あるいは奈良丸博士によるズバリ「都会も休息を欲している」といった台詞など、現代にも通ずるような、文明社会のあり方に切り込んだとも思える描写が見受けられたのも個人的には印象深いです。

 

当時も今も、私たち人類にとって電気を中心とした数々のエネルギーは生きていく上で欠かせないものであり、それらをひとたび断たれれば容易く命の危機に直面するほどに、私たちの生活基盤はひどくシンプルで、見ようによっては脆弱なものであると思わされるような、そんな何とも言えないザワザワとした危機感や焦燥感のようなものを感じさせられます。

 

もちろん文明社会が悪いとか、エネルギー依存が良くないとか、そんなことが言いたいわけではないでしょうし、私自身も決してそのようなことを思っているわけではありませんが。

 

ただ、これを社会に対する問題提起と捉えるのか、作品を楽しむための着眼点の一つと捉えるかで、本作における今回のエピソードの持つ意味がまた変わってくるかもしれません。

 

 

あと、そういえばナメゴンの一件の後も人類による宇宙開発は続いているようですね。

今回は有人土星ロケットであるサタン1号が意図せずバルンガの胞子を持ち帰ってしまったことが原因であると考えられていますが、前回はナメゴン、今回はバルンガといったように、やはり宇宙進出というものにはそれ相応の代償が伴うということなのでしょうか。

 

ナメゴンが「贈られた」ことも、バルンガがやって来たことも、「大宇宙のルール」における「現象」の一つなのだとしたら、人類による宇宙進出の前には、途方もない脅威と気の遠くなるような課題が立ちはだかっているように思います。

 

 

今回のオープニングは、BGM中盤頃にナレーションが流れる仕様。

未知の「風船」の脅威にさらされ、サタン1号が地球へ墜落していく様子が生々しく映し出されています。

 

アンバランスゾーンの住人たち

 

サタン1号墜落現場上空を飛行中にバルンガに寄生され、セスナのみならず車のエネルギーも奪われてしまいました。おまけに車は壊れるわ一平はケガするわとなかなかの憂き目に逢っています。

 

人類規模の危機を前にあらゆるエネルギーが使用不能となった状況で、さすがに行動が制限されていましが、さりとて由利子と共に奈良丸博士を追い、おそらく一連の騒動下で最も事態の中心にいた人物と言えるでしょう。

 

瀕死の一平に対しては一見ドライなような、無関心とも思える言動を見せていましたが、個人的にはあえて考えないように、心配し過ぎないようにしていたのかなと感じました。

あるいは一平の性格や精神力を考えた上での言動のようにも思います。

 

由利子

一平の負傷の原因、とも言えるかもしれません。

序盤から淳らと共にバルンガの被害を受けることになりました。

 

その後は、記者としてバルンガの秘密を知るであろう奈良丸博士を淳と共に追うことに。

状況が状況なだけに、前半以降はいつもの強気な発言やいたずらっぽい表情は控えめになりましたが、さりとて淳から窘められながらも記者として自身を鼓舞して事態打開に乗り出す姿勢は彼女の持つ芯の強さをよく表していました。

 

ここ最近のエピソードの中では一番出番が多かったように思います。

 

一平

燃料補給を怠ったと思われて淳に怒られるわ、由利子を庇って負傷して瀕死になるわと。バルンガのせいでとんだとばっちりを受けることとなりました。

 

負傷後は基本的に意識がなく寝たきりだったので前半以降の出番はありません。

しかしながら、彼の存在が淳や由利子の行動力の源になったことは疑いようがないでしょう。

 

一の谷博士

出てくるかなと思ったら出てきませんでした。国内にいなかったんでしょうか。

 

関デスク

久々の登場。今回もブイブイいわせてましたね。お元気そうで何より。

 

奈良丸 明彦

今回のキーパーソン。20年前にバルンガを発見し学会で発表していた学者です。バルンガの危険性を考慮して殺処分したゆえ、実物を提示できずに学会を追放されてしまったという過去があります。

また、今回はバルンガによってサタン1号に搭乗していたご子息を亡くしており、人生をバルンガによって歪められた、とも言えるかもしれません。

 

当初はバルンガを「神の警告」と呼び、今回の「現象」を止める手立てはないと事態に介入する姿勢は見せませんでしたが、飛ばした風船から人工太陽によるバルンガ誘導をひらめき、淳をメッセンジャーとして対策本部へ作戦を提案し、見事バルンガの脅威から人類を守ることに成功しました。

 

上記の経歴ゆえか、どこか厭世的というか、超然的というか、なんとなく謎めいた雰囲気をまとっています。風船も持ってますし、ホントに謎の老人って感じ。しゃべり方といい、とても良いキャラクターをしていました。

 

神の警告

風船怪獣 バルンガ

あらゆるエネルギーを喰らい続け無限に成長を続ける恐るべき存在で、もはや「自然現象」にも等しいとも言えます。

 

サタン1号により地球へ飛来。サタン1号のエネルギーを奪い、星川航空のセスナのエネルギーを奪い、淳の車のエネルギーを奪います。

その後、都市部すべてのエネルギーを奪い、果ては台風のエネルギーをも奪い、どんどんどんどん成長を続けましたが、国連によって宇宙へ放たれた核ミサイルに誘導され、地球を離れ、そのまま太陽に向けて旅立っていきました。

 

宇宙胞子とされていることから一応は生物に分類されるようですが、その出自や目的、意思の有無などは一切不明。

長らく研究していた奈良丸博士をして「現象」であると結論付けられていることから、おそらく意思らしい意思は持っていないのでしょう。エネルギーを喰らう、というその本能のみ。

 

こんなものが当たり前に存在する宇宙は、やはりまだまだ人類には手に負えない世界なのだろうと思わずにはいられませんね。

考え方によっては、このバルンガで惑星一つ滅ぼすことだってできるのかもしれないんですから。

 

ところで作中の説明から、一定の大きさになるまでは「殺す」ことが可能であるようでしたね。

物理エネルギーも吸収するみたいですし、20年前の奈良丸博士はどうやって殺処分したんでしょう。成長段階によって吸収できるエネルギーの種類に制限があるんですかね。第一段階は液体だけ、第二段階から物質全般、第三段階からエネルギー全般、みたいな。

 

次回に向けて

冒頭に書いた通り、この「ウルトラQ 4K」感想については、今後も不定期連載企画のような感じになるだろうと思います。

これからも引き続き、ゆるくのんびりと、お時間許す限りお付き合いいただければ幸いです。

 

日々の中で、忘れた頃にやって来るアンバランスゾーン。

慌ただしい日常の中で、ふと思い出す不思議な世界。

 

そう遠くない内に、またお目に掛かりましょう。

 

次回は第12話「鳥を見た」です。

 

それではまた。