12日ぶりの更新です。ARAIです。
先週の日曜日は急用が入りブログの更新ができなかったので、「ウルトラQ」の感想としては実に2週間ぶりの更新になってしまいました。
やっぱり春は色々と、何かと慌ただしいものです。すっかり暖かくなってきたのはとっても嬉しいんですけどね。
さて、それではいきましょう。「ウルトラQ 4K」第3話です。
ウルトラQ 第3話「宇宙からの贈りもの」
火星より贈られたもの
地球の中のちっぽけな人類。宇宙の中のちっぽけな地球。大きな宇宙という「くくり」の中で、果たして地球人とはいかほどの存在なのか。
今回は「ウルトラQ」で初めて「宇宙」に目を向けたお話が展開されました。
「大宇宙のルール」などという言葉が出てくる辺り、なんだかスケールが大きいなぁと思わなくもないんですが、さりとて例によって、単なる「怪獣モノ」と言えない奥深さは今回も健在。
「政治的実権を握るための宇宙開発競争」や「戦争、人種差別、人身売買がまだ行われている」など、現代において未だ根強く残る人類の「業」とも言える世相背景を反映した見事なエピソードに仕上がっていました。
今回のお話で取り扱ったテーマが後の「セブン」に続いていくということは想像に難くありませんね。
「人類の行う宇宙開発が、他の惑星においては迷惑になっているかもしれない」だなんて聞くと、やっぱり思い起こされるのは「セブン」のエピソードです。なんてったって、この間まで見てたわけですし。
「超兵器R1号」や「闇に光る目」、「ウルトラ警備隊 西へ」などと併せて、今回のお話を見てみても面白いかもしれません。
さて、お話の内容としては、火星にいる何者かが地球へ「贈った」怪獣を中心に巻き起こる騒動を描いたものになっています。
宇宙に住まう未知なる知的生命体の存在やその科学レベルが示唆され、また、今回の騒動の原因となった「何者か」の正体が明かされないなど、極めて奥行を感じられる構成です。ラストシーンの描写と併せて余韻も抜群。
対策会議でのお偉方の様子から、作中世界における「宇宙人」の概念や立ち位置が何となく汲み取れるようになっていたり、淳らメイン組がそれぞれの個性を引き立てる言動を行っていたり、一の谷博士が初登場したりと、演出やキャラクターといった細かな部分でもしっかりと世界観を感じられるようになっていますね。
まあもう第3話ですし、私自身、このアンバランスな世界に馴染めてきたのかもしれません。
今回のオープニングは音楽とクレジットを流しながらのナレーション。
お馴染みのテーマ曲をバックに、のどかな海面をユラユラと漂う「何か」を様々な角度から映し出しています。前回のような疾走感、前々回のような重厚感はありませんが、こと不気味さはダントツなオープニングに仕上がっていますね。一見穏やかな海が、またどこか不穏なものを感じさせてなりません。
そして毎度言ってますけどホントに画質良いですね。
今回の個人的な見どころは、やっぱりナメゴンの体表の質感ですかね。モノクロでもわかるあのツヤ…。うえぇ絶対ヌメヌメしてるだろっていう…。
あとは上述オープニングの海面の揺らめきですかね。オープニングとしての演出ももちろんですけど、あの映像の美しさにも俄然心惹かれるんですよね。没入できるというか。
アンバランスゾーンの住人たち
淳
強盗とやり合うわ、怪物がいる洞窟へ飛び込むわ、難なく拳銃を操るわ、ナメゴンから逃げきって撃退するわと、若干控えめだった前回と打って変わってスーパーアグレッシブな活躍を見せてくれました。あんた何者?
他の惑星に迷惑を掛けていたとしても、人類の宇宙開発は進めるべしという、やや強引ともとれるフロンティア精神を垣間見せましたが、由利子や一の谷博士の言葉を受け思い直した様子を見せていました。火星に啖呵を切った一平とは異なり、ナメゴンの出現を戒めとしてその胸に刻んだようですね。
由利子
要所要所でか弱い部分を見せてはいますが、前回に続いて相当なタフネスと肝っ玉を見せてくれた彼女。
冒頭ではプロの記者としての矜持が垣間見える発言もありましたし、「趣味の問題」として進んで怪物の取材へ赴く辺り、彼女もまた随分とアグレッシブ。
前半に「地球は平和」と話していた彼女が、後半では「人類の未熟さ」を語っていたのが印象的でした。一の谷博士以外で、この類の台詞を言わせるとしたら彼女以外にいないでしょうね。記者としてきっと、これまで色々なものを見てきているのでしょうから。
それにしても、彼女が記者として、日頃から世界各地を渡り歩いている姿が簡単に想像できてしまいますね。どうやら私の中で、彼女のキャラクターもかなり確立されてきたようです。海外出張に行っていたという設定と、それを活かしたアイデアという前回の流れが、その下地になっているのでしょうが。
一平
軽薄なお調子者。なのにまったく憎めないのは見事なキャラクター像だと思います。
拾った金塊(のように見えて実は怪獣の卵)から自作したネックレスを由利子にプレゼントして悦に入っていましたが、あれは由利子に気があるとか、淳より優位に立ちたいとか、そういうことではなくて、単にノリでプレゼントしただけのような気が。
なんというか、彼は打算的であるとか駆け引きをするとか、そんなタイプには見えないんですよね、個人的に。他人の気持ちをどうこうしようとか、自分の利益をどうこうしようとか、そんな損得勘定は持っていなさそうな、シンプルなお調子者。
ただ、第1話から今回までの描写を見るに、お調子者ではあるものの臆病者ではないのかなと思っています。今回も進んで洞窟に入っていましたし、淳のことを気遣い心配していたりと、随所に人柄が出ていたような。
いやまあ、まだ第3話時点なので何とも言えませんかね。どうやら私は彼のことを相当気に入ってしまったようです。引き続き、淳や由利子と併せてその活躍を見守らせていただきましょう。
終盤、火星に啖呵を切った直後に、自身がプレゼントしたネックレスから火星怪獣が生まれるという展開は、何とも三枚目らしいというか、彼らしいなと感じてしまいました。
一の谷博士
初登場。メイン組と関わりが深い科学者で、お偉方が出席するような宇宙開発局主催の会議にも出席している辺り、相当高名なようですね。今回のお話だけでも、その冷静さと博識ぶり、また、柔軟な発想力がいかんなく描かれていました。
作中の描写から、メイン組とはそれなりに親しい様子でしたが、記者である由利子やパイロットである淳と一平とどういう接点で知り合ったんでしょうか。由利子の取材で知り合って、そこから淳と一平と知り合った感じですかね。
今後もメイン組と共に登場し、アンバランスな事象に関わっていくようなので、これからの活躍が楽しみです。
由利子の同僚
デスクから怪物の取材を命じられ尻込みしていた人。芸能記者で、相馬さんというらしいです。「勇気の問題ではなくて、趣味の問題」という発言はある意味で名言だと思います。
デスク
そんな相馬さんをどやしていた人。前回その行動力と活躍を目の当たりにしているので、相馬さんへの言葉には説得力しか感じません。
強盗二人組
ゲストたち。宇宙開発局のお金と金塊(のように見えて実は怪獣の卵)を盗み、マカオに高飛びを計画していました。まさに「ギャング」って感じの風貌と話し方をしています。
淳を脅した後、お金を山分けしている最中に金塊(のように見えて以下略)を図らずも孵化させてしまい、そのまま襲われ死亡してしまいました。因果応報とはこういうことを言うのかも。
宇宙開発局と対策会議の方々
一の谷博士と共に、「宇宙からの贈りもの」に関する対策会議を開催していました。いわゆる「お偉方」なわけですが、あの様子だと、今回の一件を真剣に捉えていた方が果たしてどれだけいたのやら…。
しかし一方で、上にも少し書きましたが彼らの描写から、逆に本作における「宇宙人」という概念と立ち位置がわかるようになっているんですよね。
「ウルトラQ」における地球においては、「宇宙人」などという存在はメジャーなものではなく、ほとんど認識されていない状態、何なら未だ眉唾物とさえ思われている状態なのかもしれません。だからこそ、彼らは冗談交じりに笑っていたのでしょう。
ただ、宇宙開発局の長官については、作中の言動から、今回の事件を真剣に捉えていた数少ない人物だったように思いますね。
もっとも、未知の物体を素手で全員に触らせるようなことをしている時点で、やはりこの世界における「未知」への認識の甘さが見て取れるわけですが。
宇宙からの贈りもの
火星怪獣 ナメゴン
火星の「何者か」より地球へ「贈られた」未知なる生物。なお、作中では「ナメゴン」と呼称されることはありません。名前もさることながら弱点も「塩」水であるなど、ナメクジをモチーフにしたであろうことは言わずもがなですかね。
身長は30mもあるらしく、ゴメスよりも大きいです。
ナメクジにそっくりな見た目で、その体表はヌメヌメと湿り気が。そして両目から放つ怪光線には、生物を硬直死させる効果があるようです。実に恐ろしい。
卵の状態で2体飛来し、内1体はギャングらの手に渡り、彼らが意図しないかたちで温泉熱の影響で孵化します。その後、怪光線でギャングらを殺害し現れた淳らに迫りますが、最終的には海へ落下し溶解死。
残る1体はネックレスとして由利子の首元でユラユラと過ごした後、コーヒーを温めていたアルコールランプの熱の影響で孵化。塩水を浴びせられて死亡するであろうことを示唆し、本編終了となります。
宇宙開発を進める地球人への警告的存在として、火星より遣わされたとされるこのナメゴン。
一平は「威嚇でも何でもない」との旨の発言をしていましたが、たしかに地球上に余りある海水で対処可能な辺り、人類規模で見た場合の脅威の程度は、たかが知れているのかもしれません。
しかしながら、作中の描写を見る限り、ナメゴンに友好性はなく、人類とコミュニケーションを取れる能力を持っていない、あるいは人類への敵意を持っているようでした。
もし地球上に大量に出現し、街々を徘徊したとしたら…。決して少なくはない数の犠牲が出ることは明らかですね。
ナメゴンといい、エンディングのナレーションで示唆された「次に火星から贈られてくる怪獣」といい、こんな生物たちをポンと地球へ寄越す存在が宇宙に存在していると考えると、背筋がゾッとする思いです。
次回に向けて
2週間ぶりの更新のせいか、春の暖かな気候のせいか、なんだかいつもより書くのに時間がかかった気がします。
その分ナメゴンを何度もじっくり見れましたけど。
次回は第4話「マンモスフラワー」です。
それではまた。