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【感想】ウルトラセブン 第48話「史上最大の侵略 前編」

今日は用事があって出ていたのでこんな時間の更新になってしまいました。ARAIです。

 

さて、早速いきましょうか。「セブン4K」第48話です。

 

ウルトラセブン 第48話「史上最大の侵略 前編」

最終章、開始 ~満身創痍の真紅のファイター~

さあ、ついに始まりました「ウルトラセブン」の最終章。今さら言うまでもなく、今回次回との前後編、計2話で構成された最終章となっていますね。

ちなみにこれまでの「セブン」における前後編エピソードは、また言うまでもなく、第1415話「ウルトラ警備隊西へ」と第3940話「セブン暗殺計画」の2本です。この2本のエピソードの密度、規模、展開、そして登場した敵の強さなどなど、諸々考えてみれば、前後編エピソードの3本目にしてラストを飾る今回のエピソードの期待値というのはそれはもうハンパではありません。

放送当時リアルタイムで視聴されていた方や、放送終了後に初めて「セブン」を通しで見られた方の期待感と興奮たるや、筆舌に尽くしがたいものがあったことと思います。シリーズをつまんで見たり、また、主要エピソードを一通り見たことのある私も、展開がわかっていて、かつ、ラストがどうなるのかわかっていても、こみ上げるワクワクを抑え切れないほどです。

そう考えてみると、何も知らないまっさらな状態で今回のエピソードを見られない自分が少し惜しいなとも思ったり…。今回のエピソードを初めて見たのはたしか幼少期の頃だったように記憶していますが、その時の自分は何を想い、感じていたのだろうかと、ふと考えてしまいました。

 

さて、本題に移りましょうか。

前述の通り、ついに「セブン」最終章が始まったわけですが、今回はその前編。ダンの不調から始まる不穏な空気感と、久方ぶりとなるクラタ隊長の登場。地球へ飛来する謎の物体にセブン上司の警告、囚われるアマギ隊員、そして弱り切ってしまった満身創痍の真紅のファイター。

粛々と、着々と、確実に、「最後」に向けた準備が展開されています。

 

冒頭、いきなり汗だくでうなされているダン。そしてBGMのない耳に刺さるような沈黙。まずここで、視聴者の心は大きく揺さぶられますよね。ダンの身に何かが起こっている…と。

その後、ダンと気の合う朗らかなソガ隊員の笑顔に一瞬癒されたと思いきや、途端に再度描かれるダンの「不調」。正しく疲労困憊といったダンの様子はただならぬ様相で、冒頭揺さぶられた視聴者の心はここで大きな確信へと変わります。ダンの、セブンの、そして、人類の危機だと。

 

つらいのは、ダンが無理をしてしまったがために失態を重ねてしまっているところですね。

地球を愛し、護りたいと心から想っているがゆえの失態。まあ言ってしまえば本末転倒な結果になってしまっているわけですが、さりとて彼を責めることはできないでしょう。真紅のファイターとして、また、ウルトラ警備隊として、その身を捧げ戦ってきた彼を思えば。

少なくとも我々視聴者は、そのことを充分に知っているわけですから。

 

今回は主に「ダンの不調」を中心にお話が展開されています。

ドラマパートも戦闘パートも、基本的にはダン=セブンの不調にまつわるものがメインで、肝心の「史上最大の侵略」に関してはまだほとんどフォーカスされていません。ゴース星人の登場もホントに少なめでしたし…。

まあパンドンはバッチリ大暴れしてくれていましたが、やはり総じて、今回は前後編の前編に相応しく、上述のように「最後」となる次回に向けての下準備といった印象が強いですね。

もっとも、これまでの前後編エピソードと同様に、それが単なる「下準備」で終わっているなんてことは決してありません。それぞれの要素が一つのお話としてしっかりと形成されつつ、その一つ一つが、じりじりと、ひしひしと、物語を加速させ、盛り上げてくれています。

 

例によって、以下でもう少し詳しく見ていきましょう。

 

最後の侵略者 ~幽霊怪人と双頭怪獣~

登場したのは幽霊怪人ゴース星人と双頭怪獣パンドン

前者、ゴース星人。無機質な黒いマスクのような顔に、女性を彷彿とさせる長い紫色の毛髪、そして特殊工作員のような赤と銀を基調にしたコスチュームを身にまとった今回の侵略者です。

が、このゴース星人。今回のお話ではその登場と活躍のシーンはほとんどありません。ぶっちゃけ、その姿と声(言語)が明かされたぐらいなものですかね。何なら名称さえも本編では呼ばれていません。まあそれ自体は「セブン」的にはそれほど珍しいことでもないんでしょうが。

 

パンドンのオペレーション中のアマギ隊員をいきなり拉致するというとんでもない暴挙に出ていますが、ヤツらの邪悪さや凶暴さがよりしっかり描かれるのは次回。アマギ隊員の行方、そして、ヤツらがたどる結末など、詳しくは次回へ持ち越すとしましょうか。

しかしながら、そのなんとも不気味なビジュアルと、甲高い声で繰り広げられる会話シーンなど、短い登場時間ながらも充分なインパクトを残したと言えますね。

 

後者、双頭怪獣パンドン

肩書の通り二つの頭を持ちますが、パッと見では頭部は一つという独特なデザインをしており、その頭部に当たる部分の両側面にそれぞれの顔がついている、というようなイメージでしょうか。全体のデザインはと言えば「赤いトンカツ」などと言った表現が有名のようですが、まあ、たしかに、そう表現すればだいたいの全体イメージは掴めるかも…。

後のウルトラシリーズにおいてもネオパンドンやキングパンドン、マガパンドンにゼッパンドンなど、亜種とも呼べる個体が複数体登場していることから、「ウルトラマン」におけるバルタン星人やゼットンらと同様に、ある意味では「セブン」という作品を代表する立ち位置にいる怪獣であると言えるかもしれません。ラスボスポジション補正という言い方もできようかと思いますが。

 

本編では大型宇宙船から登場。ゴース星人の地球侵略のために連れられてきたようですが、今の時点で両者の関係は明言されていません。

双頭の嘴から凄まじい熱量の火炎を放ち、宇宙船の迎撃に出撃していたウルトラ警備隊を窮地に陥れます。その後、出現したセブンと対峙。

巨大な岩石を投げつけ、掴みかかり首を絞め格闘戦を展開します。満身創痍で満足に戦えないセブンを容赦なく殴打し、蹴り上げ、投げつけ、アイスラッガーをも叩き落し、踏みつけ、セブンをとことん追い詰めます。

最終的には、ホーク3号に気を取られ生まれたスキをセブンにつかれるかたちで敗北。アイスラッガーで左腕と右脚を切断され倒れ伏しました。

 

本編の描写から、本来であればそこまで苦戦するような相手ではない、とのご意見もあるこのパンドン

まあ実際、セブンが万全な状態であれば、たしかにここまで優位に戦いを進めることはできなかっただろうなとは思いますが、しかしそれならばそれとして、パンドンもまた違った戦いを展開したんじゃないかなとも思っています。

ゴース星人は、セブンが地球にいることを承知の上で地球侵略を決行したわけですから、それ相応の実力を持った個体としてパンドンを選んだと思うんですよね。セブンが満身創痍の不調であるということを、ゴース星人はおそらく把握してはいなかったでしょうし。平凡な、あるいは弱い怪獣を選ぶ筈など決してないというか。個人的には、仮にセブンが万全な状態だったとしても、パンドンに圧勝するということはなかったような気がしています。

 

それぞれが見せたダンへの言動 ~地球防衛軍のリアルな人間関係~

今回はウルトラ警備隊全体として、というよりは、隊員個々での印象が強かったですかね。個人的には後半の戦闘パートも含め、それぞれのキャラクターのダンへの言動がポイントかなと感じました。

 

特筆すべきはやはりアンヌ隊員でしょうか。

「ダメダメ、少しは私の言うことも聞いて」や「いけないわ」など、半ば強引に、さりとて柔らかな優しさを醸し出しつつ、ダンの不調を誰よりも気にかける様子から、彼女の中のダンへの想いのようなものを感じ取ることができました。単にメディカルセンターの職員が隊員の体調を気遣っているだけ、というわけではないのだと。彼女にとってダンは、もはやただの同僚などではないのだと。心から大切に想う人の体調を、心から気遣っている、心配している。そんなアンヌ隊員の想いを、彼女の口調や表情から感じ取ることができました。

また、戦闘パートではホーク3号を駆りセブンを度々アシスト。キリヤマ隊長らを襲う炎を消火し救出することでセブンをパンドンへ集中させ、さらにアイスラッガーを封じたパンドンの気を射撃で逸らし突破口を開くなど、ヒロインの名に恥じぬ大活躍を見せてくれました。

 

そんなアンヌ隊員と同じくらいにダンへの想いを垣間見せてくれたのがソガ隊員。冒頭のパトロール勤務交代の際のダンとのやり取りは必見でしたね。

ダンの体調が悪いことを即座に見抜き、パトロールを「代わってやろうか」と申し出たり、ガムを投げ渡し「元気出せよ」と声を掛けたり、ソガ隊員の人柄とダンとの関係性がよくわかるシーンになっていました。ちょっとした人間関係が垣間見えるこういう細やかな場面が大好きなんですよね。

 

あとはやはり、外せないのがクラタ隊長の再登場。

第35話以来の登場となりましたが、良くも悪くもクセが強いのは相変わらず。前回前々回の登場で見せてくれた味わい深さは鳴りを潜め、今回はどちらかと言えば悪い方のクセが顕著に出ていたように思えてしまいますが、それはあくまで視聴者目線。

クラタ隊長自身の立場と目線で見れば、今回のダンへの辛辣な言動はやむなしと言ったところですかね。ダン=セブンの事情を知らないわけですし、命を懸けて地球を護る防衛軍の隊長にとって、今回のダンは体調管理もろくにできないだらしない男にしか見えなかったことでしょう。

ましてやダンと面識もあり、以前に行動を共にしたこともあったわけですから、ある意味ではその反動というか、初対面の相手に対してよりもさらにその失望感は大きかったことでしょう。

そんな彼も次回で「すべて」を知ることになるわけですが、それはまたその時に詳しく書くとしましょうか。

 

こうして考えてみると、日々ダンと近い位置で接してきたアンヌ隊員やソガ隊員と、数えるほどしか接っしていないクラタ隊長とで、ダンへの言動が大きく異なることが改めてわかります。

これはリアルな社会や組織の中での人間関係でも間々ある話で、こういった描写を通しても、またある意味で地球防衛軍という「組織」のリアルさや生々しさを表現する一助になっているのかもなと、ふと愚考してしまいました。

 

満身創痍の戦い ~斃せ、火を吐く大怪獣~

セブン上司からの忠告により一度は変身を諦めたダンでしたが、仲間たちの窮地を前に意を決し変身。ボロボロの体に鞭を討ち、パンドンと対峙します。が、フラつきよろけるその姿はまさに息も絶え絶えといった状態で、正直、直視するのもなかなかしんどいシーンでした。

特に、エメリウム光線が途中までのちょろっとしか発射されないシーンは、いかにセブンが不調であるかを如実に示す、ある意味では見事な演出だったと思います。

このシーンの衝撃たるや、もはや言葉で言い表すことなどできない、まさしく絶望に見舞われた瞬間でしたね。数多の侵略者たちを打ち倒してきた、セブンの絶対的な得意技にして必殺技。そのエメリウム光線がまともに使用することができない状況というのは、セブンの危機をこれでもかというぐらい視聴者に知らしめてくれます。

 

ろくな格闘戦も展開できぬままパンドンに頭部を殴打され、腹部を蹴られ、地面に打ち倒される姿の痛々しさといったら…。特に頭部を殴打された際は、その痛みにもだえ苦しむ姿と相まって「もうやめてくれ」と思わず声に出してしまいそうになるほど悲愴な姿。切り札のアイスラッガーさえも無残に踏みつけ封じられうなだれる真紅のファイター…。

 

その後、アンヌ隊員によるホーク3号の援護を受け、電光石火の反撃を展開。アイスラッガーを手に持ち、パンドンの左腕右脚を切断し辛くも勝利を収めました。

 

が、変身を解除したダンはそのまま倒れ、メディカルセンターへ救急搬送されてしまいます。頭部からは―戦闘時に受けた打撃によるものと思われる―血を流していました。

 

ところで、今回は全編にわたってセブンが不調であるにも関わらずビームランプが点滅していませんでした。

かなり強引に考えるならば、今回のケースは「"ウルトラ戦士としての光のエネルギー"が不足していることによる不調」なのではなくて、「肉体的な疲労がピークを迎えていることによる不調」だったのでビームランプが点滅しなかったのではないかと、個人的に勝手に解釈しています。まあ、めちゃくちゃに強引な考え方ではありますが…。

ただ、たしか「ダイナ」第49話でも、アスカの体力が限界を迎えた状態で変身したダイナのカラータイマーは青だったんですよね。なので、ウルトラ戦士の「体力」が一概にカラータイマーやビームランプに反映されるわけではないような気もします。

 

この辺り、何かの機会に深掘り、というか、自分なりの理屈を考えたりしてみるのも面白そうですね。もちろん、単純な制作上のミスが原因だというのはなしで。(笑)

 

その他 ~次回に向けて~

―悪魔のような侵略者たちから地球を護るために戦ってきたウルトラセブンにも、

 最期の時が近付いていた。

 もう二度と、再び立ち上がることはできないのだろうか?

 

 死んではいかん!!

 地球はまだ、君を必要としているのだ!

 

 頑張れ!モロボシ・ダン

 ウルトラセブン!生きるんだ!!―

 

次回は最終話。

第49話「史上最大の侵略 後編」です。

 

それではまた。