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【感想】ウルトラセブン 第18話「空間X脱出」

世間ではお盆休みの時期といったところですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。ARAIです。

今日の「セブン4K」は第18話になります。それではいきましょう。

 

ウルトラセブン 第18話「空間X脱出」

疑似空間という「恐怖」 ~違和感で魅せた「空間X」~

赤い植物、吸血ダニ、硫黄のようなものが立ち昇る沼など、雰囲気抜群な疑似空間が非常に印象的でした。他にも、ベル星人の放つ怪音波による幻覚の演出や、アマギ隊員とソガ隊員を中心に展開していくドラマ、格闘戦に加えて空中戦も楽しめる戦闘パートと、今回も見どころの多いお話だったように思いますね。

ウルトラ警備隊が日頃行っている訓練を描きながらの導入だったり、アマギ隊員の高所が苦手なところだったり、その正体故に周囲よりも敏感に怪音波に苦しんでいる様子のダンだったりと、全編に渡って細やかな演出と設定が散見されたのも好印象。

今回のお話は個人的に、完成度という点では「セブン」エピソードの中でも今のところトップクラスなんじゃないですかね。そう思えるほどに、いつにもまして今回は画面にくぎ付けになっていました。

 

お気に入りはやはり「空間X」と題された疑似空間という、その世界観ですかね。

第10話「怪しい隣人」での四次元空間の描写も見事でしたが、今回もまた良い感じに未知さ(=X)が出ていましたね。「森」という、地球上に存在している舞台をベースとしている点では、四次元空間と大きく異なってはいますが…。

四次元空間が、アンバランスなデタラメ感によって謎の空間を描写していたのに対し、疑似空間は、近いようで遠い、似ているようで違う、といった微妙な違和感によって未知の空間を描写していたように思います。

個人的には、四次元空間には「恐怖」よりも「謎=疑問」を強く感じ、疑似空間には「謎=疑問」よりも「恐怖」を感じましたね。

人は、明らかに何が何だかまったく分からないモノが多い空間に放り出されるよりも、血を吸われる「ダニのようなモノ」がいたり、ガスを吐きながら迫る「クモのようなモノ」がいたりと、何となく感覚的に「ヤバそうだ」と感じ取ることができるモノが多い空間の方が、より強い恐怖感を覚えるようです。

 

また、今回はウルトラアイ無しでの変身シーンがお披露目されました。

既に何回かウルトラアイを盗まれているので、一瞬「ん?」と思ってしまいましたが、今回ダンはウルトラアイを身に着けた=持っている状態だったんですよね。両目に装着するという「デュワ」のプロセスをすっ飛ばしただけで…。

実は身に着けてさえいれば自由に変身できる、ということでしょうか。

あるいは、「デュワ」という正しいプロセスを経ることが、万全な状態で変身するための条件で、そうしなければセブンとして全力を発揮できないとか。

だから基本的にはいつも「デュワ」して変身しているけれども、今回はその余裕もなく、とりあえず変身することが最優先だったから「デュワ」を省略したとか。

整合性を図るとしたら、こんな感じでしょうか。

この辺り、詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えてください。

 

空間Xの悪魔たち ~音波怪人と宇宙蜘蛛~

登場したのは音波怪人ベル星人と宇宙蜘蛛グモンガ。

前者はセミやコオロギを二足歩行にして巨大なヒューマノイドっぽくしたようなデザイン、と言えば概ねの雰囲気は伝わりますかね。背中なんてまんまですし。

地球の大気圏内上空に疑似空間を作り出し、迷い込んだ人間を捕らえていたぶっていた今回の黒幕なわけですが、作中でははっきりとした言語や意思を示していないため、ぶっちゃけ目的は不明なまま。

しかしながら、今回アマギ隊員とソガ隊員の身に起きたこと、マナベ参謀がワシントン支部にいた頃に捕らえられた旅客機(の乗客たち)が未だ見つかっていないことなどを踏まえると、自ずと目的は絞られますね。侵略か殺戮か、でなければ人間採集による実験か。いずれにしてもそこに善なる意思は皆無と見てよさそうです。もちろん情状酌量の余地も。

 

極めて不快な怪音波を放ちながら雰囲気たっぷりに登場。じわりじわりとアマギ隊員とソガ隊員を追い詰めつつ―彼らを餌にしたと思われますが―、キリヤマ隊長とダン、アンヌ隊員をも疑似空間におびき寄せました。

その後、現れたセブンと対峙しますが、思ったより肉体派というか、怪光線などを使わない戦闘スタイルでしたね。勢いよくセブンに挑んだは良いものの善戦できず、敵わないと悟ったのか空中へ逃亡を図ります。が、空中戦でも敵わず撃墜され、底なし沼に投げ込まれ敗北。疑似空間と共に姿を消しました。

作中の描写を見る限りでは、死亡したようには見えませんね。少しずつ消滅していく疑似空間と相まって、どちらかと言えば撤退した、とした方が自然かもしれません。まあもっとも、セブンのいるあの地球で、これまで通り活動を継続するようなことはしないでしょうけど。

 

その巨大さと疑似空間+怪音波という能力故、人類にとっては途方もないほどの脅威でしたが、ウルトラ戦士相手には少々分が悪かったようですね。ルーキー時代のメビウスやR/B兄弟、タイガ辺りにはそこそこ善戦できそうですが、歴戦のベテラン戦士ならば手も足も出なさそうに思えます。あとアグルにも弱そうですね。なんか、冷静に対処されて淡々とフォトンクラッシャーくらって敗けちゃいそうな。

 

後者、宇宙蜘蛛グモンガ。クモに似た生物で…、というか、ガスを吐く巨大なクモ、と表現するのが一番しっくり来ます。未知の空間に棲む未知の生物感バリバリのデザインと動きは異様そのもので、コイツの白黒画像が載ってる昔の怪獣図鑑とか、けっこう怖かったな…。

さて、いわゆる等身大サイズの怪獣ですが、並みの人間にとっては脅威も脅威。ウルトラ警備隊クラスの武装をして、且つ複数人でかかってようやくまともな対処が可能といったところでしょうか。

作中では2体登場しましたが、おそらくはあの森の中にわんさか生息しているんでしょうね。それこそクモの如く、迷い込む人間を待ちながら。

 

迷い込んだ男たち ~ウルトラ警備隊の新たな側面~

上述の通り、今回はアマギ隊員とソガ隊員をメインにお話が展開されていくので、実質彼ら2人が主役だったと言っても良いでしょう。特に、これまで冷静で寡黙な印象が強かったアマギ隊員があそこまで声を張り上げ、アクティブに動き、様々な表情を見せるのは初めてなんじゃないでしょうか。

個人的に印象的だったのは、他の隊員を呼ぶ時の第一声。ソガ隊員のことは「ソガ」と呼び捨てにしているんですよね。キリヤマ隊長を除いた最年長のフルハシ隊員はともかくとして、たしかソガ隊員も1年先輩に当たる筈なんですが、年が近いこともあってなんだかんだ普段から気の置けない関係なのかもしれません。スカイダイビング前のやり取りもそんな感じだったし。

そして、まあ、高所が苦手な割によくウルトラ警備隊に入れたな…(笑)

 

ある隊員が取り残されたり、遭難したり、未知と遭遇したり、今回のようにキャラクターを絞ったお話が展開されると、防衛チームの新しい側面を見ることができますね。それぞれのキャラクターに深みが出てくるというか。上に書いたアマギ隊員然り、疑似空間での切羽詰まった表情のソガ隊員然り。

また一つ、「ウルトラ警備隊」としてのドラマや世界観が深掘りされたお話だったと言えるかもしれません。

 

それにしても、フルハシ隊員は途中からどこ行っちゃったんでしょう。

 

疑似空間の戦い ~泥臭い真紅のファイター~

今回の戦闘パートは比較的長めに尺が取られているように感じました。

ウルトラアイ無しでの変身から、ベル星人と対峙。怪音波に翻弄され、初っ端からいきなりベル星人の猛攻を受けますが、なんとか体勢を立て直し蹴りを一発。格闘戦を展開した後、お次は逃亡を図るベル星人と空中戦を披露。

スパイラル光線で撃墜し、舞台を沼に移して格闘戦を再開。ベル星人の頭を掴んで水面にバシャバシャさせる姿や、倒れ込んだベル星人に追撃とばかりに掴みかかる姿はワイルドそのもの。

序盤の転げ回る姿もあって、なんだか今回は泥臭いファイトスタイルでしたね。怪音波の影響か、もしかしたら今回のセブンには余裕がなかったのかもしれません。まあそれでも、序盤を除けば戦闘は終始セブンに優勢でしたが。

 

その他 ~次回に向けて~

おやおや、どうも次はアイツが登場するようですね。その肩書と活躍故に、もはやネタキャラの域に達したあの「帝王」。

 

次回は第19話「プロジェクト・ブルー」です。

 

それではまた。

 

 

空間X脱出

空間X脱出

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