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【感想】ウルトラセブン 第29話「ひとりぼっちの地球人」

今月は祝日が無いことに気付き呆然としています。ARAIです。

近いうちにお休みでも取ろうかしら…。

 

さて、それでは今日もいきましょうか。「セブン4K」第29話です。

 

ウルトラセブン 第29話「ひとりぼっちの地球人」

宇宙人=侵略者という考え方 ~「セブン」のテーマに触れたエピソード~

ある大学の教授が実は宇宙人で、地球侵略を目的に暗躍していた、という内容的には割とあっさり説明できるようなものなんですが、その大筋の中でさり気なく「セブン」の深い部分にあるテーマに触れてきたなぁと感じるお話でした。

 

個人的には今回の主役―あるいは「もう一人の主役」という言い方もできようかと思いますが―は、一の宮だったんじゃないかと思っています。

一の宮は、黒幕たる丹羽教授の正体が、宇宙人であるプロテ星人と知っていながらもその研究に協力し、力を尽くしていました。地球では認められなかった自身の研究に、プロテ星人が唯一価値を見出してくれたからと。

地球に愛想を尽かし、自らの研究にのみ生きようとする一の宮の姿勢はサブタイトルの通り、まさに「ひとりぼっちの地球人」。今のあの世界において、「宇宙人だからと言って侵略者とは限らない」という考え方を持つ地球人が果たしてどれだけいるのでしょうか。

一の宮自身、おそらく周りにわざわざ確認や集計を取ったりまではしていないでしょうが、それでも彼の放った「宇宙人と言えばすぐに侵略者か」という言葉には相当の重みを感じます。生活の中で、「宇宙人=侵略者」という認識を持った周囲の声を日々感じ取っていたに違いありません。

一の宮にとっては、地球人のそんな考え方がどうにも赦せず、解せなかったのでしょうね。自身の研究が価値あるものと認識されないことと同じように、地球人の考え方やものの見方といったものに、相当な嫌悪感と限界を感じていた筈です。

 

だからこそ彼は、地球上でたった一人の存在となった。認められないものの真価を見極め、認めることのできる存在、すなわち、「宇宙人すべてが侵略者であるわけではない」という考え方を持った、ひとりぼっちの地球人に。

 

結局のところ、一の宮は丹羽教授に騙されていて「宇宙人は侵略者だった」ということになるわけですが、それでもなお「宇宙人すべてが侵略者とは限らない」というテーマに触れた点では、今回のお話は非常に大きな意味を持つと思っています。それこそ、「地球人も広義では宇宙人であり、侵略者となり得る」というテーマに触れた第6話「ダーク・ゾーン」第14・15話「ウルトラ警備隊 西へ」第16話「闇に光る目」第26話「超兵器R1号」辺りに匹敵するほどに。

 

そして忘れてはならないのが、ウルトラ警備隊と肩を並べ地球を護っているウルトラセブンも宇宙人だという点。

この点を踏まえて、上に書いた地球における「宇宙人=侵略者」という認識を考えていくと、またなかなかに興味深いお話にもなってくるとは思うんですが、今回はこれ以上語るのはよしておきましょうか。少し本題ともズレて来そうですし。

 

静かなる侵略者 ~宇宙スパイ~

登場したのは宇宙スパイプロテ星人。

京南大学の丹羽教授として地球に潜入。上に書いた一の宮を騙してスパイ衛星を作らせ、地球防衛軍の機密情報を手に入れようと画策していました。

「宇宙スパイ」という肩書の通り、直接的な戦闘力よりは特殊能力に秀でた宇宙人で、金縛りや幻覚、透明化だけでなく、身代わり(抜け殻)を繰り出すこともできます。この抜け殻の実力たるや、エメリウム光線アイスラッガーを受けてもビクともしないどころか、本体に匹敵する能力を行使することが可能というかなりのチートぶり。

隠密行動を得意とする宇宙人は数いれど、このプロテ星人はその中でもトップクラスに位置する宇宙人だと言えるでしょう。

 

一の宮に真相を教えたことで彼と決裂し、そこへ駆けつけたダンを前に巨大化し戦闘を開始。そのトリッキーな戦い方でセブンを終始翻弄しました。

まあこの巨大化戦闘自体が目くらましのようなものだったわけですが、あのままいけば抜け殻相手に消耗を続けたセブンに勝利していたことでしょう。

最終的には一の宮の決死の行動で、電送装置のオーバーヒートに巻き込まれ消滅。明確に死亡した描写はないものの、あの様子では無事じゃ済まなかったようですね。実際、あの直後に抜け殻も消滅したわけですし。

 

併せて登場した宇宙船も、セブンとホーク2号の活躍で宇宙の藻屑と消えました。

 

適材適所の活躍 ~地上と宇宙~

今回のウルトラ警備隊は適材適所というか、いつにもまして役割が明確に分かれていた印象ですかね。

まあ役割が分かれていたというよりは、なんでしょう、発生した出来事に対して、必要最低限の人員を、順番にかつ的確に派遣していったというような感じですかね。

 

まずはソガ隊員とダンがまずは現場へ向かい別々に行動する、そこでソガ隊員の連絡が途絶えたのでダンが向かうことになる、冴子の対応はダンに代わり女性のアンヌ隊員が担当する、最大の脅威である宇宙船は残りのメンバーで対応する、というように、流れるような役割分担が印象に残りました。

 

あと細かいところでは、やはりソガ隊員ですね。

野川隊員のあの口ぶりでは彼女なんていなさそうな感じだったのに、ちゃっかりしてやがる男だ。

冒頭の司令室での隊員同士のやり取りがほほえましいです。

 

大学の戦い ~夜の闇の中で~

今回の戦闘パートはいつもと一味違う様相を呈していました。

大学が舞台という時点でかなり変化球だというのに、そこへさらに「夜の闇」という演出。

まずは導入、研究室にて等身大へ変身するセブンと窓から逃亡を図るプロテ星人。舞台となる夜の大学のセットをじっくりと見せるカメラワークからの、対峙する2体。稲光のフラッシュに映える真紅のボディと、プロテ星人の不気味な顔が実に印象的でした。

 

プロテ星人が繰り出す攻撃に、序盤はあの手この手で対抗していたセブンでしたが、アイスラッガーまでもが効かないと見るとさすがに劣勢を感じたのか、力強いファイティングポーズの中にわずかな焦燥が見えました。

 

その後、自らも透明化を図るなどして対抗を続けていましたが、すべてはプロテ星人の掌の上。作中の描写を見る限り、対峙した相手が抜け殻だとは気付かなかったようなので、あのまま戦闘が続いていればかなり危なかったかもしれません。

仮に戦闘中に気付けたとしても、宇宙船共々取り逃がす可能性は高かったわけですから、一の宮の決死の行動がなければアウトでした。

奇しくも、地球人を嫌悪していた一の宮に、地球人を愛するセブンが救われるかたちとなったわけですね。

 

その他 ~次回に向けて~

「ダン」という人物を語る上で外せないエピソードですね。これまでの「セブン」ではほとんど見せて来なかった厳しい表情に注目です。

 

次回は第30話「栄光は誰れのために」です。

 

それではまた。