10月になりましたね。ARAIです。
今日は土曜日に更新することができたので、明日の再放送分の先取りレビューのようなかたちになりますかね。
それではいきましょう。「セブン4K」第28話です。
ウルトラセブン 第28話「700キロを突っ走れ!」
見えてこない真相 ~「視聴者」を「目撃者」にしたシナリオ~
冒頭のダンとアンヌ隊員のデートに始まり、アマギ隊員のトラウマとその克服、厳しいキリヤマ隊長に私服姿の隊員たち。エンディングでのダンのナレーションなど、ある意味ではウルトラ警備隊の面々に強くスポットが当てられたお話だったのかなと思います。
特に、少年のようにはしゃぐダンや、トラウマに苦しむアマギ隊員の表情は必見ですね。
また、一切の詳細が不明なままに、謎の勢力からひたすらに狙われ追われ続けるというシナリオも個人的にはツボでしたね。
はっきり言って、今回のお話ってホントに全然「よくわからない」んですよ。
真相がまったく見えてこない。
スパイナーを狙っているのが誰かわからなければ、もちろんその目的もわからない。
一応は犯人(たち)の姿が映りはしますが、人間の姿のまま光って消滅するだけ。言葉を発することもなければ、何かしら声を上げることもしない。
使うのはバイクやらヘリコプターやら、地球にあるものばかり。
恐竜戦車との関連性もはっきり示されているわけでもなく、掌握した筈のスパイナーを落とすわ転がすわでいまいち何がしたいのかもわからない。
この全くもって「よくわからない」感じに、今回は非常に引き込まれましたね。いえ、引き込まれたというよりはリアルさを感じたというのか。今回は「視聴者」ではなく、画面の中の世界の住民として、ある種の「目撃者」になったような気分でした。
目の前で事件が起きていることは目撃(認識)しているけれども、その事件の裏側や真相は決してわからない。スパイナーを狙っていた連中と恐竜戦車との関連性もわからない。しかも今回はダンの変身シーンがなかったの、もちろんダン=セブンだということもわからない。
そこですよね、今回の魅力は。より「現場」に近い者の目線になったような、そんな感覚に陥りました。
これを描写不足というのか、クセというのか、それとも何とも感じないのか。
人それぞれに感じ方は色々あるんでしょが、私は好きでした。
毎回毎回こんな感じのお話にされるのはさすがにキツいですが、たまーにこういう作り方をされたお話があると、存外に楽しめてしまえるもんです。
以下でもう少し、詳しく見ていきましょうか。
あ、そういえば、今回は第20話「地震源Xを倒せ」に続いてラリーが取り上げられていましたが、放送当時に日本で注目を浴びていたんですかね。私はラリーのことをよく知らないので詳しいことはわかりませんが。
謎の勢力 ~侵略宇宙人と戦車怪獣~
登場したのは侵略宇宙人キル星人と戦車怪獣恐竜戦車。後者は恐竜「センシャ」ではなく恐竜「タンク」と読むらしいです。私はずっと恐竜「センシャ」だと思っていました…。
さて、まずは前者キル星人ですが、本編で判明しているのは「スパイナーの実験を妨害しようとする謎の存在」という一点のみ。「キル星人」という名称も本編で呼ばれることはなく、またその正体も、姿も、声も、目的も、一切が謎に包まれたまま終わってしまいました。まあ姿については、ヒューマノイド型宇宙人ということであれば、もしかしたら作中のあの姿そのままなのかもしれませんが。
しかしそれ以外は一切不明。ホントに一切が謎のままの存在でした。何なら恐竜戦車との関係性も不明です。
本編では複数体登場。
ありとあらゆる手を使って、スパイナーを運搬するダンとアマギ隊員を妨害しますが、その都度彼らの反撃を受け敗北、死亡あるいは撤退しました。
まあ無難に推測するとすれば、目的は地球侵略で、侵略の障害となるであろうウルトラ警備隊およびスパイナーを排除しようとした。が、一筋縄ではいかなかったので切り札である恐竜戦車を投入した、といったところですかね。
一応は「他の星の征服のためにスパイナーを狙っていた」という設定が当時はあったようですが…。
さて、後者。ビジュアルインパクト絶大の恐竜戦車です。
重量級の戦車にこれまた重量級の恐竜が鎮座しているという何とも奇抜なデザインなわけですが、その実力は紛れもなく本物。
まずは本体(と呼んでいいのかわかりませんが)である恐竜は目から光線を放つことができます。加えて、恐竜型怪獣の醍醐味とも言える頑強な尻尾は、間髪入れず連続で振るうことが可能。さらに装備(と呼んでいいのかもわかりませんが)している戦車は三連砲を放つことができ、また圧倒的な機動力と馬力で「足」としても申し分ない性能を誇ります。
本編時点、数々の強敵と戦ってきたあのセブンをグロッキーさせ、尚且つビームランプを点滅させるほどまでに追い込んだことから、単純な戦闘力あるいは攻撃力では「セブン」トップクラスの存在と言えるかもしれません。
並みのウルトラ戦士では手も足も出ないでしょう。
スパイナーを口に咥えながら実験場に出現し、その猛攻でセブンを追い詰めましたが、最期はそのスパイナーの威力に敗れることとなりました。
アマギ隊員の試練 ~戦士のトラウマ~
今回のウルトラ警備隊はやはりアマギ隊員とキリヤマ隊長ですかね。
第18話「空間X脱出」では高所恐怖症であることが描かれたアマギ隊員でしたが、今回は爆発物に対しても恐怖心―というかあの様子だとトラウマと表現した方が良いかもしれません―を抱いていることが明かされました。そんなでよくウルトラ警備隊に入れたな…。
恐怖と躊躇に満ちた汗だくの表情を見せながらも、決死の覚悟で任務を遂行しようとする古谷敏さんの演技はまさに必見。
シナリオとしてのメインに据えられたわけではありませんが、第18話と並び、アマギ隊員を語る上では外せないエピソードになりました。
まあ結論としては、ダン共々「囮」としてのスパイナー輸送任務だったわけですが、キリヤマ隊長的には決して「敵」を欺くため「だけ」の作戦ではなかったわけですね。
キリヤマ隊長としては、あのセブンをも苦しめる強敵が次々に現れるようになった中で、少しでも部下たちを、ウルトラ警備隊を強くしておきたいという想いを常に持っているのでしょう。もしかしたらアマギ隊員だけでなく、他の隊員の弱点や成長の余地もある程度は把握していて、概ねのプランは持っているのかもしれません。
そうすると、今回はたまたまアマギ隊員にぴったりな条件が揃っていたというわけですか。そしてダンを相棒としてつけておけば、ダンならば、アマギ隊員が多少のパニックに陥ったとしてもだいたいのことには対応できるだろうと。ダンはラリー作戦の立案者でもあるわけですし、まさに諸々すべてがおあつらえ向きだったというわけですよ。
いやはや、こうして考えてみるとキリヤマ隊長のマネジメント能力には脱帽しますね。さすがは「隊長」を務めるだけのことはある…。
あと細かいところでは、やはり冒頭のダンとアンヌ隊員のデートですかね。2人の今後の関係性を語る上でも決して無視できない要素でしょう。
あとは、前々回、前回から続く強力な兵器=スパイナーの登場ですかね。
クライマックスで恐竜戦車を一撃で爆殺せしめたあの威力を見ると、やはり思うところはありますね。ギエロン星獣の一件以降も、やはり悲しいマラソンの影はちらついているようです。
実験場の戦い ~重量級の猛攻~
今回の戦闘パートは変身シーンなしでの開始です。
作業員2人の救出やスパイナーを咥えた恐竜戦車というきわどい状況ゆえ、セブンは思い切った攻撃ができず、そのスキをつかれるようなかたちで序盤から連続尻尾攻撃を受けグロッキー。しかもその状態から、さらに左腕をキャタピラに轢かれるなど大苦戦。ビームランプも点滅していました。
その後、三連砲を躱しながら何とかマウントを取りスパイナーを吐き出させることには成功するも、次はそのスパイナーをめぐりまたしても尻尾に翻弄されてしまいます。
最終的には、スパイナーにウルトラショットを放ち大爆発を誘発。スパイナーを確保しようとしていたのでしょうか。その上を通過した恐竜戦車を見事爆発に巻き込み勝利を収めました。
今回の戦闘は上述の通り、作業員やスパイナーという配慮すべき対象が多かったとはいえ、真っ向勝負でもそれなりの苦戦を強いられたのではないかと思えてなりません。
さすがにワイドショットを耐え切る防御力があの恐竜戦車にあるとは思えませんが、エメリウム光線なら容易く跳ね除けてしまいそうです。アイスラッガーが効くのかどうかも見てみたいなぁ。
その他 ~次回に向けて~
次回はプロテ星人が登場するわけですが、子供の頃は、セブンとプロテ星人の戦闘シーンが怖かったんですよねぇ。
なんか、夜、トイレ行く時とか…。廊下にプロテ星人が立ってたらどうしよう、みたいな…(笑)
「セブン」を見返していると、こういう幼少期の頃の記憶がふと蘇るんですよね。リアルタイムで見ていたTDGに刻み込まれている記憶とはまた違った感覚というか…。
次回は第29話「ひとりぼっちの地球人」です。
それではまた。