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【感想】ウルトラセブン 第16話「闇に光る目」

せっかく前回再開したというのに、2週間も空いてしまいました。ARAIです。

何だかバタバタと過ごすうちに、気付けばお盆も間近で…。まったく早いもんだ…。

さて、それではいきますか。2週間ぶりの「セブン4K」感想、今日は第16話です。

 

ウルトラセブン 第16話「闇に光る目」

闇に呼ばれた少年 ~夜と子供の「歪」が織りなす緊張感~

お話のメインに子供が絡んでくるという点では第9話「アンドロイド0指令」と同様ですが、全体としての「子供」に焦点が当たっていた第9話に対し、今回は「ヒロシ」という個人としての子供に焦点が当たっています。そういう意味では、「セブン」では初めてになりますかね、特定の市井の子供がお話のメインになるのは。

 

さて、今回のお話で印象に残っているのはやはり全編を通じて描かれる「闇」あるいは「夜」の演出と、「それ」に呼ばれるヒロシという構図。

「子供」と「夜」という、凡そ一般的にはミスマッチとも取れるこの両者が組み合わさりお話が展開されるというだけで、物語に妙な緊張感が生まれますね。今回のお話は、この「歪」とも言える緊張感を全面的に押し出すことに成功しているような気がします。

これまでの「セブン」のエピソードの中でも「夜」という演出を使って、緊張感や不気味さを上手く増幅させ、気持ちをグッと引き込んでくれるお話は何本かありましたが、今回の出来栄えはまたトップクラスですね。時折挿入される緑の光もまた良い。

 

近年の「ニュージェネレーションヒーローズ」作品では、おそらく尺やクールの都合上でしょうが、めっきりお目にかかることが少なくなってきていますが、こういった演出やお話ができるのもまた「ウルトラシリーズ」の長所であり魅力なんだろうなぁと再認識した次第です。

 

また一方で、今回のお話は前回のペダン星人編のアナザーと捉えることもできます。

交渉と和解に失敗し裏切られた前回と、無事に和解となった今回。ペダン星人とアンノンそれぞれの種族としての気質や考え方もあろうかとは思いますが、そもそもどちらの原因も人類の行動が引き金になっているのだと思うと、なんだかやるせない気持ちにもさせられますね。

宇宙人も宇宙人なら、人類も人類だなと。そして人類=地球人もまた、広い意味では「宇宙人」。そうだとするなら、この繰り返しにきっと、終わりはないのかもしれません。

 

ちなみに、放送順としてはペダン星人編の後に今回のお話ですが、制作順としては今回のお話が先だったようですね。

順当な放送順で見れば、「ペダン星人とはうまくいかなかった和解が、アンノンとはうまくできた」という解釈になりますが、本来の制作順で見れば、「アンノンとは和解できたが、ペダン星人には裏切られた」という解釈になります。これを踏まえてもう一度第14、15話を見返すと、また違った見方ができるかも。

 

闇に光る目、闇に這う磐 ~岩石宇宙人~

登場したのは岩石宇宙人アンノン。「アンノン“星人”じゃないのか…」と思ったら、正式名称はちゃんと「アンノン星人」らしいです。

まあ戦闘パートのあの姿じゃあ「星人」と呼称するにはちょっと無理がありますかね。…ん?、…いやいや、それならクール星人とかビラ星人とかチブル星人とかアイロス星人とかどうなるんだよって話になるか…。どうして作中では「アンノン」の呼称で通したんでしょうね。四足歩行だったから?

 

さて、本体は目の形をした脳だけの生命体で、石などの無機物に寄生(憑依?)することで肉体を獲得し、戦闘などの積極的な活動が可能になるようです。ただ、作中の描写から、無機物であれば何でも寄生可能というわけでもなさそうでしたね。おそらく母星由来の何らかの特殊な加工が必要なのでしょう。そうでなければ、ヒロシ少年を使ってまであの石にこだわった説明がつきません。さくら9号は操ることができていたわけですしね。

 

今回は岩石怪獣のような四足歩行の無機物を駆り戦闘を展開。セブンが出張るまではウルトラ警備隊の攻撃によるダメージは皆無で、あのまま活動を続けていれば人類にとって決して少なくない犠牲と損害が出ていたことでしょう。

そして本体たる「目」も、閃光や音波?を放つことで特定の相手「だけ」をピンポイントに気絶させることができます。人語を巧みに操ることをできる知性も兼ね備えていることから考えても、まともに戦えば相当な劣勢を強いられることは間違いありませんね。本気で敵に回していたら、極めて危険な相手になっていた筈です。

 

前回のペダン星人と同様に、人類が調査用に放った宇宙船を侵略と誤認し地球へ襲来。今回の事件を引き起こしますが、最終的には交戦したセブンの説得の応じ、戦闘を中断。母星へと帰っていきました。

 

キリヤマ隊長の失策 ~交渉の「順番」~

今回のウルトラ警備隊で、個人的に一番印象に残ったのは後半のキリヤマ隊長の行動。アンノンと交戦を開始してから交渉、というのは順番が違いますね。

せめて、まず先にさくら9号の件を伝え(ようとし)てから、人類に侵略の意思がないことを示し、それでもなお和解できないとなった段階で交戦を開始して欲しかったです。これじゃあアンノン側から見れば、戦って敵わなかったから命乞いしているようにしか見えないですからね。ましてや今回の一連の騒動がさくら9号に関連しているであろうことは明白で、尚且つ調査に出ているウルトラ警備隊の部下たちからこまめな報告は受けていたわけですし。

 

あとは地獄山交番所のお巡りさんと連携を取るシーンも印象に残りましたね。たしか第11話「魔の山へ飛べ」でも地元警察と協力しているシーンがありましたが、こういうシーンを見ると、作中世界における「ウルトラ警備隊」と「警察組織」との関係性が色々と推察できて面白いですね。

近年では、主人公の所属する組織と警察との関係性に踏み込んだ設定として「タイガ」におけるE.G.I.S.がありましたね。あちらは民間組織ではありましたが。

 

地獄山の戦い ~闇、緑、真紅~

今回のセブンは等身大で登場。ヒロシ少年を救出した後、アンノンと対峙しました。

 

BGMをバックに、対峙するや蹴りを一撃。安定した格闘戦を展開しつつ放たれた弾幕を防御。エメリウム光線で牽制した後、連続パンチで背中の弾幕発射器官を破壊。

今度は目から放たれた光線をアイビームで相殺。すかさずストップ光線とウルトラ念力を駆使し、アンノンへ説得を試み、見事成功。戦闘を終結させるのでした。

 

今回の戦いはなかなか迫力があって、一見の価値ありですね。

夜の闇の中で光るセブンの目とビームランプ、時折映える真紅のボディ、緑に光るアンノンの目、交差する光線の応酬。合間に展開される激しくもテンポの良い格闘戦と、短い戦闘パートながら実に見応えがありました。

 

その他 ~次回に向けて~

モロボシ・ダン誕生の秘密がついに明かされるエピソードですね。舞台は、謎とロマンに満ちた地底都市。次回もまた色々と楽しみだ。

 

次回は第17話「地底GO! GO! GO!」です。

 

それではまた。

 

 

闇に光る目

闇に光る目

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