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【感想】ウルトラセブン 第17話「地底GO! GO! GO!」

ゴールデンウィーク以来となる2日連続の更新です。ARAIです。

このお盆期間中になんとか本(再)放送に追いつきたいもんですね。

さあ、それではいきましょう。「セブン4K」第17話です。

 

ウルトラセブン 第17話「地底GO! GO! GO!」

モロボシ・ダン=セブン、その生きざまの原点 ~余韻たっぷりの2つの軸~

本作の主人公であるセブン=モロボシ・ダンのモデルとなった人物が登場するという「セブン」の中でも極めて重要なエピソード…の筈なんですが、明かされたのはセブンとその人物=薩摩次郎との出逢いと、次郎その人のざっくりとした人柄ぐらいで、「モロボシ・ダン」という名前や容姿にまつわる劇的なドラマが展開されたわけではありません。

しかしながら、「モロボシ・ダン」という存在が薩摩次郎の容姿のみならず「魂」をもモデルとしていると明言された点や、出逢った当時も今回も実際に両者が顔を合わせて話をしたことがない点など、なかなかに興味深い設定が散りばめられていたのも事実。

 

セブンと言えば、後の「平成セブン」での展開も併せて、「ボロボロになってまでも自らを厭わず地球人のために戦い続ける」という苛烈な自己犠牲の精神が強いイメージですが(イメージというかまあ実際そうなんですけど)、その生きざまたるや、友のためにザイルを切断したり、チュー吉を救うために落盤現場へ戻る薩摩次郎そのものなんですよね。

まあセブンの行動すべてが、モデルとなった次郎の魂に起因するわけではもちろんないんですが、両者に共通するその苛烈なまでの自己犠牲の精神が、めぐりあう筈のなかった2人を引き合わせたのは間違いないでしょう。

そして、次郎の姿と魂をまとったある一人の男が、スケールこそ違えど、自己犠牲の精神の下に他者のために命を懸け続けることとなったというのは、なんとも興味深いドラマじゃあありませんか。

 

また、次郎(とダン)にまつわるお話の一方、同時並行的に展開されたのが舞台となった地底都市ですね。

いきなり登場したと思ったら何だかんだしている間に爆破され、そのままフェードアウトしてしまいましたが、もはや開き直ったかのように何も説明せずに終わるというこの展開が個人的にはかなりツボ。

 

岩盤の先に突如、それでいて静かにひっそりと姿を現したその「都市」はまさに「未知」そのもので、凡そ人が想像しうる「未来都市」や「SF都市」にも見える「それ」は、一方で「超古代都市」のような様相をも呈していました。

ユートムの存在と合わせ、正体や目的はもちろん、種族や文化についても一切不明なままに終わったこの「都市」の存在はすなわち、「未知」なる存在の証明。人類が未だ知りえない世界が、この大地の下に広がっているということが「示唆されただけ」というのもまた、なんともロマンがあるってもんです。

 

そしてそのロマンはまた、言ってしまえば容易く「恐怖」へとすり替わるもの。未知へのロマンは同時に、未知への恐怖にもなるんです。

実際、今回描かれたのは「地底都市の存在」だけにとどまらず、その先。

正体のわからないものを、わからないうちに攻撃し、破壊したという人類のその「行動」と「結果」。後の「セブン」で描かれるお話のことを思うと、今回のこの地底都市の存在と、それに伴うウルトラ警備隊の行動もまた、非常に興味深いものがあると言えると思います。

 

今回のお話で展開された次郎と地底都市の2つの軸は、いずれも「描写不足」という捉え方をすることもできるのかもしれませんが、そうではなく、多分のドラマの要素と余韻をたっぷりと含んだ意味のある沈黙=あえて描写をしていない、あるいは描写不足が功を奏した、と、個人的には捉えています。

 

こういうあれこれと想像の余地のあるお話も大好きなので、大変楽しめた一編でしたね。

さあ、初っ端から随分と語ってしまいましたが、いつも通り、以下であれこれと見ていきましょうか。

 

未知なる鋼 ~地底ロボット~

登場したのは地底ロボットユートム。地底都市すべての謎をまとうが如く、潜入したウルトラ警備隊の前に出現しました。

 

いわゆる等身大サイズで、複数体登場。なんだかゴドラ星人戦を思い出させますが、ヤツと違ってペラペラ喋ることはありません。いえ、厳密には何らかの言語のようなものは発していたんですが、もちろん人語ではない未知の言語。逆にそれが異様な不気味さを醸し出していました。

 

敵意の有無は明確に描写されていませんでしたが、右手には光線銃、左手には打撃用ハンマーを装備。

最初の個体が登場した際のあの少し乱暴に岩を退けるような仕草や、ソガ隊員へ攻撃を加えた点、ダンを捕らえ強力な熱を浴びせた点などから、少なくとも進んで対話や和解を求めているわけではなさそうです。

しかしながら、右手から放たれる光線は痛みや傷こそ与えれど、人間を戦闘不能に陥らせることはできない程度らしく、事実、右手に光線を受けたソガ隊員は問題なく戦闘行為を継続できていました。加えて、頭部に攻撃を受けると即座に機能が停止してしまうというあまりにも致命的な弱点もあり、現在の人類の脅威となる可能性は極めて低いものと思われます。(「ティガ」のゴブニュのような機能と展開も考えられますが…。)

 

ダンを拘束していた個体がそのまま等身大でセブンと対峙。贅沢にも?ワイドショットを受け、機能停止となっていました。

 

マグマライザー発進! ~渦巻くドリルが唸りを立てて~

今回のウルトラ警備隊、やはり見所は初登場となったマグマライザーでしょう。これぞ「ザ・地底戦車」と言わんばかりのデザイン。良いですよね。やっぱドリルだよ、ドリル。

ドリルでは破壊不能な岩盤用にレーザー光線を装備している点もグッドですね。こういう細やかな設定はライドメカ好きとしては嬉しいです。

 

ドリルと光線で岩盤を突破し、敵からの被弾もなしと大活躍だったこのマグマライザー。他のウルトラシリーズでありがちな、被弾し故障、地底で身動きが取れなくなるという展開にもならずで、かなり優遇されていますね。初登場回で目立った活躍を見せられなかったハイドランジャーとは大違いだ…。 

 

また、MS爆弾というものを搭載しており、レーザーでも破壊できなかった岩盤をも破壊できるほどの威力を見せていました。正真正銘、地底特化型のライドメカですね。

MS爆弾はそのまま、地底都市の破壊にも貢献。ライトンR30爆弾ほどではないでしょうが、これまた相当な破壊力を持った爆弾が出てきたもんです…。

 

あと細かいところでは、フルハシ隊員の出番が少なかったのが残念でした。スケジュールの都合でしょうが、あの地底都市やユートムを前に、フルハシ隊員ならどんな反応を見せたか気になりますね。

 

というか素朴な疑問なんですが、炭鉱の方々はダンの姿を見て何も思わなかったんでしょうか。

 

地底都市の戦い ~エージェントの放つ等身大ワイドショット~

今回の戦闘パートは巨大化戦はなし。地底都市の拘束室で、ダンを捕らえ何らかの攻撃(拷問?)を加えようとしていたユートムを相手に等身大の戦闘を展開しました。

 

と言っても、戦闘らしい戦闘はなく、さっと身を躱し、ワイドショットを一閃。あっという間にユートムに勝利しました。

ウルトラガンでも掌握できるユートム相手になぜワイドショットを放ったのかはいまいちわかりませんが、くらったユートムに爆発が起こらなかったことを見ると、場所が地下で密室だったこともあり、エメリウム光線のように威力をかなり調整した上で放ったのかもしれませんね。

 

その後は等身大のまま、地底都市を走り、飛び、意識を失っていた次郎と合流。落盤箇所から救出し、マグマライザーまで連れて行きました。なんだか久々な気がするエージェントぶりでした。まあ今回に関しては、エージェントというよりはレスキューか。

 

チュー吉を救出する描写がなかったのは残念でしたが、まあおそらく次郎の後に救出してくれているでしょう。炭鉱の方々から話は聞いていたでしょうし。

 

その他 ~次回に向けて~

次回はあの2人の隊員にスポットが当たるお話ですか。まあスポットというよりは、受難と表現した方が良いのかもしれませんが…。

いずれにしても、今までとはまた違った表情を見せてくれる筈なので、その辺りも楽しみにしておきましょうか。

 

次回は第18話「空間X脱出」です。

 

それではまた。

 

 

地底GO!GO!GO!

地底GO!GO!GO!

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