3週間ぶりの更新です。ARAIです。
6月に突入していますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
Twitterには書かせていただきましたが、先々週にようやく「シン・ウルトラマン」を観に行ってきました。
見ました。いやはや…まさかここまでとは…。色々な想いが溢れていますが、とにかく今は「最高だった」としか言えません。そして主題歌「M八七」と、その導入もまた最高。浪漫に満ちた最高潮の余韻を与えてくれます。すべての期待値を遥かに上回る傑作でした。#シンウルトラマン #ウルトラマン pic.twitter.com/e7gKcCbOJN
— ARAI_GUMATANOTHOR (@cmbkracouth) 2022年6月3日
まあ、今さら改めて言うまでもなく「最高」でしたね。
開幕早々、冒頭の「シン・ウルトラQ」とも言えるダイジェストアバンに度肝を抜かれたと思ったら、そこからノンストップで興奮しっぱなしの112分でした。
そしてその日の夜には「ギャラファイTDC」第6話も見たもんですから、いやあもう、それはそれは興奮しましたよ。あの日はまさに「ウルトラ」な日でした。
新作「デッカー」もいよいよ来月に控えていますし、この勢いを思う存分に楽しんで味わっていきたいですね。
さて、それではいきましょうか。「ウルトラQ 4K」第9話です。
ウルトラQ 第9話「クモ男爵」
蜘蛛の糸にまみれたアンバランスゾーン
いわゆるゴシックホラーと言うんでしょうか。今回のお話は割にベタというか、ホラー作品の王道的な展開を地で行く内容になっていました。
パーティー帰りの若者たちがひょんなことから近くにあった無人の屋敷で一晩を過ごすことになるも、その屋敷で次々と奇妙な出来事が起こり…?…、というようなやつですね。(笑)
しかしながら、そんなある種ありふれたとも言える展開であっても、固唾を呑んで画面にくぎ付けにさせられるのはさすが我らの「ウルトラQ」といったところ。
冒頭、灯台でのタランチュラ登場シーンから、もう引き込まれまくりです。
前回がホラー要素なしのミステリー的な回だったということもあり、個人的には今回のホラーに対してはまさに受入態勢万全というか。ちょうどホラー要素が欲しかったというか。実に良いあんばいですよね。
そう考えると、「ウルトラQ」という作品における各エピソード毎の作風バランスがいかに素晴らしいものであるかが改めてわかります。作風を偏重させずに展開してくれているような。極めて心地の良い絶妙なバランスで作品が組み上がってきている感じ。
まあ私自身が「ウルトラQ」を見たことがないから尚更そう感じるのかもしれませんが。それこそ初見補正のような。
いやでも毎回毎回こんなに楽しませてもらって、毎回毎回こんなに衝撃を受けてりゃそう感じたくもなりますよ。
何度でも言いますが、これ、56年前の作品なんだぜ…?
さて、話を戻しましょうか。
内容としては、まあ、上に書いた通りですかね。ホラー要素がメインなので、はっきり言って前回のようなドラマらしいドラマはありません。
いつものメイン3人組+ゲスト3人組の計6人が、蜘蛛の糸にまみれたアンバランスゾーンへ足を踏み入れることになります。
「怪獣モノ」としての特撮を期待してしまうと肩透かしをくらってしまうかもしれませんが、ホラー回と承知の上で見ていくと大変楽しめる出来栄えになっていますね。
まあ大抵の人は屋敷が登場した辺りで「ああ、今回はホラー回なんだな」と気付くと思いますけど。
個人的にはタランチュラの造型と操演が特にお気に入り。
あの脚の動きと体毛…。なんかもう、ホントにいそうですもんね。ホントに生きてますよあれ。すごいクオリティです。
加えて、例によっての4Kリマスターによる細やかな画質が、圧倒的なリアルさと没入感を与えてくれています。
ナメゴンの時もそうでしたが、この「生物としての質感」の表現は本当に群を抜いているなと改めて感じますね。
今回のオープニングは前回に引き続きナレーションの後に挿入。
タランチュラのシルエットに始まり、仮面やロウソク、蜘蛛の糸などが映し出されます。物語の舞台となる屋敷の中を映したものでしょうか、怖がらせる気満々な映像です。
アンバランスゾーンの住人たち
淳
由利子、一平と共に葉山らとパーティーに興じていたようです。由利子や一平との仲ほどではないにしろ、葉山たちともかなり親しそうな様子でしたね。
今回も今回とて持ち前の行動力とリーダーシップで場を引っ張っています。
屋敷に着いてからは葉山と共に主に屋敷内を調べて回るポジション。クモ男爵の話を出したのも彼です。
上階にある蜘蛛の糸まみれの寝室らしき部屋でくつろぐ場面には、「あんた余裕だな」と思わずツッコミたくなりましたが、天井に張り付いたタランチュラと遭遇した際は普通に驚いていて妙に安心してしまいました。あの状況で落ち着いてたらさすがに常人ではないぞと。
その後、2体登場したタランチュラを2体とも撃退するという大殊勲ぶりを見せてくれました。相変わらず大活躍だ。
由利子
「葉山さんこそ大陳腐」「彼の詩は車に例えたらポンコツみないなもん」などと冒頭から飛ばしまくっていた方。この物言いから、やはり葉山らとは親しい間柄のようですね。
今回は記者としての顔は控えめ。まあ取材で屋敷に来たというわけではないですし、(おそらく)完全プライベートのパーティー帰りだったわけですから、もしかしたカメラを持参していなかった可能性もあります。
また、今回はゲストを交えての6人編成チームな状態だったこともあってか、冒頭の台詞以降は割に活躍は地味め。
基本的には「その場にいる人」以上の役割は果たせなかった印象ですが、後半に葉山がタランチュラの襲撃を受けた際に、淳、一平と共にごく自然に行動を起こした場面は個人的に好きですね。
状況的には今日子と一緒に竹原の元に留まってもおかしくはないんですが、やはりメイン3人組の一員。地味めながらもしっかりと押さえるところは押さえてくれています。
あと暖炉を拝借する際の一人小芝居がかわいらしいです。
一平
竹原と共に底なし沼へ落ちてあわや命を落とすところでした。気の毒なポジションです。
救出されてからはクシャミを連発していましたが竹原のように発熱することもなく、由利子に寒い寒いと甘えて?いたので比較的元気だったようです。
その後暖炉に当たりながら「今日はついてねぇや」と笑い、葉山が拾ったオカリナを演奏するなど早々に回復。
ホントに竹原とは大違いです。「馬鹿は風邪を引かない」なんて言ってはいけない。
後半以降は現れたタランチュラにロウソクを投げつけたり、淳と共に果敢に立ち向かう場面が印象的でした。
馬鹿かもしれませんが、決して臆病なヤツではないのです。
葉山
ゲストその1。髭を生やした淳たちの友人。迷い込んだ屋敷で酒を発見し、「ブラボー」とパーティーをやろうとしたり、高熱を出している竹原に「あったまるから」と酒を飲まそうとしたりとやや浅慮な性格です。退廃的とも言えるかも。
その性格からか、自分たちの置かれた状況をあまり理解できていませんでしたが、直にタランチュラの襲撃を受けてしまいます。
命があって何より。普通のパニックホラー映画なら下手すりゃ死んでるポジションです。
冒頭の由利子の台詞から作家か何かかな?と思ったんですが、どうやら画家らしいです。なんともダイナミックな画を描きそう。
今日子
ゲストその2。気の強めな美女で、同じく淳たちの友人。か弱い感じはしません。
ホラー作品の典型らしく、基本的には拠点となる場所(今回は居間)から動かないポジションのキャラです。後半に動かざるを得ない状況になってしまって、そこで襲撃されるというのもある意味ではお約束かも。
上に書いた通り決してか弱い印象は受けず、竹原のために水を用意しようと単身動いたことからそれなりに肝も据わってるようですね。ただ、一平のオカリナの下りから少し神経質なタイプなのかなという印象も受けました。
まああの状況でピーピーとオカリナを演奏する一平もどうかとは思いますが。
そういえば、吹くのを止めても鳴り続けるあのオカリナの正体って何だったんでしょう。
なお、葉山の恋人らしいという設定があるようです。そうと思われる描写はあまりなかった気もしますが、もう一度見るとまた違って感じるのかな?
ちなみに職業はデザイナーらしいです。
竹原
ゲストその3。淳たちの友人。人の好さそうな感じですが、あまりこれと言った特徴はありません。
一平と共に近道を探す中で底なし沼に落ちてしまうという損な役回り。加えて高熱を出してしまうなど、ホラー映画的には「最初に負傷して一行が動けなくなる原因となる」ポジションのキャラですかね。
その後はグロッキー状態。よほどの高熱だったのでしょう、うなされ震え、途中からずっと水を求めていました。
一緒に沼に落ちた一平がいつも通りの様子だったのに対して、彼は終始苦しそうにしていたので、屋敷の瘴気かクモの呪いか何かにあてられたのかと思いましたが全然そんなことはなかったですね。脱出時は普通に歩いてましたし。
灯台守のお二人
冒頭、タランチュラに襲撃された方々。灯台に勤める職員の方でしょうか。安否が気になります。
悪魔の使い
大ぐも タランチュラ
森と沼に囲まれた屋敷に棲まう巨大な蜘蛛です。肩書まんまですが、その体長は2.5mとのことで、蜘蛛としてはマジで規格外の大きさですね。
グモンガを思い出したのは内緒。ビジュアル的にはそこまで似てはいないのかもしれませんが…。また違った不気味さがあります。
作中では2体登場。
口からは粘着液―というか粘着糸ですかね―を吐き、屋敷を訪れた淳たちをそれぞれに襲撃します。最終的には1体目は淳にナイフを刺され、2体目は淳の駆る車に轢かれ、それぞれ絶命しました。
なお、淳とナレーションの話から、その正体と出自は90年前に屋敷に暮らしていた蜘蛛の愛好家(クモ男爵)とその娘であることが示唆されています。
もし仮にそうなのだとしたら、彼らが淳たち(と灯台守たち)を襲ったのは何故なんでしょうか。
ナレーションの通り、人間を襲い、喰らえば、人間に戻れると考えているのでしょうか。
もしくは人間に戻りたいと強く想うあまり、人間という存在に固執し、疎ましく思っているのか。
それともあれは襲っていたのではなくて、蜘蛛の姿に変異したと言えど、もしかしたら彼らには理性も知性もあり、単にコミュニケーションを図ろうと近付いただけなのか。
あるいは彼らの人間の意識なんてものはとうに無くなってしまっていて、単純に「蜘蛛」の本能として、淳たちをただの獲物とみなして襲っていただけなのか。
その答えはもはや、誰にも知る由はありませんね。
次回に向けて
次回は第10話「地底超特急西へ」です。
それではまた。