やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

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【感想】ウルトラQ 第6話「育てよ!カメ」

5月になりましたね。

ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか。ARAIです。

私はこのところかなりバタバタとした日々が続いていたので、ここいらでちょっとゆったり過ごそうかなと思っています。

 

それでは今日もいきましょうか。「ウルトラQ 4K」第6話です。

 

ウルトラQ 第6話「育てよ!カメ」

「不思議の国のタロウ」

今までとは一味も二味も違った異色な雰囲気をまとったお話でした。ホラーでもなく、サスペンスチックでもなく、コメディでもなく…、いやまあコミカルな場面もあるにはあったんですけどね。

ただ、大人たちや乙姫の笑い声だとか、どことなく無機質で不気味に感じる場面もあるにはあったりと、なんとも表現が難しいお話です。シュール編、という表現が一番適切でしょうか。

 

どこか現実的でありながらも、一方ではまったくもって非現実的。支離滅裂とも、荒唐無稽とも言えてしまいそうな今回のお話は、これまでの「ウルトラQ」の各エピソードとは一線を画した仕上がりになっているように感じました。

ただ一方で、第6話という比較的早いタイミングで今回のようなお話を持ってきたことで、私自身、見ている方としても割かし自然に受け入れることができたというか。「ウルトラQ」にもこういうテイストのお話があるのかと、作風の「振り幅」を自分の中で違和感なく広げられたような、そういった感覚を抱きましたね。

 

まあ簡単に言うと、「お、こんなエピソードもやってくれるんだな」って感じですかね。

 

 

さて、内容としては、浦島太郎(!)という名前の少年が織りなす不思議な物語。

周囲の大人たちから虚言癖などと言われながら、いつか自身が育てるカメに竜宮城へ連れて行ってもらおうと空想する太郎少年を中心に、夢とも現実ともつかない不思議なお話が展開されていきます。

今回は基本的にこの太郎少年がメインとなっているため、淳らメイン3人組の登場はごくわずか。まさしく太郎少年に始まり、太郎少年に終わるお話ですね。まあ今回のようなお話であれば、レギュラー陣よりも単発ゲストキャラをメインに据えた方が作りやすいし、わかりやすいのかもしれません。

 

 

お話の内容に伴ってか、今回のオープニングは一目でわかる変則仕様。

いつものテーマ音楽でもなければ、ナレーションもない。しかもクレジットの字体も違う。今回のお話がいつもとは違うのだということを、オープニング時点で演出しているような雰囲気にも感じ取れますね。

いつものオープニングほどに不気味な感じはしませんが、ただ一方で「いつも」と違うがゆえの不思議な感覚には苛まれましたね。違うからこそ感じる戸惑いに、漠然とした不安感を煽られるような。

 

アンバランスゾーンの住人たち

淳、由利子、一平

今回の活躍はほぼなし。太郎少年の通う小学校近くで発生した銀行強盗の現場に駆けつけていました。

わずかな出番ながら、強盗たちの潜伏先について鋭い推測を見せていた淳が印象的でした。

 

浦島 太郎

今回のキーパーソン、というか主役です。

日頃から熱心にカメを育て、そのカメに竜宮城へ連れて行ってもらおうと夢見る少年なんですが、肌身離さずカメを持ち歩き、学校の授業もそっちのけでお世話をしているため先生方や周囲のクラスメイトたちからも相当呆れられているようです。

特に担任の先生からの当たりはかなりキツイようにも思いましたが、あの口ぶりでは普段からあることないこと言って先生をよく困らせているようにも見受けられました。キャラの造型的にはジロー少年と一部近いものがあるかもしれません。と、もしかしたら五郎と似通った部分も少しあるのかも。

 

ひょんなことから銀行強盗たちと行動を共にするようになってしまい、それをきっかけにアンバランスゾーンに足を踏み入れることに。その後、念願だった竜宮城にたどり着くも、そこでの出来事は皮肉にも彼と、彼の世界を変える結果となります。

「嘘をつかない」と誓った彼の言葉を大人たちは依然信じませんでしたが、彼を笑っていたクラスメイトたちは彼の言葉を信じるようになった様子でした。

 

こうして周囲からの、少なくとも同世代の子どもたちからの理解はようやく得ることができたわけですが、ラストシーンでの彼の表情はどこか虚しげで上の空。新たなカメを育てることもしていないようです。

空想の果てにたどり着いた現実の中で、彼は何を想っていたのでしょうか。乙姫の無邪気な、それでいてどこか不気味な笑い声は、まだ彼の脳裏によぎっているようですが…。

 

 

さて、ここで、無理やりかもしれませんが、「周囲から理解されない(されていない)存在」として、今回と今までのお話を少し考えてみたいと思います。

 

「周囲の大人たちからホラ吹き呼ばわりされていた」という太郎少年と近しい設定を持ったジロー少年の場合は、「自身の考えが正しかったことが一応は証明された=周囲からの理解が一部得られた」ことが示唆されて物語が終わっています。

また、「ある特定の動物に強い執着を持ち、周囲から白い目で見られていた」という太郎少年と少し似た設定を持つ五郎の場合は、「周囲から理解を得られ始めてはいるが、自分の中でその状況をまったく理解できていない」というかたちで物語が終わりました。

そして今回の太郎少年の場合は、「周囲の大人たちからは理解されないままだが、同世代の子どもたちからは理解を得ることができた」という状況にありながらも、最終的にはその「理解の対象」となった「カメ」を手放す(少なくともラストシーン時点では距離を置いている)という選択をしています。

 

三者三様にそれぞれバックボーンもキャラクターも大なり小なり異なりますが、こうして考えていくと、「周囲から理解されない存在」が、仮に「周囲から理解を得られる」ようになったとしても、それが必ずしも良い結末へ結びつくわけではないのかもしれません。ただ「理解する」だけでは足りないような。

 

以前に「理解できない存在」の最たるものが「怪獣」である、と書きましたが、であるからこそ、ウルトラシリーズでも度々取り上げられる「怪獣との共存」というテーマは非常に扱いが難しく、奥が深いのだろうなとも思ったり。

それはきっと、「理解する」こと以上に、さらにもう一歩、必要とする「何か」があるからなのでしょう。

 

今回の本筋やテーマとはかなり離れてしまうような話をしてしまいましたが、ラストシーンでの太郎少年の表情を見て、ふとそんなことを考えてしまいました。話を戻しましょうか。

 

先生

ゲストその1。太郎のクラスの担任です。分厚い牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた、なんというか、昭和のザ・先生、といった感じ。

教育熱心で悪い人ではなさそうですが、日頃から太郎の態度には手を焼いていた様子。生徒に罰を与える時は廊下ではなく屋上に立たせます。なぜだろう。

 

銀行強盗たち

ゲストその2。作中では「ギャング」と呼ばれています。まあたしかに恰好的には「強盗」というよりは「ギャング」っぽいかも。それぞれ佐東さん、内田さんというらしいです。佐東さんは別のアンバランスゾーンではミルク配達のおじさんでしたね。

機関銃を手にド派手な銀行強盗を実施しますが、太郎に振り回されたりと基本的にはコミカルな役どころ。太郎と普通に会話をしたり、銃口を除いた太郎を「危ない」と慌てて止めに入るなど若干人の好さも出てます。根っからの悪人というわけではないようです。

未知の現象により巨大化したカメを恐れ、自ら警察へ通報し御用となりました。結局何がしたかったんでしょう。

 

「不思議の国」竜宮城

大ガメ ガメロン

太郎少年が育てていたカメが未知の現象で成長した姿です。全長99cm。「ガメロン」という呼称は作中ではされておらず、太郎少年からはもっぱら「カメ」と呼ばれています。名前つけてあげたら良いのに…。

太郎少年の願いを聞き入れるかたちで、彼を乗せマッハ3で東京上空を移動。竜宮城へ案内しますが、乙姫と怪竜と交戦し、撃墜されてしまいます。その後どうなったかは不明。

 

竜宮城の居場所を知りながらも、乙姫たちに攻撃を受けていたりと、いまいち竜宮城との関係性がわかりませんでした。竜宮城出身というわけではないんですかね。

あと甲羅にはスピードメーターが装備されていたりもします。外付け型でしょうか。

 

乙姫

幼い少女の姿をしています。何もない虚無空間である「竜宮城」を統べる存在であると考えられますが、詳細は不明。よく笑います。

ブランコで遊んだりミサイルを出したりと割と何でもありな、何でもできる未知の能力を持ち、太郎少年(とガメロン)を終始圧倒。最終的には「もう嘘はつかない」と太郎少年を改心?させ、玉手箱を渡します。

ガメロン同様に、結局その正体や出自は一切不明なままでした。

 

怪竜

乙姫の繰り出したミサイルが変化した姿。肩書はありません。

乙姫に操られ、ガメロンを怪光線で撃墜しました。出番らしい出番はそれぐらいで、例に漏れず詳細は不明です。

 

次回に向けて

次回は第7話「SOS富士山」です。

 

それではまた。