本日2回目の更新です。ARAIです。
今朝からの勢いそのままに、無事に?書き上げることができました。
さあ、それではいきましょう。二本立てとなった本日「セブン4K」の後半戦。第43話です。
ウルトラセブン 第43話「第四惑星の悪夢」
暗き可能性の物語 ~「奇妙さ」抜群のエピソード~
第33話「侵略する死者たち」、第37話「盗まれたウルトラ・アイ」に引き続き、スーツの敵が登場しないお話です。
内容としては、一言で表現すれば「“デストピア”もの」…なんですが、なんでしょう…、こういうお話がウルトラシリーズに存在することの意義というのか、意味というのか…、そんなことを改めて考えさせられる、認識させられるようなエピソードなんですよね。もちろん制作背景や時代背景も関係していることとは思いますが、前回の第42話に続いて、「セブン」を「セブン」たらしめる魅力の一つというか、ひいては、ウルトラシリーズを一言で「ヒーローもの」と言えない礎の一つになっているというか。
視聴した後に不思議な余韻に包まれるエピソードはこれまでもたくさんありましたが、今回はまた別格です。かの実相寺監督が手掛けていることと決して無関係ではないのでしょうね。
さて、そんな今回のお話。個人的には大変どストライクな作品に仕上がっています。第四惑星における「奇妙な」演出なんてそれはもう抜群で、不自然にポツンと設置された赤電話が特にお気に入り。
似ているけれど、どこかおかしい。同じようでいて、まったく違う。そんな、「奇妙な」世界を雰囲気満点に描いてくれています。
全編においてついて回るロボット署長のガム(飴玉?)の音も絶妙でした。先ほど触れた赤電話などが視覚的な演出としての「奇妙さ」であるとするならば、このガムの音は聴覚的な演出としての「奇妙さ」。見ている側をふわりと包み込み、「奇妙な」世界への圧倒的な没入感をもたらせてくれています。
そんな「奇妙な」世界を舞台に紡がれるのは、科学文明の発達がもたらす未来の、さらにその先の、暗き可能性の物語。
科学力と技術力、効率性と生産性をただひたすらに追及した結果、それらの最たる成果物であるロボットたちに、人間が支配されてしまうというもの。
まあSFには割とありがちな類のものではあるんですがね。上にも書きましたが、この手のお話がウルトラシリーズにも存在している、しかもシリーズの初期から存在していた、という事実に大きな意義があるのかなと、個人的には漠然と、そう感じています。
ロボットが人間を支配する。ロボットが人間を虐げる。ロボットが人間を処刑する。第四惑星で繰り広げられるそんな悪夢は、果たして本当に、ダンとソガ隊員が見たただの夢だったのか。それとも…。
第四惑星の悪夢 ~第四惑星アンドロイド~
登場したのは第四惑星アンドロイド。元々は純粋なる第四惑星人の手によって、すなわち人間たちの手によって生み出されたサポートロボットでしたが、あまりに優れた性能により人間たちを追い越してしまい、反乱により主従関係を逆転させ、ついには人間たちを奴隷としてこき使うようにまでなりました。まさに、科学文明がもたらす暗き可能性の一つを体現した存在と言えるでしょう。
ロボットゆえ、もちろん心など持たず、感情もなく、ただ人間たちを隷属させ、淡々と、粛々と、ただ日々を過ごすという毎日を送っています。そしてその中で、奴隷としている人間=第四惑星人がほどなく絶滅してしまうことを悟り、同じ人間が生息する地球を侵略しようと画策していました。
…が、どうもこのロボットたち。作中の描写を見る限りでは根底からロジックを間違っているんですよね。
そもそも、人間たちをエネルギー源と評する割にはためらいなくバンバン浪費(殺戮)していますし、ロボット長官にいたってはコーヒーの味が違うからというただそれだけの理由で「怒り」、人間を虐待していました。
これのどこが優れた性能なんでしょう。自らを「間違いをしない」、「冷静だ」と豪語する存在が、こんな非効率と矛盾極まる行動を取るでしょうか。
結局のところ、彼らは所詮、間違いだらけの未だ完成には程遠い「ロボット」あるいは「コンピューター」に過ぎないということなのでしょう。自らが間違っていないと勝手に結論付けている時点で、もはや修復不可能なまでに致命的な欠陥があると言わざるを得ませんが。
作中ではロボット長官とロボット署長がメインで登場。その他にも警察官(軍人?)や撮影スタッフらしきタイプのロボットも見られました。
最終的には変身したセブンに建物をめちゃくちゃに壊され、直接的な描写こそありませんでしたが、あの様子では長官と署長を含め、建物にいた大半のロボットは瓦礫の下敷きとなって損壊したものと思われます。
スコーピオン号に乗って ~「セブン」世界の宇宙技術~
本編の大半がダンとソガ隊員のコンビで展開されるため、今回のウルトラ警備隊は総じて出番は少なめ。キリヤマ隊長以下、他の隊員たちも、序盤と終盤にしか登場しません。
個人的に印象に残ったのはやはりスコーピオン号ですかね。全自動の長距離用宇宙ロケットとのことで、パイロットによる操縦はほぼ不要。しかもコールドスリープ機能まで搭載しているなど、「セブン」世界での宇宙技術に改めて驚かされます。しかも「コールドスリープ」と聞いて想像するたいていのパーツ、例えばカプセルとかマスクとかホースとか、そんなのが何もなくてただシートをリクライニングするだけでいいってんだから、大した技術力ですよホントに。
まあこの「大した技術力」ということがそっくりそのまま今回のお話のテーマに結び付くと思うんですけどね。
あと細かいところではやはりダンとソガ隊員の仲の良さというか、どうにもこの二人は馬が合うようですね。これまでも描かれてはいましたが、改めて良いコンビだなと感じました。
そして触れないわけにはいかない、ソガ隊員の負傷について。
ロボットたちの攻撃を受けて負傷した筈のソガ隊員が、終盤の司令室以降のシーンでは負傷した様子がないというもの。
今回の話が夢か現実かを論ずる際によく引き合いに出させるようですが、個人的には「証拠とするには乏しい」のかなと思っています。
何せ、第四惑星は到着まで20日かかったわけですから、当然地球へ帰還する際も同様の日数がかかったものと思われます。特段の装備もなしでコールドスリープができるほどの技術を持っているわけですから、その20日の間に傷を完治させたとしてもそれほど不自然ではない筈で。あるいは第四惑星を離れる際に、現地の人間(第四惑星人)たちから治療を受けた可能性も考えられます。
いずれにしても、ソガ隊員の負傷に関しては、今回のお話を夢とする根拠としては少し弱いのかなという風に思っています。
もっとも、ソガ隊員のすぐ近くでダンが変身しているわけですから、その辺りを踏まえると、また色々と考え方も変わってくるような気もしますが…。
真紅の破壊者 ~都市を滅ぼすウルトラセブン~
今回はスーツの怪獣や宇宙人が登場しないので、戦闘パートはセブンによる独壇場が展開されました。
変身後はロボットたちの総合センターや処刑場といった都市部を殴りに蹴りにと次々に破壊。上空からはラピッド光線とダブルビームを駆使し、地球に向け発進していた宇宙船部隊とその基地も丸ごと焼き払います。ウルトラ戦士が文明都市を破壊する珍しいシーンかもしれませんね。
その後は、すでに宇宙へ発進していた先行部隊をワイドショットで撃破。第四惑星の悪夢に終止符を打ちました。
しかしまあ何というか、前回で展開された先住民との戦いを思うと、今回はまさに正しく侵略者と戦い、先住民を護ったかたちになるわけですから、前回のお話とセットで今回のお話を見るとまた色々と考察の余地がありますね。
画的には、前回は「護る」ために戦い、今回は「壊す」ために戦っているように見えるところもまたポイント。「護った」がために壊れたものと、「壊した」がために護られたもの。地球人とノンマルト、第四惑星人とロボット。両者の違いとは、果たして…。
その他 ~次回に向けて~
次回は…、ストーリーをあまりしっかりと覚えていないような気がしますね…。
こういう、「初めて見るに等しいような感覚」も、第1話から順に見ていくことの醍醐味ですかね。
次回は第44話「恐怖の超猿人」です。
それではまた。