部屋のカーテンを洗濯しました。ARAIです。
心なしか部屋が前よりも明るくなった気がします。
さて、それではいきましょう。「ウルトラマンデッカー」第16話の感想です。
例によってネタバレを含みますので、本編未視聴の方はご注意ください。
ウルトラマンデッカー 第16話「君は君のままで」
あれから一週間
リアルでも作中でも、怒涛のクライマックスを迎えた第一部から一週間が経過しました。
公式からも、第16話からが後半戦であるとする旨の発表があったことを踏まえても、今回からが「デッカー」第二部に当たると言って差し支えないでしょう。
と言っても、今回のお話は内容的には第一部のエピローグ編であると同時に、第二部のプロローグ編のような印象です。
次回以降でまたしても怒涛の展開が見られるようですし、物語全体のポジション的に見ても今回のお話は箸休め回、あるいは後々になって貴重になってくる（と思われる）平常運転回と言えるかもしれません。
事実、それを象徴するかのように今回のお話の前半部分はドタバタコメディを意識したような賑やかで微笑ましい構成となっており、前回までですっかり力が入っていた我々視聴者の肩をすっとほぐしてくれるような仕上がりになっていました。
こんなお話を見せてくれるのもウルトラだったよなぁと。
一方、後半はカナタの葛藤に改めてフォーカスしたややシリアスな展開となりました。
悩むカナタと対峙させることで、前回まで若干蚊帳の外感があったイチカとソウマの立ち位置を一気にシナリオの縦軸に近付けつつ、久々な気がするメイン3人組の交流も描写し、ハネジロー復帰と合わせて、しっかりとカナタ周りのドラマとして落とし込んでくれました。
なので今回の印象は総じて、前回までの第一部クライマックスの「熱」を上手に冷却しつつ、次回以降の新たな「熱」に備える下準備ができたような、そんな感じですかね。
ただ、個人的には前回まででカナタが入手したアガムスやアスミ、スフィアら辺りの情報を果たしてTPUにどこまで報告・共有しているのかがややぼかされている（ように見えた）のはちょっと気になるところでした。
もちろん、今回のお話におけるカナタの葛藤は「人類の宇宙進出が招いた未来」と「アガムスの怒り」の二点がメインだったかと思うので、お話的には何も不自然さも違和感もないんですけどね。
それでも例えば、アスミがデッカーに変身したことや彼がカナタの子孫であることなどは、それらがそのままカナタ＝デッカーの核心に迫る事実なので報告はしていないでしょうし、何というか、カナタあるいは視聴者側が持っている情報と、GUTS-SELECT側が持っている情報の整理はして欲しかったかなという気持ちは若干ありますね。
まあハネジローも復帰したことですし、その辺りはカナタとハネジローの会話の中で出てくるかもしれませんね。現状、カナタが本当に何でも話せる相手はハネジローぐらいのもんでしょうし。
ニュージェネレーション・ネオフロンティアを生きる者たち
カナタ
絶不調…というほどでもありませんでしたが、どうにもこの一週間は地に足つかぬソワソワした状態が続いていたようです。
ソウマは気付いていなかったようですが、イチカにはバッチリ気付かれていました。
これまで経験したことのないような凄まじいまでの「怒り」を理不尽に浴びせられ、またそれが自分たち人類の手によるもの（かもしれない）ということを知り、途方もない虚無感と無力感、そして漠然とした焦りと不安を感じていたのでしょう。
改めて明かされたスフィアの脅威のこともあり、文字通り生きた心地のしない一週間だったのかもしれません。
まあ有り体に言えば「一人で全部抱え込み過ぎ」の状態だったんでしょう。
ここ最近は、なまじ「自分の」目標や「自分の」戦う理由を見つけようだとか、「自分の」力の出自や「自分の」子孫が明かされたりだとか、何かにつけて自分の問題とばかり直面してきたこともあって、「周りに相談する、助けを求める」ということをすっかり失念していたわけですね。
それこそ、自分だけの問題ではないことまで、「自分で」何とかしなければと思い込んでいたと。
しかしまあ、こうして考えるとカナタは、ケンゴとの出逢いで自分のビジョンを持ちたいと思うようになり、アスミとの出逢いで自分の世界を護りたいと思うようになり、そしてイチカやソウマの存在により、仲間に助けを求めることの大切さを知った、という風になるわけですか。
ふむ…良い感じに種が蒔かれているように思いますね。
イチカ
メイン3人組が出張る回とあって、今回は久々に存在感を発揮してくれました。
ソウマでは気が付かなかったカナタの変化にはちゃんと気付いていたようです。さすがヒロイン。
今回は直接的にカナタを吹っ切れさせたわけではないですが、さりとて彼女からの問い詰めがなければあのままカナタはズルズルとうじうじ悩んでいたことでしょう。
持ち前のその「真っすぐさ」で、カナタに真正面から向かい合い、その葛藤と悩みを分かち合う役回り、といったところですか。
相手にしっかりと寄り添い、自らの言葉で語り掛け、想いを聞き出せることが彼女の強みの一つかもしれません。
ソウマに駆け寄られた直後に「セーフ、セーフ♪」と明るく返したシーンも印象的でした。
ソウマ
イチカ共々、久々に存在感を発揮してくれました。
訓練校時代を彷彿とさせるストイックな姿勢を見せましたが、カナタのあの体たらくではやむなしといったところですかね。あの状況ではソウマが正しいでしょう。
葛藤し思い悩むカナタに「真っすぐ」ぶつかったイチカに対し、今回のソウマはそんなカナタを「見つめ」、諭すポジション。
要は「一人で悩んでないで、みんなで考えようぜ」ということですね。
スフィアや未来人といったあまりにもスケールの大きい問題を前に、たかだかGUTS-SELECTの隊員一人が思い悩んでも仕方がない。一人で解決できるものでもない。
少なくともGUTS-SELECT、いや、TPU全体で問題を共有し、共に解決策を考え、共に取り組むべきだと。
「人の命が懸かっているから失敗は許されない」という「GUTS-SELECTとしてのソウマ」が矜持とする考え方にもピタリと当てはまるど正論ですが、一方で「チームである自分たちに助けを求めるべきだ」と語る彼は同時に「カナタの仲間としてのソウマ」でもあったように思います。
失敗を許さず、常にストイックで、常に正しい。
そんなソウマが放った言葉だったからこそ、うじうじと思い悩むカナタにズシンと響いたのかもしれません。
「バッチリ聞いてた」と答えるカナタの表情が、そのすべてを物語っていてくれました。
一件落着後に小さく見せたサムズアップと、その直後の照れ隠しはもはやすでにお約束。
サワ
前回、前々回よりはたくさんしゃべっているので存在感は確保できている印象ですが、ソウマからの要請を跳ね除けたのはどうにも解せません。あの状況においては、速やかに現場へ向かうのが得策では…？
隊長がピンチになるであろう次回以降に、副隊長としてどういう動きと立ち回りを見せるのかに注目です。
ムラホシ
葛藤するカナタにフォローはなかったようです。イチカが気付いていたということは、ほぼ間違いなくムラホシも気付いていたと思うんですが…うーん、今回は隊長副隊長コンビの言動と判断がどうにも解せません。
スピニーを巡る判断については的確だったと思いますが。
第二部における本格的な活躍は次回以降といったところですかね。
ハネジロー
一週間のメンテナンス期間を経て無事に復帰。
GUTSホークでカナタらを護りながらという何ともおいしい登場シーンとなりました。
ソウマの指揮の下、イチカらと力を合わせてデッカーを援護するなど戦闘パートで大きく活躍してくれましたが、カナタとの絡みもあまりなく、次回以降の、主にドラマパートにおける活躍に期待ですね。
アガムス
今回は出番なし。どこかで傷を癒しているのでしょうか。
迸る光
ウルトラマンデッカー
岩を持ちあげながらというイレギュラーな登場となった今回。変身バンクもありません。
鉱石の影響でどんどんパワーアップするパンドンの火炎放射に苦戦を強いられるや否や、収得したてのダイナミックタイプへすぐさまチェンジ。
ウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流を早くも使いこなし、カラータイマーが点滅するまでもなくパンドンに圧勝しました。
相変わらずタイプチェンジ時のバンクがカッコ良いです。
紅蓮の双頭
浮遊幼獣 スピニー
ベビーパンドン。個人的にはあんまり可愛らしさは感じません。
前半パートにおける主役と言っても良いほどに大暴れ？してくれました。
冒頭のコメディタッチのお騒がせ幼獣から、ドラマパートのシリアスさが増すにつれて少しずつ脅威の度合いが大きくなる過程が良い演出でした。
双頭怪獣 パンドン
スピニーが地下の鉱石（ゴースド鉱石）の影響を受けて一気に進化した姿ですが、まあウルトラシリーズにとってはもはやお馴染みの「セブンのラスボス」ってやつです。今回はセットであるゴース星人の登場はありません。
スピニーから進化した後も、ゴースド鉱石の影響を受けどんどんパワーアップ。
曲がりなりにも多くの戦いを経験しつつある今のデッカーをして、火炎放射の一撃をもって現状最強形態であるダイナミックタイプへのチェンジを決意させるほどの実力を持ちます。
GUTS-SELECTの妨害がなければ、あのままタイプチェンジのスキを与えずデッカーに勝利してた可能性もありますね。
ウルトラシリーズにおいて数いる同族の中でもトップクラスの脅威を誇る個体かもしれません。
さすがにダイナミックタイプには手も足も出ないといった様子で、最終的にはウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流から繰り出される技を受け地面の割れ目へと落下。敗北を喫することとなりました。
次回予告
こりゃまた物語が大きく動く予感…。
10年前のメツオロチの一件が、何か関係してくるんでしょうか。そしてムラホシの行く末は……って何でメトロン星人！？
次回は第17話「過去よりの調べ」です。
それではまた。
