何かとバタついてます。ARAIです。
かーなり遅れてしまいましたが、何とか更新できました。
さて、それではいきましょう。「ウルトラマンデッカー」第15話の感想です。
例によってネタバレを含みますので、本編未視聴の方はご注意ください。
ウルトラマンデッカー 第15話「明日への約束」
「デッカー」第一部、完結
怒涛の展開を見せた前回から続く後編です。
本性を現したアサカゲ=バズド星人アガムスの目的、突如現れた謎の男の正体、スフィアの真相、現在と未来にまたがる戦い、そして、最強形態ダイナミックタイプの登場と、前回にもまして凄まじい情報量と熱量です。
今回は第15話と、第2クール二発目のエピソードに当たるわけですが、内容的にも展開的にも今回のお話をもって「ウルトラマンデッカー」という物語の第一部が一応の完結を迎えた、と言っても良いかもしれませんね。
というかまあ、第1話から今回までの展開をまとめたダイジェスト動画が公式から出てますし、そこではっきりと「前半(1~15話)」って銘打っちゃってますから。
さて、今回の印象としては上に書いた通り、あるいは前回書いた通り、光芒一閃の極みといったところで、まさに「デッカー」という物語における縦軸のど真ん中を突き進むような内容になっています。
第1話から丁寧にかつ綿密に仕込まれていた伏線の数々を回収しつつ、それぞれのお話で散りばめられていた要素をつなぎ合わせ展開されていく構成にはお見事としか言いようがありません。
個人的に印象的だったのは、デッカー・アスミがカナタの背中を押し力を貸すシーン。
アスミ家の家訓をもってカナタを励ますという展開なんですが、この家訓ってこれまでのお話の中でカナタが話していた台詞そのものなんですよね。
このデッカー・アスミがカナタの子孫であることを明らかにするという点に関しては、第1話から触れられていた「声」の伏線や、今回のお話での「煎餅」の話題で、正直シナリオ的には充分こと足りてると思うんですが、そこでさらに、これまで描かれたカナタの言動や性格に直接リンクする台詞を「アスミ家の家訓」としてデッカー・アスミに言わせることで、カナタとデッカー・アスミの「一族」としての繋がり、そして現在と未来の繋がりをより強くはっきり輪郭を持って描くことができ、ひいてはダイナミックタイプ誕生をより熱く引き立てることに成功しているように思うんです。
こういうところなんですよ。
こういうところなんですよね、「デッカー」という作品の素晴らしいところは。
お話としての厚みや深みをより引き出すことのできるエッセンスをちゃんと序盤から用意している。散りばめている。
そしてそれらエッセンスをちゃんと引き出して、活かして、適切なところで着実に盛り上げてくれる。熱さを加えてくれる。
初期からもう何度も、本当に何度もこの「デッカー」という作品に安心感と信頼感を覚えているんですが、今回でそれが最高値に達したような、そんな印象ですね。
今回のこの最高値と同等な、あるいはそれ以上の感動を、次回以降最終回に向けても期待していきたいと思います。
最終的に終わってみれば、「何だかんだであの14、15話がピークだったよね」となる可能性もないではないんですが、さりとて「デッカー」ならばこの期待に応えてくれるのではないかと、今回の感動を超えてくるのではないかと、そう強く確信している自分がいます。
それほどの信頼と実績、そしてポテンシャルを感じています。この「デッカー」に。
ニュージェネレーション・ネオフロンティアを生きる者たち
カナタ
戸惑い、驚き、助け、話し、怒り、叫び、狼狽え、決意し、立ち上がり、吠える。
前回に引き続き未だ状況に振り回されている感はありますが、その立ち位置はまごうことなく主人公のそれです。
カナタがこんなにも色んな表情を見せてくれたお話は今までなかったと思います。それほどまでに、今回の彼は激情の渦中にいる。
そんな激情の中とあっても、わけのわからん状況下で目の前で苦しんでいるよくわからん男をとっさに介抱しようとしたり、戦うよりもまずはアサカゲに問い質すところから始めたりと随所に根っこの真っすぐさが出ています。
ただ、その真っすぐさゆえ、第12話でのやり取りを引き合いに、縋るようにアサカゲへ怒りをぶつけたのは迂闊でした。
幸いにもデッカー・アスミに庇われ無傷であり、また彼も比較的軽傷で済んだようでしたが、下手すりゃここでカナタは死んでました。
アサカゲの言う「虫唾が走る"純粋"さ」が悪い方向に転んだというわけですね。
しかし一方で、「誰かのためにできることがあるなら迷わずやれ」という祖父の教えに素直に従いデッカー・アスミに手を差し伸べたことをきっかけに、事態が多少好転したこともまた事実。
あそこでカナタが彼に手を差し伸べ、未来やアサカゲの話をしていなければ、ダイナミックタイプの発現には至らなかった可能性もあります。
こうして考えると、今回のお話においてはカナタの持つ真っすぐさ、ひたむきさ、あるいは純粋さを起点として、悪に堕ちたアサカゲと光を宿すデッカー・アスミを対に描いているようにも見えます。
そして悪に堕ちたアサカゲはカナタを殺害しようとし、光を宿すデッカー・アスミはカナタの命を救い、新たな力を授けたと。
而して今回、遥か未来からやって来た悪と光との出逢いにより、カナタの中で確固たる「想い」が息吹くこととなりました。
すなわちそれは、「護りたい」という強い想い。
自らの故郷を、世界を護りたい。そのために、自分は戦う。
世界を護り、命を護り、一生懸命に生きて、未来を紡ぐ。
未だかつてない想いと覚悟を秘めたカナタの瞳には、これまでのものとは明らかに異なる「強さ」を感じました。
そしてその想いと覚悟に応えるかたちで、新たなデッカーの力を発現させることとなります。
厳密に言えば、カナタ単体の想いと覚悟だけじゃなくて、共に戦い背中を支えたデッカー・アスミの想いと覚悟、ひいてはアスミ一族の想いと覚悟が一つの力として発露した結果なのかなとも思いますが。
ただ、予てよりカナタが探していた「戦う理由」に関しては、今回の一件でも未だ答えは出ていないように思います。
今回はあくまで「護るために戦う」ことを改めて決意したような段階でしょうから。
「護るために戦った」その先に何を描いているのかまでは、語られなかったかなと思っています。
次回では、今回の展開を踏まえた上でのカナタの内面にもう少し深く踏み込むようなので、この点に関しては引き続き注視しておくとしましょう。
イチカ、ソウマ、サワ、ムラホシ
陸戦部隊としてスフィアソルジャーと戦っていたり、ダイナミックタイプとなったデッカーを見て驚いたりと、今回は脇役に徹しています。
カナタの消息を気に掛ける描写があったものの、基本的には本筋から外れたポジション。
まあこの手のお話の時は仕方ありませんね。
アサカゲの裏切りに伴う各人のリアクションは次回に持ち越しかな?
あの辺りの説明を、カナタが皆にどこまでするかにもよりますが。
エンディングで、その後のカナタと無事に合流できた描写があります。
墜落したグリフォンにカナタは搭乗していなかったわけですが、何て言い訳したんでしょう。
ハネジロー
前回のアサカゲによる介入の影響で、引き続き機能停止状態のようです。
TPU一般隊員らの手によりナースデッセイ号から運び出されてそのままフェードアウトしました。
運び出される時に一応ピクピク(クルクル?)と動いていた様子があったので、一時的なシステムの故障、あるいはフリーズと思いたいですね。
テラフェイザーを失った今のGUTS-SELECTとしても、また、アサカゲを退けはしたものの未だ迷いと混乱の渦中にあるであろうカナタの理解者としても、欠かすことのできない存在なので、頑張って復帰して欲しいところです。
アサカゲ ⇒ バズド星人 アガムス
作中において正式にその正体が語られることとなりました。
オープニングにおいても「アガムス」と紹介されていたことですし、それに伴って当ブログでも「アサカゲ」から「アガムス」へと呼称を変更します。
というわけで、本人の口からボチボチ語ってくれました。
人類が宇宙へ進出し、バズド星を含む様々な惑星と交流するようになった。
しかしそれと同時に人類を狙うスフィアの脅威にさらされることとなった。
スフィアとの戦争の中で、バズド星はスフィアバリアに完全に覆われることとなり、結果大切な人=レリアを(おそらく)喪った。
だからその根本の原因である人類=地球を滅ぼして復讐してやろうと。
行動原理としてはこういう感じですかね。
一方で、デッカー・アスミの話から、「トリガー / デッカー世界」におけるタイムトラベルの理論は「改変型」ではなくいわゆる「分岐型」であることが明かされました。
過去に戻って分岐イベントを起こしても、そこを起点に新たな時間軸が分岐するだけであって、自分がいた時間軸での過去は変わらない、というやつですね。
要は「バックトゥザフューチャー」理論ではなく「エンドゲーム」理論だと。
そしてそのことを、アガムス自身も無論よくわかっていることも明かされています。
その辺りの理論をよく理解していないであろうカナタから「未来を変えるつもりなのか」と問われた際の驚いた表情と、デッカー・アスミから改めて「未来は変わらない」と諭された際の諦観と自嘲を含んだ表情がすべてを物語っているように思います。
自らの行いを「過ち」と語る辺り、きっとアガムス自身もこの行いがほぼほぼ逆恨みに近い復讐であることは百も承知なのでしょう。
それでもやり切れない。どうあっても納得できない。
筆舌に尽くしがたいほどの虚無と絶望、そして憤り。
それらがないまぜとなった禍々しくも哀しいどす黒い感情が、アガムスを「悪」の道へ誘ったのかもしれません。
未だレリア関連のバックボーンや、デッカー・アスミ(ウルトラマンデッカー)との具体的な因縁など、明かされていない要素がけっこうあるので何とも言えないところはありますが、それにしたって哀しい男ですね。哀し過ぎます。
デッカー・アスミの話では、バズド星自体はまだなんとか持ちこたえているようなので、何とか救いのある結末を迎えて欲しいものです。
謎の男 ⇒ デッカー・アスミ
カナタの子孫という驚きの素性が明かされました。
「謎の男」と書き続けるのも白々しいので、上述ではすでに「デッカー・アスミ」と呼称していましたが、それはそれで長くてくどいので、当ブログでは以後、「アスミ」と呼称することにします。
「デッカー」と書けばキャラクターとしてのウルトラマンデッカー、あるいは作品としてのウルトラマンデッカーを指して、「アスミ」と書けばこのカナタの子孫であるデッカー・アスミのことを指すものとします。
あ、もちろんカナタは「カナタ」のままです。
数百年後の未来にてウルトラマンの力を宿し、ユザレの末裔らと共にスフィアの軍勢との戦いに明け暮れる毎日のようですね。
ワイルドでアウトローな印象そのままに、若干粗暴な部分も見え隠れするのは彼自身の性分もあるのでしょうが、それはそのまま未来における戦況を表しているのでしょう。
命に関してやや捨て鉢だったのもそのせいかな。(カナタに怒られてましたが。)
多分、未来におけるスフィアとの戦いは、決して優勢ではない…のでしょう。
また、「アガムスを救ってやってくれ」とカナタに託す辺り、アガムスとの関係性も少し見えましたね。元々は親友同士だったとか?
血縁としてはカナタの後輩に当たるわけですが、年齢としてはカナタより年上ということで、未来に生きる「大人」として、現在に生きるカナタを導く役回りでもありました。
時空移動システムの復旧が済んで、また終盤辺りに登場して最終決戦に参戦してくれる可能性もあります。
ただそうなると今回のカナタの決意が若干空振りしてしまう感もあるので、あるとしても顔見せ程度ぐらいかな。
スフィア襲来の真相などある程度は語ってくれましたが、ぶっちゃけ謎や伏線を散らかすだけ散らかして帰っていった、と言えなくもないです。
レリア
ラスト、アガムスの回想にて登場。
アガムスの記憶の中では穏やかな笑顔を見せていましたが、何者なのかは具体的には不明のまま。
報われない復讐を決意するほどに、あるいは「その名」を聞くだけで感情が乱れるほどに、アガムスにとって非常に大きな存在であることはたしかです。
無難に考えるなら恋人、もしくは妻。あるいは妹…辺りですかね。
アスミにとってもかなり重要な人物っぽいですが。
そしておそらく、アガムスやアスミらの時代においては彼女はもうこの世にいないのでしょう。
そしてこの世にいないであろう彼女こそが、アガムスを「救う」鍵となるのでしょう。
明日への約束
ウルトラマンデッカー
その名の由来がカナタの子孫であるアスミのファーストネームであることが明かされました。
つまり人間一個人の名前がそのままウルトラマンの名前になったってことか…。あくまで暫定予想ですけど。
これまでカナタが聞こえていた「声」の主がアスミであったことと、タイプチェンジや(おそらく)DC怪獣の力もアスミに由来するものであることも併せて明かされました。
前回の様子だとアスミの変身するデッカーにタイプチェンジ、特にミラクルタイプは無いのかなと思ったんですが、今回の話だとそうでもないのかな?
カナタ変身によるテラフェイザーとのリベンジマッチにおいては、その想いと覚悟の違いもあってか前回の戦いよりは善戦していましたが、やはり真っ向勝負ではまだまだ分が悪い様子でしたね。
前回のアスミ変身のデッカーミラクルタイプと、今回のカナタ変身のデッカーミラクルタイプの戦いを見比べると面白いです。
今回はカナタとアスミ、二人の「アスミ一族」の想いと覚悟を受け、新たな力としてダイナミックタイプが発現しました。
美しくも激しい光の奔流を身にまとったダイナミックタイプの降臨シーンは必見中の必見。
最強形態お披露目直後に咆哮を上げたウルトラマンなんて史上初なんじゃないでしょうか。
ブルーとシルバーを基調としたカラーリングと、黄金に輝く頭部の角が特徴的な貫禄に満ちたデザイン。
頭部にゴールドのカラーが使われるのはグリッタートリガーエタニティにも見られた特徴ですね。
そして何より、これまで左胸部と斜めに位置していたカラータイマーが、ウルトラマンの王道である胸部真ん中に変更になっているのが印象的です。
アスミ変身のデッカーフラッシュタイプでさえも相殺がやっとだったTRメガバスターをデッカーシールドカリバーで無効化→吸収→反射し、群がるスフィアソルジャーを相手に無双。
未だ健在だったスフィアザウルスⅡを一撃のもとに撃滅せしめ、その後怒りに燃えるテラフェイザーをダイミュード光線で圧倒。
ハッタリのないその実力を存分に発揮してくれました。
変身解除後のカナタの様子から、その消耗はかなり激しいようですが、テラフェイザーを失った今、現在の地球を護る最後の切り札的存在になるでしょうね。
もう一人のウルトラマン
映し出されたシルエットから見るに、十中八九、ウルトラマンダイナであると思われます。
経緯は不明ですが、「トリガー / デッカー世界」の数百年後の未来において、様々な惑星の人類と協力してスフィアの軍勢と戦っていた戦士の一人として、アスミの口からその存在が語られました。
まあこれがダイナであるならば、こちらもまた十中八九、我々の知っている「ネオフロンティアスペース」のダイナ、すなわちアスカ・シンと考えて良いと思います。
「ウルトラ銀河伝説」以降、様々な宇宙を巡って戦い続けていることがはっきりとわかっているわけですし、あのアスカならば、スフィアの脅威にさらされた人々を護るため、時空を超えて次元を超えて、どこへでも馳せ参じることでしょう。
願わくば、ダイナとデッカー、アスカとカナタの共演を映像作品でぜひ見てみたいものですね。
というか、この状況で「"もう一人"のウルトラマン」と言われると、カナタ的にはシンプルにトリガーのことを思い浮かべそうなもんですが、アスミの話を聞いてカナタはどう感じたんでしょうね。
というか未来でトリガーはどうなっているんでしょう。
ユザレのことはわざわざ言及していたのに、アスミの口ぶりでは、どうにもまるで未来の世界にトリガーが存在しないかのような…。
ちょーっとこの辺りも、押さえておいた方が良いポイントかも。
復讐の魔神
電脳魔人 テラフェイザー
デッカーとの対決、三度。
相変わらずの高性能でデッカーの繰り出す技をことごとく跳ね除けますが、覚醒したダイナミックタイプの反撃で大ダメージを受けます。
その後、限界状態の中でTRメガバスターを放つもダイミュード光線に押し敗けるかたちで爆散。
本格登場からわずか5話で退場というのは、その存在感と人気ぶりを考えても少し勿体ない気もしますが、アガムスがまだ健在なので、もしかしたらまた別の形で登場するかもしれませんね。
宇宙の「摂理」
スフィア
文明が進んだ惑星や強い力を持つ生物を呑みこみ、自らの一部とする「宇宙の摂理」であることが語られました。
宇宙レベルで秀でた頭脳を持つであろうアガムスをして「勝てない」と絶望させ、また、デッカーやダイナ、ユザレら未来に生きる戦士たちが総力を結集させても劣勢を極めているであろうことから、その脅威の程が伺い知れます。
また、第1話で登場し地球を覆ったキングスフィアを超える「もっと上」の存在も、アスミの口から示唆されています。
カナタらの生きる現在へは、どうもアガムスが手引きしたようですが、そもそもの存在と行動原理がフロンティア精神の天敵と言えるでしょう。
今回のこの感じだと、ラスボスは「もっと上」のスフィアかもしれませんね。
それこそ、かつてあの戦士が相まみえた惑星級のアイツのような。
精強融合獣 スフィアザウルスⅡ
前回に引き続き当ブログでは便宜上、今回の一件で登場した個体を暫定的に「スフィアザウルスⅡ」と呼称しています。
前回に続いて地中へ根を伸ばし続け、惑星のエネルギーを吸収していたようですが、活躍としては正直そこまでといったところ。
覚醒したダイナミックタイプの一撃を受け、あえなく敗北となりました。
次回予告
次回からはまた平常運転のようです。
と言っても、前回と今回とで大きく揺さぶられたカナタの内面にスポットを当ててくれるようなので、ある意味で第一部のエピローグのような意味合いのエピソードになるやもしれません。
早くもウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流が見られるかも?
次回は第16話「君は君のままで」です。
それではまた。