6日ぶりの更新です。ARAIです。
さて、今日もいきましょうか。「セブン4K」第8話です。
ウルトラセブン 第8話「狙われた街」
狂気と夕焼け ~「セブン」指折りの名編~
「セブン」の数ある名エピソードの中でも特に人気があり、あの実相寺監督が担当されたことでも有名な今回のお話。本当に久しぶりに見たんですが、いやぁ、やっぱり良いですね、はい。
特徴的なカメラワークを中心とした演出で、じわりじわりと忍び寄る不気味さにゾッとするような狂気、少しずつ核心に迫っていく緊迫感がこれでもかというぐらいに描かれています。そんなドラマパートは見応え抜群で、まさにこれぞ怪奇事件とも言うべき出来栄え。不思議な引力で画面に目をくぎ付けにさせられたような感覚を覚えました。
戦闘パートも非常に印象的で、バックの夕焼けや街のセットといった映像美もさることながら、静と動のメリハリある戦いも見所の一つでしょうね。
ラストシーンの有名なナレーションも含め、全編を通して今なお決して色褪せることのないエピソードだと終始感じさせられるようなお話でした。
個人的には今回のお話は、「セブン」指折りの名編だと思っています。
「狂気」を操る「理性」ある侵略者 ~幻覚宇宙人~
登場したのは幻覚宇宙人メトロン星人。近年の「ニュージェネレーションヒーローズ」シリーズにも別個体が多く登場しており、その活躍ぶりからピット星人と並んで、今では「セブン」のみならず「ウルトラシリーズ」を代表する宇宙人と言っても差し支えないでしょう。デザインは昔から大のお気に入り。
暴力や能力や兵器といった「力」による侵略を行わず、発狂を促し信頼を失わせ自滅へ導くといった「知略」による侵略を行おうとした頭脳派で、ダン=セブンに対しても穏やかに接し、初めは戦闘を避けるよう対話を図るなど極めて理性的な宇宙人です。前回のアイツとは大違いだ。
また、(この時代の)地球人の主要な嗜好品の一つであるタバコに目を付けたことも刮目に値しますね。もしあのまま「実験」が続けられ、舞台が北川町からさらに日本、世界へと広がっていたらと思うとゾッとしますよ。
仮にタバコが原因だと判明したとしても、横にいる人間がいつ発狂するかもわからない、あるいはタバコ以外の別の「何か」で発狂させられるかもしれない、もしくは自分がいつ発狂させられるかもわからない。自分も、他人も、何なら身体に摂り入れるものも、すべてが信じられなくなった人類はどうなるか。
互いに争い合うことで積極的に滅びるか、経済や健康の側面から緩やかに滅びるか、おそらくはこの二択でしょう。メトロン星人の思惑通り、いずれにしても人類は絶滅の道を辿ることになる筈です。考えるだに恐ろしい。
戦闘力そのものはあまり高くはなかったようで、セブンと対峙するや即座に「逃げ」を選択していました。まあ見た感じ戦闘が得意にも見えないですし、上述の通り頭脳派タイプの宇宙人のようですしね。
最終的にはアイスラッガーとエメリウム光線を受け爆散。後の諸々の展開を思うと、ここでマルチバース分岐点が発生し、そのままメトロン星人が死亡した宇宙線と、九死に一生を得て生存し「マックス」第24話「狙われない街」のお話が展開される宇宙線とに分かれた、と考えられますかね。
特殊警察「ウルトラ警備隊」 ~今回も冷静なキリヤマ隊長~
今回のウルトラ警備隊は、ライフル乱射犯に挑むフルハシ隊員とソガ隊員や、現場を張り込むダンとアンヌ隊員など、さながら難事件を追う特殊警察のような雰囲気でした。
また、ソガ隊員がライフルを見事に射抜く腕前を披露したのも印象に残りましたが、個人的にはキリヤマ隊長の冷静さがより印象的。
いきなり部下2人が発狂して暴れだし気を失うという異常事態が起こってもかなり冷静に見えました。キリヤマ隊長はあの時点ではまだ何が起こっているかはっきりと把握できてはいなかった筈なので、それであの冷静さはすごいなと。
あれぐらいの胆力がなければ、防衛隊の隊長なんて務まらないのかもしれませんね。
あとは、夕日をバックに展開されるメトロン星人の宇宙船とウルトラホークのドッグファイトですねやはり。第5話「消された時間」でのビラ星人戦と同様に、目立った被弾もなく敵機を撃墜するという活躍を見せました。
今回は上述のフルハシ隊員とソガ隊員に加え、アンヌ隊員の叔父も事件に巻き込まれていますから、隊員3名分のリベンジを果たしたとも言えるでしょう。やられっぱなしのウルトラ警備隊ではない、というやつですね。
北川町の戦い ~夕日に輝く「真紅」~
上述の通り、今回の戦闘パートは美しい夕日をバックにしたセブンとメトロン星人の対峙が非常に印象的なものでした。
一機目の宇宙船が撃墜された直後、水面に映るかたちで登場したメトロン星人と、同じく水面に映るかたちで地面に降り立ったセブン。対峙する両者の間には紅く輝く夕日が。
もうこの画だけでずーっと見ていられるぞと心から思うほどに美しく、印象的なシーンです。
しかしながら戦闘自体はかなりあっさりしたもので、実際にセブンとメトロン星人は戦いらしい戦いをしておらず、ただお互いに駆け、交差したのみ。
そのまま逃亡を図るメトロン星人へ、セブンが振り向きざまにアイスラッガーを放ち、エメリウム光線でフィニッシュ。
今回も例によって苦戦のない圧勝となったわけでしたが、戦い終わり夕空を仰いだ真紅のファイターは、何を想っていたのでしょうか。
その他 ~次回に向けて~
さあ、またしても今なお現役バリバリのあの宇宙人の登場ですか。初めてあのデザインを見た時は、子供ながらにちょっと気持ち悪いと感じた記憶がありますね。
次回は第9話「アンドロイド0指令」です。
それではまた。