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【感想】ウルトラセブン 第6話「ダーク・ゾーン」

先週突如我が家のベランダに出現したハトの巣と卵は、無事に業者の方に撤去していただきました。ARAIです。

ハトは帰巣本能が強く、また同じ場所に巣を作る可能性が高いらしいので、ハト対策用品でベランダを防御していこうと思います。

 

さあ、今日もいきましょう。「セブン4K」第6話です。

 

ウルトラセブン 第6話「ダーク・ゾーン」

「侵略者」と「宇宙人」 ~どこか切なくほのかに苦い~

「ああ、“セブン”だなぁ」と、何よりもまずそう感じたお話でした。作中で初めて「侵略」が目的ではない宇宙人が登場し、「地球人もまた宇宙の“侵略者”あるいは“破壊者”になり得る宇宙人である」ということが描かれ、何とも言えない後味と余韻が漂ったまま物語は幕を閉じます。

 

近年のウルトラシリーズで、こんな何とも言えない気持ちを持ったままでお話が終わるエピソードが多い作品は…、個人的には「タイガ」が一番印象的には近かったですかね。

 

 

 

後味が悪い、とまではいかないけれど、ただ間違いなく目前の危機は去っていて。それでいてどこか切ないような、ほのかに苦いような。

そんな余韻のあるエピソードでした。

 

さて、全体の印象としてはそんな感じなんですが、私室が登場したアンヌ隊員や、そんなアンヌ隊員との親しい関係性が垣間見えるダンも印象的。そしてそんなダンもいつにもまして若さや熱さのようなものが描かれていたり、苦渋ながらも毅然とした決断を下すキリヤマ隊長だったりと、ペガッサ星人関連と合わせて見どころ満載のドラマパートでした。

 

一方で、戦闘パートは巨大化戦もなくかなりあっさりしたものでしたが、等身大ならではな、お馴染みのエージェントぶりを披露してくれるセブンなど、決して物足りない印象はありません。

 

以下で、それぞれ少しだけ細かく見ていきましょう。

 

暗黒をまとう叡智 ~放浪宇宙人~

登場したのは放浪宇宙人ペガッサ星人。近年では「ジード」に登場する個体「ペガ」ですっかりお馴染みとなりましたかね。今回登場したのはペガと違って成熟した(おそらく)大人の個体だったため、デザインは大きく異なります。もちろんこちらがオリジン。

 

「セブン」で登場した宇宙人の中で初めて、明確な「侵略」の意思を持たない宇宙人であり、地球の8万倍もの密度を誇る都市を宇宙空間に形成できるほどの極めて発達した科学力を持つ叡智の存在として描かれました。

「ダーク・ゾーン」と呼ばれる暗黒をまとっていて、基本的に姿を見せることはなく、当初は現れたアンヌ隊員やダンに怯えるなどどこか小心者な印象。

しかし、争いごとを好まず、アンヌ隊員らと和やかに意気投合し、宇宙人と地球人との対話による相互理解の可能性を示し、また同時に「地球人も宇宙人である」という考え方をはっきりと明言したことから、「ウルトラシリーズ」全体で見ても非常に大きな意味を持った宇宙人だったと言えると思います。

 

最終的には「地球」と「ペガッサ市」との間に生じたどうすることもできない「問題」が原因でダンやアンヌ隊員と訣別します。その後、地球を爆破しようとするもセブンに阻まれ逃亡。夜の闇と共に姿を消しました。

単に「科学力の違い」とするのか「すれ違い」とするのか、それとも「認識の違い」とするのか「運の悪さ」とするのか。いずれにしても、その「問題」の最たるものが何であったかは、見る人の感じ方によって違ってくるかもしれませんね。

 

ウルトラ警備隊、その栄光と苦渋 ~隊長の決断~

今回のウルトラ警備隊はアンヌ隊員とダンを中心にドラマが展開されましたが、上述の通りキリヤマ隊長の苦渋の決断も印象に残りました。

特に、ペガッサ市を単に爆破するのではなく、避難民を受け入れるよう誘導する任務を受けた際のダンの喜びとキリヤマ隊長の嬉しそうな表情と言ったら…。「宇宙人を滅ぼす」のではなく「宇宙人を救う」とした今回の任務を、「栄光」という言葉で表現したキリヤマ隊長に、彼の人柄というか、性格を感じました。

と同時に、ギリギリまでダンにメッセージを送らせ、最後の最後で毅然と苦渋の決断を下した表情もまた非常に印象に残ります。「地球を護る」ことの重さは、きっと我々の想像をはるかに上回るものなのでしょうね。

 

あとはやはり、アンヌ隊員の私室が描かれたのも印象的ですよね。大変女性らしい、いえ、少女らしいお部屋でしたね。

そんな小さなかわいらしい部屋で、「地球人」と「宇宙人」の交流が描かれるというある種ミスマッチとも言える構図も今回の見どころの一つかもしれません。

 

それにしても、ダーク・ゾーンを発見した時のアンヌ隊員、いくらなんでも怖がりすぎでしょ。ワイアール星人の時はあんなに冷静で適切な対処をしていたのに…。

それか、私室に入って気持ちが「オフ」だったんですかね。直前にお菓子をつまんだりしてましたし。メリハリをしっかりつけてお仕事するタイプなのかな。

どこかの空中基地では、仕事中に口止め料もといアイスキャンデーを食べたりするオペレーターもいましたが。

 

闇夜の訣別 ~「地球」を選んだエージェント~

今回の戦闘パートは上述の通りかなり短めでしたが、地球爆破を決意したペガッサ星人にペガッサ市消滅の事実を告げるダンから始まる導入部分が個人的にはお気に入り。

絶望し激昂するペガッサ星人と対峙し、意を決してウルトラアイを掲げるダン。つい先ほどまで共に語り合い、笑い合ったペガッサ星人と戦うセブンの姿はすなわち、「ウルトラ戦士は“地球人”を選んだ」という事実に他なりませんね。

そうか、なるほど。これが後に描かれていく「セブンは地球“人”を護るために戦う」といった深く難しいテーマに繋がっていくのか。まあその辺りは今の時点では私も概ねのあらすじや流れしか知らないので、いずれ来るその時にまた語るとしましょうか。

 

さて、戦闘パート自体の見どころとしてはほとんどありませんね。例によって卒なく戦い、撃退し、さっさと爆弾を地球外へ持ち出すなど、相変わらずのエージェントぶりでした。安定。

強いて印象に残ったシーンを言えば、今回のアイスラッガーですかね。あれはおそらく、相当に威力を抑えていただろうなと見て取れます。

まああそこでペガッサ星人を斃さないのはセブン=ダンなりの優しさであり情であったのかもしれませんが、ペガッサ市を喪った彼にとって、果たしてそれが正解だったのか…。今となっては誰にもわかりません。

 

その他 ~ペガッサ市の謎と次回に向けて~

ところで、ペガッサ市は何故ウルトラ警備隊からの通信に応えなかったのでしょうか。様々な推測や意見があるとは思いますが、個人的には、あの時点で既にペガッサ市内部に生存者はいなかったのだと思います。

たしかに、ペガッサ星人は地球人よりも遥かに優れた科学力を持ち、また、自らの惑星の軌道も変えられない地球人を「野蛮人」と呼ぶほどには傲慢だったかもしれませんが、だからといってわざわざ通信を無視したりするとは思えません。

仮に、地球人のことを「通信に応えるほどの価値もない存在」と見下し、どのみち地球を爆破しようとするような価値観を持つ種族であれば、あの時点でウルトラホークを撃墜して意思を示すなり、防衛隊の攻撃を防ぐなりしていた筈です。

というか、それこそそんな「野蛮な」価値観を持った種族であるならば、そもそも地球がどの程度の科学力を持っているかわからない段階で、律儀に日本語でメッセージを送信したりしないでしょう。

また、件のメッセージを送信した後に、動力系統の故障を原因として、水や空気といった生命維持に関連する巨大工場系統が損傷した可能性も否定できないわけで。

 

そんなわけで、個人的には「ペガッサ市が既に滅んでいた」という説を唱えたいわけですが、いかがでしょうか。

 

後の「EVOLUTION」における「ダーク・サイド」にて、今回の後日談が描かれているのは承知しているんですが(私はまだ見たことはありませんが)、今回のお話放送時点だったり、あるいは「ダーク・サイド」製作に当たってだったりだとか、公式から発表や設定が公開されていたり、カットされた部分で説明があったりしてるんですかね。もしご存じの方がいらっしゃいましたら、是非教えていたければと思います。

 

 

さて、今回の感想はここまでです。

次回、第7話「宇宙囚人303」にてお目にかかりましょう。

 

それではまた。

 

 

ダーク・ゾーン

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