やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

好きなものについて色々と書いていくブログ

【感想】ウルトラマンデッカー 第20話「らごんさま」

なんだか最近鼻水がよく垂れてきます。ARAIです。

ここ最近急に寒くなったからかしら…。

 

さて、それではいきましょう。「ウルトラマンデッカー」第20話の感想です。

例によってネタバレを含みますので、本編未視聴の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンデッカー 第20話「らごんさま」

「異色」な平常運転回

土着的な伝承モノ、あるいは神話モノというべきか。

近年のニュージェネ作品では見られなかった珍しい作風でした。

 

ウルトラシリーズではすっかりお馴染みとなった海底原人ラゴンを村の伝承と絡めつつ、ここ最近単体でのフォーカスが少なめだったイチカとサワをメインに据えた、ある意味での平常運転回なわけですが、どことなくシュールで、わすかながらにホラー的要素も醸し出す作風は、まさにウルトラシリーズの原点たるアンバランスゾーンのそれでした。

 

独特なカメラワークで展開されるドラマパートに、趣向を凝らしたアングルで繰り広げられる戦闘パート。

主人公であるカナタ=デッカーが必要以上に出張ることもなく、何ならダイナミックタイプになることもありません。

専らゲストキャラであるウラサワと件のラゴン、そして舞台となったワダツミシティを中心にお話は構成されています。

 

見終わった後の不思議な余韻といい、どうにも昭和のウルトラシリーズを彷彿とさせる仕上がりになっていますね。

というか、随所に見られる独特なカメラワークはもはや実相寺監督作品のオマージュと見てまず差し支えないでしょう。

また、「深きもの」というクトゥルフ神話まんまなワードと設定が散見されたりと、「ティガ」を連想させる要素もあったり。

 

かように、今回は「デッカー」の中でも完全に「異色」なエピソードに仕上がっているわけですが、今またこのタイミングで今回のような作風のエピソードを持って来たこと自体に大きな意味があると思います。

こういうお話ができるのもウルトラシリーズの強みであると改めて認識させられたと同時に、本作以降のシリーズにおいてもこういうお話が見られるのだなという安心を得られたのですから。

やはりウルトラはこうでなくてはと。

 

あるいは予告を見た限りの次回以降の展開を思えば、「デッカー」でこんな平常運転回ができるのも今回が最後なのかもしれません。

そしてその最後で、また一段と「デッカー」という作品の幅と奥行をしっかり広げてくれました。

 

こうして考えていくにつけ、絶妙なバランスと程よい塩梅で送り出された至極の一編だったのだと思います、今回のエピソードは。

言うまでもなく、「デッカー」における私のお気に入りのエピソードになりました。

 

 

監督は「デッカー」初登板となる田口清隆監督。

こちらもまた例に漏れずニュージェネ作品の立役者のお一人なわけですが、担当作品への個人的な信頼度は間違いなくトップクラス。

「Z」でメイン監督を担当されていたことが記憶に新しいですが、個人的には「タイガ」第6話「円盤が来ない」も印象的です。

そういえばあちらも元ネタは実相寺監督でしたっけ。

 

ニュージェネレーション・ネオフロンティアを生きる者たち

カナタ

GUTSファルコンで出撃したものの早々にデッカーへ変身したので、カナタとしての活躍は控えめです。

久々となるハイパーモードを披露してくれたのはグッジョブでした。

 

イチカ

メインその1。心がきれいで若くて美しい娘。

ウラサワと交流を深め、サワよりも事態に近いポジションで今回のお話を展開していく役回りでした。

 

ウラサワの話に耳を傾け、手を取り、サワの制止を振り切ってまでも異空間へ飛び込む姿は、やはりメガアースを持ち出したあの時と変わらず。

「まっすぐの天才」の本領を遺憾なく発揮していました

 

ただウラサワを助けるだけでなく、ただウラサワを過去への執着から断ち切るだけでなく、きちんと「お別れ」させようとして一喝した辺り、イチカらしさが出ていたなぁと思います。

 

スフィア襲来によって夢断たれたという彼女のバックボーンと、未だ連絡が取れずにいる「先輩たち」の素材をここで使ってきたのも説得力があって良かったですね。

 

最終的にはユウコ同様、一件落着後もウラサワと付き合いが続いているのもまたイチカらしいです。

 

 

あと、趣味のツーリングについても再び言及されていましたね。

細かい部分ながらも、イチカというキャラクターをしっかり深掘りしてくれていました。

 

ソウマ

カナタ以上に出番は控えめ。

カナタと共にムラホシの両翼を担っているかのような立ち方がカッコ良いです。

 

サワ

メインその2。三十の坂はもっとキツイ。

イチカほどには彼女自身のパーソナルにフォーカスされたわけではありませんでしたが、さりとてイチカと女性同士でコンビを組んで事態の解明に動いた今回の一件は大きかったことでしょう。サワ的にも作品的にも。

 

科学者らしく、より現実的かつ客観的な視点からウラサワ、あるいはラゴンに迫る役回り。

ウラサワのあの言葉では、まるでサワの心が汚いかのように聞こえてしまいますが、実際のところそうではなくて、単にサワ自身が色々と知り過ぎている、わかり過ぎている、醒め過ぎているだけだったのだろうと思います。科学者という気質ゆえに。

 

年齢のことについてはまあ、何とも言えないところではありますが、イチカの方が若いというのは事実だなぁと。

たしか設定では29歳だったと思うんですが、作中で30歳を迎えたということですかね。

それとも着々と30歳へと近付いているんだぜ的なニュアンスだったんでしょうか。

 

 

あと細かいところでは海女の岩戸でイチカを名前で呼び掛けたシーンですかね。

上述イチカのツーリングのシーン同様、細かいながらもサワというキャラクターに人間性という厚みを持たせられていたと思います。

 

個人的にはサワとイチカのコンビをもっと見てみたいとも思ったり。

 

ムラホシ

カナタ、ソウマ同様に脇に回っています。

ラストで締める辺りはさすがの隊長さんです。

 

ハネジロー

全編に渡って出番はあるんですが、活躍と存在感という意味ではかなり薄いです。まあそういう演出なんでしょうけどね今回が。

GUTSホークを駆ることもなく、今回は座布団に座ってただただ現場と通信するのがメインでした。

 

アガムス

登場なし。次回に期待ですね。

 

ウラサワ

今回のゲスト。

幼少期にラゴンと出逢ってから、ずっと過去に囚われ縛られ生きてきたようです。

 

イチカの呼び掛けとデッカーの力、さらにはラゴン自身により、最終的には「過去」に別れを告げ、「今」を受け入れることを決意し、新たな明日を見て生きていくこととなりました。

 

眩しい過去、言えなかった言葉、心に残る罪悪感と哀しみ。

時の移ろいと共に増していく喪失感と、残された者としての苦しみ。

 

どことなくアガムスに近しいバックボーンがあるような気がしないでもないですね。

次回の、あるいはアガムスの行く末如何によっては、面白い立ち位置になりそうなキャラだなと思いました。

 

らごんさま

ウルトラマンデッカー

ファルコンのコックピット内で、煙(蒸気?)の中からDフラッッシャーを掲げてという目新しい演出での変身となりました。

良い演出でしたが、これならもう思い切って全部のバンクをカットしたらもっと良かったかも。

 

変身後はフラッシュタイプでラゴンに挑みますが、皮膚から分泌されているであろうその体液によって思うよう戦闘が展開できず、敵へ放ったのが久々となるセルジェント光線でさえも有効打にならず、白色光線を受けワダツミシティ地下の深海へ落とされてしまいます。

 

その後はいつのまにやら事態を察したのか、ミラクルタイプの力を使って異空間へ繋がる海女の岩戸の中へ一気にワープ。

イチカとウラサワを見事救出することに成功しました。

 

最後にしっかりと活躍を見せてくれましたね。

 

海底原人 ラゴン

今やレジェンド級ウルトラ怪獣。近年では「オーブ」第8話以降登場はなかったでしたっけ。

 

「トリガー / デッカー」世界においてはワダツミシティ土着の神様のような存在になっており、「羅権様」として奉られているようです。

 

そこはかとなく超然とした、それでいてどこか親しみやすいような絶妙な空気感を放っており、今回の作風と相まって歴代トップクラスの存在感と印象を見せてくれました。

 

神様とされているだけあってなかなかに手強く、対峙したデッカーを相手に終始優勢。

展開が展開だけに、結局勝敗はつかずじまいですが、あのまま戦闘を続けていたらかなりいいとこまでいったんじゃないでしょうか。

さすがにダイナミックタイプに勝てるところは想像できないけど。

 

次回予告

さーて、また少し物語が動きそうな予感ですね。

 

次回は第21話「繁栄の代償」です。

 

それではまた。

 

 

 


www.youtube.com