夏の終わりと秋の訪れをようやく感じてきた今日この頃。好きな季節は秋です。ARAIです。
早速いきましょう。「ウルトラマンデッカー」第10話の感想です。
例によってネタバレを含みますので、本編未視聴の方はご注意ください。
ウルトラマンデッカー 第10話「人と怪獣」
サワのメイン回
第5話のイチカ、第6話のソウマといったGUTS-SELECT各隊員にスポットを当てたお話の流れをくむ今回は、満を持してカイザキ副隊長ことサワをメインに据えたエピソードになっています。待ってました!
カナタら主役周りのドラマだったり、前作主人公たちの大暴れだったりと、ここまでどうにも脇に追いやられがちでしたが、彼女のGUTS-SELECTでの立ち位置と「副隊長」という立場、そして、取り上げるお話の内容的にも、この第10話という第1クール終盤に当たるタイミングはベストだったと言えるかもしれません。早過ぎず、また、遅過ぎず。上に書いた「満を持して」という表現がまさにぴったり。
内容を見れば最早言わずもがなですが、今回のエピソードは「ダイナ」第16話が元ネタ。
「怪獣」とその「在り方」に焦点を当てつつ、サワの恩師とカナタらGUTS-SELECTの仲間たちを巻き込んだドラマが展開されるわけですが、これまでのお話の中で地味ながら着実に積み重ねていた彼女の「怪獣研究室出身」という設定と、厳しくもあり優しく、なんだかんだでノリが良いという人柄(キャラクター)を最大限に活かして、不自然さのない丁寧なドラマと構成を見せてくれました。
主役回としては文句なしの、めちゃくちゃ完成度の高いお話に仕上がっていたんじゃないですかね、今回。
GUTSホークと合体したかのような戦い方を展開したデッカーや、空中でのタイプチェンジなどなど、戦闘パートでも見どころ満載でしたし、ドラマパートと合わせて非常によくできた面白いエピソードだったと思います。
唯一残念なところは、終盤シゲナガとのやり取りの際にほとんどサワの表情を映してくれなかった点ですかね。
シゲナガの背中を映すのも良いけど、必死に訴えるサワの表情をもうちょっと見せて欲しかったですね、個人的には。サワがあそこまで感情的になること自体が今までそんななかっただけに、なおさら。
まああえてそういう演出にしたのかもしれませんが。
そして今回から越知靖監督にバトンタッチ。
「Z」第16話「獅子の声」、17話「ベリアロク」を担当された方ですよねたしか。あとは…おっと、「トリガー」のメツオロチのお話も担当されていましたか。あの二部作もけっこう好きなんですよねぇ。
ニュージェネレーション・ネオフロンティアを生きる者たち
カナタ
「気になるものって言われてもなぁ」と、前回見せてくれたようなややのんびりとした表情を見せてくれつつも、サワの言葉を受けて気を引き締め直したシーンが印象的でした。
ホントに「おちゃらける」ことをしません。気の良いヤツではありますが、軽いヤツではないんですよね、カナタは。
イチカ(とソウマ)と共にサワの様子を見に行ったりもしてますし、溢れ出る人の好さがとどまるところを知りません。
また、個人的には「どうしたら良いと思いますか?」とストレートに意見を聞いたのも印象的です。
事態をして、迷っている人がいる。放っておけない人がいる。そんな人を前に、ただやみくもにがむしゃらに助けよう、力になろうとするのではなく、まずは話を聞いてみる。相手に寄り添ってみる。
何気ないシーンでしたが、今回の一件もまたカナタという人間の成長につながるような出来事だったのかなと感じます。
「答えを探すこと」の大切さを知ったケンゴとの出逢いを経た今だからこそ、なのかもしれませんが。
その後はちゃっかりサワとバディを組むかたちでシゲナガ先生と対峙。
どっからどう見てもサワとシゲナガ先生に正体を知られたように思うんですが、果たして…。
イチカ
カナタの手を引いてバタバタとサワの前に現れたシーンが印象的。「お疲れ様ですっ!」と声を掛ける表情がかわいらしいです。
お互いに照れ隠し合っているようにも見えましたが、まあ実際に、サワが心配というのはどちらかともなく言い出したことなのでしょう。
きっとソウマと3人で話をしながら、それぞれがポツンと言ったんだと思います。描かれていないだけで、飛行訓練のことを語り合った時のような場面が裏ではいつも繰り広げられているんでしょうね。
こんなことが自然と想像できる辺り、やっぱり「デッカー」のドラマは凄いというか、地盤がちゃんとしてるなぁと思います。
食堂(休憩スペース?)で4人で話していた際、ちゃんとソウマにはブラックらしき缶コーヒーを渡していたのが地味ながら良いですね。
ソウマ
「帰る前にトレーニングを」だなどと必死に理由をつけてサワの様子を見に来ていました。不器用か。
その後はカナタらと共にサワと4人で談笑兼作戦会議。
サワの話を聞きつつネオメガスの分析を行い、戦闘中の不審な挙動に見事気付き、事態打開のきっかけを作りました。「見つめる天才」の本領はここでも発揮されています。
イチカ共々、その後の活躍は終盤でのシゲナガ確保ぐらいのもんですが、作中の描写を見るに裏方として色々と動いていたようですね。
ムラホシ経由ででも、シゲナガ逮捕までの手続きやらTPU情報部への連絡やら、あれこれ動いていたと思われます。イチカと遅れて現場へやって来たのもそのためでしょう。
ちなみに、第6話で語られた糖質制限は継続的に行っているようです。
イチカからの缶コーヒーを手に取りちらっと見ていたのは、成分表示で無糖かどうかを確認していたのかな?
サワ
今回のメイン。我らが副隊長兼分析官兼操舵士です。
「デッカー / トリガー」世界で初めて確認された新種ネオメガスを前に、徹底的な調査に乗り出します。
怪獣研究室出身の血が騒いでいたのでしょうか、いつになく張り切っているように見えますね。
元々は怪獣を「斃す」ために研究を始めたとのことですが、その過程で、怪獣が現れる原因や背景を知り、ただ「斃す」ことに少なからず疑問を持つようになった様子。
さりとて「斃す」ことを一概に否定もできず、「共存」という大それたことも非現実的だということもわかっている。
また、仮に怪獣をコントロールできるようになったとしても、それを兵器として利用しようとする連中が必ず現れ、無駄な争いと悲劇が起こってしまう。
結局のところ、自分にできることをやり続け、答えを探し続けながら、できるだけ多くの命を助けることができるよう頑張っていくしかない。
カナタからの問いかけに対する「なんていうか、私は…」に続く彼女の考えとしては、だいたいこんな感じでしょうか。
狙ってか狙わずか、彼女もまたカナタと同様に「探し続ける」という答えを(一旦は)出したということになったわけですが、まあこれに関しても一朝一夕に答えが出るものではないですしね。
彼女の場合は、現状「災害」に近しい「怪獣」という存在が、「兵器」となっててしまうことをより危惧しているような感じも見受けられる気がしますね。
やはり「怪獣」を長年研究してきた彼女だからこそ、「怪獣」の脅威と恐ろしさを、よりいっそう客観視できるのかもしれません。
ところで、今回のお話の展開だとほぼ100%デッカーの正体に気付くように思うんですが、いかがでしょうか。
あの騒動の中で、カナタの身を案ずる描写がないというのはあまりにも不自然ですし…。
しかし同時にカナタのデッカーの関係性に気付いたような描写も明確に描かれたわけでもないですし…。
展開次第によっては、我夢と石室コマンダー、あるいはダイゴとイルマのような、変身者と上官の新たなドラマを描くことができる余地があるような、そんな漠然とした期待もほのかにあったりはするんですけどね。
次回以降の展開に注目です。
あと地味に射撃の腕前良すぎませんか。ちょっと意外。
ムラホシ
今回も安定の隊長ですね。前回ちょいと出張ったためか、今回は割に控えめです。
と言っても、根を詰めるサワに真っ先に声を掛けたり、シゲナガとサワの関係性を解説する役割を担ったりと要所要所で存在感は発揮しています。
また、次回以降メインとなる「新型」の話に触れたりと、伏線張りにもぬかりありません。できる男です。
まあ彼に関しては今後何かしらのドラマが展開されるのはほぼ確定なので、来たるその時を待つとしましょうか。
最近は「ウルトラマン」への意味深な表情も控えめですが。
ハネジロー
ムラホシからも「ハネジロー」と呼ばれ、すっかり愛称は定着しているようですね。
前回に引き続き「デッカーとしてのカナタ」の相棒ポジションをじわじわと確立しつつあります。妙な人間臭さというか、アツさも出てきたような。
今回はGUTSホークでデッカーとの見事な連携を披露。ドラマパートでの活躍が地味でも、こうして戦闘パートで活躍できるのが良いですね。
個人的にはもう少しGUTS-SELECTの面々との絡みが欲しいところではありますが。
アサカゲ
今回は名前のみの登場。まあレギュラーメンバーじゃないですし、次回以降の登場は確定しているので、特に心配にはなりませんね。
シゲナガ マキ
サワの恩師にして今回の黒幕。
いたちごっことも言える、人と怪獣の終わりなき戦いに終止符を打つべく、「怪獣の支配」を目論む研究者です。「ダイナ」でのオオトモ博士のポジションですね。
「怪獣」を「人」がコントロールすることで「怪獣の脅威」に備える、あるいは失くしてしまおうという考え方なわけですが、まあそれはもちろんそうですし、発想自体は的外れではないと思います。
「共存」が現実的ではない以上、「怪獣」との戦いは、たしかに彼女の言う通り「滅ぼす」か「支配する」かのどちらかになってしまうでしょうから。
ただ、そうなったら次は「人」による「怪獣」同士の戦争が起こりますよっていう話なんですよね、多分、サワの言わんとすることは。
「怪獣」を「兵器」としてコントロールして、現れる「怪獣」をどんどん斃していって、そして「怪獣」の脅威が消え去ったとしたら、手元に残った「兵器」としての「怪獣」を、人はどうするでしょうか。
想像するに難くない話ですよね。哀しいことですが。
おそらく、シゲナガは「人と怪獣の戦いを終わらせるため」にどうすれば良いかを考えていて、サワは「怪獣の脅威を終わらせるため」にどうすれば良いかを考えているのかなと思います。
シゲナガはあくまで「人と怪獣」を発想の出発点としているのに対して、サワは「怪獣そのもの」を発想の出発点としている。
だからこそ二人の意見はかみ合わないのかなと。
最終的にはサワ、デッカー、そしてTPUによりシゲナガの目論みは断たれるかたちとなりましたが、実際問題、ネオメガスをほぼ完全に制御できていたので研究自体は成功と言って差し支えない結末になったと思います。
「ダイナ」で後にオオトモ博士の助手ヤマザキが再登場したように、今回もまた後日談があるかもしれませんね。
クローン怪獣だなんて、おいし過ぎる要素ですし。
新創獣との戦い
ウルトラマンデッカー
今回は変身バンクがカット。テンポ的にも良い判断でした。
サワを手の平に乗せ登場し、ネオメガスを操るシゲナガと対になる演出がお見事です。
強敵ネオメガスに今回は苦戦しているシーンが多め。
両肩をホールドされながらも、振り払いつつ予備動作、からのネオメガスの腹に蹴りを入れてのセルジェント光線がめちゃくちゃカッコ良いです。
そこからのホークとの連携→空中でのストロングタイプへのチェンジ→燃ゆる拳の一撃→競り合い、からの根性の勝利までの流れは今まで一番熱く盛り上がる戦闘パートだったと思いますね。
今のところ、「デッカー」の中でダントツにお気に入りなシーンになりました。
ウルトラデュアルソードは今回良いとこなしでしたね。
手持ち武器としての最低限の活躍はしているものの、「これがなきゃ締まらない」感はありませんね。切り札感もそんなにありませんし。
どういうポジションの武器になっていくんでしょうかね。まあ今後の活躍次第ですけど。
創られた力
新創獣 ネオメガス
10年前に発見された怪獣と、他の様々な怪獣の細胞を融合させて創られた、言わば人造怪獣。元ネタはもちろん「ダイナ」のネオザルスでしょう。
登場当初はシゲナガの施したリミッターがかかった状態だったにも関わらず、のっけから地球怪獣のサドラとキングゲスラを打ち破り、さらにはデッカーを圧倒。
頑強で鋭い表皮も相まって、肉薄し展開される接近戦ではウルトラデュアルソードを容易く弾き飛ばして見せるほどの実力を持ちます。
また、口からは熱線を吐くことができ、リミッター解除後の威力はあのセルジェント光線をも上回るほど。
その後、ストロングタイプにチェンジし、ハネジローの駆るGUTSホークと連携したデッカー渾身の一撃を受けるも、肩に喰らいつき反撃し持ちこたえるなど恐ろしいまでのタフネスを発揮。
競り合いの末に惜しくも敗北してしまいましたが、圧倒的なまでの攻撃力と耐久力を見せてくれました。
スフィア関連を除いて、間違いなく「デッカー」史上屈指の強豪怪獣だったと言えるでしょう。
次回予告
さあて、いよいよ「アレ」の登場です。
もう何ていうか…、何から何まで嫌な予感しかしないんですけどね…。
大方の予想通りの展開となるか、あるいは「Z」終盤の展開と被ることを避けて捻りを効かせてくるのか…。
第1クール最終章になるわけですし、いずれにしても楽しみですね。
次回は第11話「機神出撃」です。
それではまた。