昨日財布を買い替えました、ARAIです。
普段から身につけているものを買い替える時はいつも、かなりうじうじと決断に時間が掛かってしまうクチですが、いざ買ってみると何だかんだで早く使いたいなとワクワクするもんですね。
それでは今日もいきましょう。「ウルトラQ 4K」第2話です。
ウルトラQ 第2話「五郎とゴロー」
孤独な青年と大猿の友情
なんだか「キング・コング」を思わせるようなお話でした。…と言っても、私自身は同作を見たことがないので「なんだかそれっぽいんじゃないか」ぐらいの感覚でしかなかったわけなんですけどね。
ただ、軽く調べてみただけでも、円谷英二監督が「キング・コング」にかなり衝撃と影響を受けられていたらしいということは充分にわかったので、そうして考えてみると、同作の影響を多分に受けたエピソードがこの「ウルトラQ」で制作されたということにもなるほど納得がいくというものです。
お話の内容としては、端的に言えばまさに上のタイトルの通り。作中でデスクが作成した記事の見出しを、今回はそのまま引用させていただきました。
言葉が不自由な青年「五郎」と、そんな五郎と仲良しの猿「ゴロー」を中心に巻き起こる騒動が描かれています。
最終的には、ゴローにとっても五郎にとっても、悪くはないであろう結末を迎えることとなりましたが、全編に渡って描かれている周囲からの五郎への言動は、視聴していて決して気分の良いものではありませんでしたね。制作当時の時代なども踏まえると、まあ、わからなくもないんですが、なんというか、今回もまた単に「特撮モノ」とは言えない、何とも言葉にできないザワザワとした感情を抱きました。
まあこういった話題はデリケートでセンシティブなものなので、あえてこの場でそう深掘りする気もないんですが、色々と考えさせられるような要素も多分に併せ持ったお話だったかなとは思いますね。見た者に、大なり小なりそうした気持ちや感情を抱かせるお話になっているなと。
本当に本当に、「ウルトラシリーズ」は奥が深いです。
今回のオープニングもまた、エピソード本編からの映像。やはりオープニング専用の映像はない様子ですね。毎回こんな感じのオープニングみたいです。
ゴメスの重厚感を意識したような前回と比べ、今回はゴローのシルエットを映し出した、やや疾走感を感じさせるような映像となっていました。冒頭の導入部分と合わせて、今回もまた我々視聴者を入口からグッと、一気にアンバランスな世界へと引き込んでくれるような仕上がりになっていますね。これから毎回、オープニングの映像と演出にも注目していきましょう。
そしてやはり4Kリマスターされた画質は非常に映えますね。ゴローの着ぐるみの体毛の質感や、その体毛にこぼれてしまったミルクなど、画を構成する要素一つ一つをきちんと楽しめるようになっているのも4Kリマスターならではと言えるかもしれません。モノクロなんてと決して侮れない映像美がたしかに存在しています。
アンバランスゾーンの住人たち
淳
今回は若干控えめ…だったように思います。が、五郎へリンチを加える村人らを一平と共に止めようとしたり、一方で五郎の窃盗を知るやぴしゃりと彼を咎めるなど、見せるところでは見せていますね。前回から今回とで、確実にキャラ立ちがなされています。
また、海外出張中の由利子から手紙を受け取っているなど、彼女との親交の深さもしっかり描かれていますね。というか、毎日新報自体と会社ぐるみでつうかあの仲なんでしょうか。
由利子
イーリヤン島へ取材へ出掛けているため前半は出番がありませんでしたが、帰国後の後半からは、取材で得た情報を基に状況打開のきっかけを作るという活躍を見せてくれます。デスクや星川航空らと協力してゴローをイーリヤン島へ輸送する際は、おそらく彼女が現地との調整役を担うこととなったのでしょう。
出張から帰国しても上司であるデスクへ挨拶をせずに、協力関係にあるとはいえ他社である星川航空へ先に顔を出すというなかなかびっくりな職務態度も見せましたが、あのデスクの様子と、メイン3人の関係性を見るに、それが許される信頼関係と、彼女自身のたしかな実績があってこそなのでしょう。
それにしても、帰国直後早々にまた取材へ赴くだなんて、相当タフですね彼女。
一平
由利子からの手紙でいじられてむくれるなど、愛すべき三枚目ぶりを今回も発揮。
その後は淳と共に、五郎へリンチを加える村人たちを制するなどしていましたが、やはり淳と同様に今回はやや控えめな印象ですね。
デスク
毎日新報のデスクで、由利子の上司に当たります。関さんというらしいです。今回の事態を収拾させたMVP。
海外出張中の由利子に代わり、淳、一平と共にゴローの取材へ向かい、上述タイトルを見出しにした記事を書くこととなります。ヘリを操縦する淳に「もっとゴローへ近づけ」と命じたり、書いた記事がウケたことで有頂天になるなど、なかなかに無茶でお調子者な面もあるようですが、一方で「イーリヤン島へゴローを送る」という由利子のアイデアから手早く計画を練り実行し、尚且つかかる費用を自社で負担するなど、豪胆な人情家の一面もあるようです。
ちなみに、本来デスクというのは記者ではなく、基本的には記事を書かないポジションのようなんですが、彼の場合は例外、というか彼自身が動かずにはいられないタイプなのでしょう。それか、単に毎日新報の人材が不足しているか…。そういえば、自身へ帰国挨拶に来なかった由利子に対しても特段気にしている様子もなかったので、そういったルールや慣習を、良くも悪くもあまり気にしない人なのかもしれませんね。
五郎
今回のキーパーソン。幼少期に両親を亡くし、野猿と共に育ったことから言葉が不自由で、周囲から「エテキチ」と呼ばれている青年です。
言葉を発することはかなり難しいようですが、普段は野猿観察研究所で使用人として働いていたらしいので、まったく言葉が理解できないというわけでもなさそうですね。と同時に、もちろん最低限の日常生活も問題なく送れていたものと思われます。
ただ、上述の「エテキチ」という呼び方であったり、作中での松崎や他の村人たちからの扱い、そして五郎自身を見る限り、人間関係はお世辞にもうまくいっているとは言えない状況だったようですね。というか、はっきり言って差別、あるいはそれに近しい扱いを受けていたと言っても過言ではないと思います。制作当時の時代もあることとは思いますが、適切ではない表現や言葉を浴びせられているシーンもありました。
村人たちにとって、五郎は「理解できない存在」、すなわち「異質な存在」として扱われていました。そして、五郎と心を通わせているゴローもまた、その巨大な体躯ゆえ、人々からは「怪獣」「大猿」、すなわち「異質な存在」と認識されることとなります。
人は「理解できない存在」を拒絶し、「異質な存在」に恐怖する。その最たるものが「怪獣」であり、また、「怪獣」に対する人々の意識なのかもしれません。
こうして考えてみると、人々から「理解できない存在」として認識されていた五郎もまた、言ってしまえば「怪獣」と同じ立ち位置にいるのかもしれません。
ただ、それはあくまで今回の村人たちといった、おおよその人々から見た場合の五郎であって、五郎自身から見た場合はどうなのでしょうか。
五郎からすれば、自身に対して暴力を振るう人々はまず間違いなく「恐怖」そのものであり、同時に、仲間であるゴローを養う自分を阻む「理解できない存在」だったのではないでしょうか。自身を蔑み、時には乱暴に扱う周囲の人々が、五郎にとっては「怪獣」と同じ立ち位置にいたことでしょう。
つまり両者は、互いに決して理解し合えることのない立ち位置にいることになります。
そして今回その両者が、ゴローが巨大化したことをきっかけに、このアンバランスゾーンを舞台に大きく交わってしまった。
理解し合えない両者が交わったところで、生まれるのは摩擦、あるいは衝突のみ。
その交わりの着地点、妥協点として、由利子とデスクによるイーリヤン島への移住計画は最も現実的であり、理想的なものと言えるでしょう。
しかしながら、五郎がそのことを理解している様子は、少なくとも作中では描かれることはありませんでした。
おそらくデスクら仕掛け人としても、計画の意図を伝えようとはしたんでしょうが、伝わらなかったか、あるいは伝わらないと判断されたかのどちらでしょうね。
何も知らず嬉々としてミルクを届けた途端、急に気を失ったかのように倒れたゴローを見て、彼を何を想い叫んだのでしょうか。
事態収束後、イーリヤン島でゴローと共に穏やかな生活が送れることを願ってやみません。
小野
ゲストその1。野猿観察研究所の所員です。
真面目というか冷静というか何というか。五郎に対する当たりも良く、好印象でした。
松崎
ゲストその2。小野の同僚ですかね。
小野とは対照的に五郎に辛く当たるシーンがありました。悪い人ではなさそうなんですけどね。
ミルク配達のおじさん
ゲストその3。森下さんというらしいです。
かのイデ隊員を演じられた故・二瓶正也さんですね。脇役でしたが、しっかり気付きましたよ。
大きな友人
巨大猿 ゴロー
五郎と仲良しのクモザルが青葉くるみを大量に食べた結果、甲状腺ホルモンのバランスが崩れ巨大化してしまった今回の「怪獣」です。あくまで「巨大化」しているだけであり、中身は元々のクモザルゴローのまま。いわゆる「凶暴化」や「邪悪化」はしていません。
いつも通りに五郎と過ごしていましたが、窃盗を犯し逮捕された五郎を追って市街へ進出。意図せずに街を破壊し、パニックに陥れてしまいます。
最終的には由利子とデスクの機転により、眠り薬入りのミルクを飲んでゴートゥースリープ。毎日新報と星川航空によりイーリヤン島へ移住することとなりました。
拾い上げた物を見つめる様子や眠っている時のお腹を掻く仕草など、猿らしい演技がお見事でした。
次回に向けて
次回は第3話「宇宙からの贈りもの」です。
それではまた。