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【感想】ウルトラセブン 第47話「あなたはだぁれ?」

今日はお昼の更新になってしまいました。ARAIです。

それでは今日もいきましょうか。「セブン4K」第47話です。

 

ウルトラセブン 第47話「あなたはだぁれ?」

夜で魅せる ~「当たり前」から始まる恐怖~

ある夜家に帰ると誰も自分のことを知らなかった、という恐ろしい導入から始まるお話。

相も変わらずやってくれます。この何とも言えない奇妙で不気味な感じ。これぞ「セブン」な、あまりにも無機質で、あまりにも冷たく、あまりにも怪奇な、そんな演出でバッチリと心を掴んでくれます。本当に「セブン」は夜で魅せてくれるなぁ。

 

酔っているとはいえ、深夜帰りで若干の後ろめたさもあるとはいえ、じゃあ「本当に自分の奥さんと言い切れるのか」と問われ、思わず言葉に窮してしまう佐藤。あまりにも理不尽で、あまりにも非現実的で、どう考えてもこの状況はおかしいのだけれども、しかし自分以外のすべてに「そうだ」と言われてしまうと、自分でさえも信じられなくなる。自分がおかしいのではないかと疑ってしまう。

冒頭から始まるこの一連の流れは、物語の導入としての見事な「不気味さ」を演出すると同時に、実生活の中で誰しもが持つ「当たり前」という感覚への恐怖を駆り立たせているように思えました。

言うならば、「当たり前の"脆さ"」とでも表現できましょうか。

普段自分が持っている、感じている、抱いている、諸々の「当たり前」なものたち。そんなものは、自分が「そう思っているだけ」で、本当は違うのかもしれない。自分以外の誰かが、みんなが、ひとたび否定するだけでも簡単に崩れ去ってしまうのかもしれない。そんな、「当たり前」が孕む一抹ながらも絶対的な恐怖のようなものを、私は感じました。

 

掴みバッチリなドラマパートの一方で、等身大宇宙人とダンらの格闘戦があったり、久々となるホーク3号の出撃に、夜の団地を舞台に繰り広げられる1対3の戦いにと、戦闘パートもなかなかに見応えがありました。

総じて、見どころの多いお話に仕上がっていたんじゃないでしょうかね。最終話直前のエピソードらしからぬ雰囲気ではあるのですが、まあ昔の作品なんてのはだいたいそんなものですし。いやそれにしても残り2話だなんて…。信じられないんだぜ…。

 

夜に潜む ~集団宇宙人~

登場したのは集団宇宙人フック星人。なんて肩書だ…。

ひそかに地球へ侵入し、夜ごと侵略計画を遂行。ふくろう団地の地下に建設した侵略基地を展開し、母星から少しずつ確実に仲間や物資を呼び寄せていました。

作中に登場したのは3~5体といったところですが、偽装に使われたふくろう団地は住民15,000人にも及ぶマンモス団地。ゆえに、単純に考えるならば、ゆうに10,000体を超えるフック星人がすでに地球へ侵入していたことになります。すげえなフック星人。これまで「セブン」に登場した数多の宇宙人たちでも、ここまで大規模な数の侵入を成功させた種族はいません。

 

夜になると地下の侵略基地と地上のふくろう団地を入れ替え、その間住民たちは催眠状態。そして朝になるとまた地上と地下を入れ替える。大胆なの緻密なのかよくわからん計画ではありますが、相当な技術力と科学力が必要なのはたしかなわけですし、加えて一般人15,000人を同時に催眠状態にできる能力と変身能力。これらを考慮するとなるほどやはりおおよその侵略者どもと同様に、一切の油断ならない恐ろしい宇宙人であると言えますね。

 

さりとてその計画からは、正面切っての戦いには自信がないという種族性も垣間見ることができます。

実際、人間に変身していたとはいえ、ダンはともかくとしても、地球人であるフルハシ隊員を相手に手間取っている描写がありました。アクロバティックな動きが多かったので身体能力自体は高いようですが、単純な戦闘力で考えると人類にもまだまだ勝ちの目はありそうですね。まあだからこそ、10,000体を超える進軍を秘密裏に行ったのでしょうけど。

 

いやしかし、それならその科学力をもって強力な兵器を地球にブチ込めば良かったのでは…?同胞のみならず武器も地球へ搬入していたようですし、非武装がポリシーというわけでもなさそうなのに。

うーん、まあ考えられるとするならば、戦闘力に特化した種族でもなく、なおかつ、文明レベルとしても、持ちうるその科学力をそのまま強力な兵器に転用するまでには至らなかった。だから、隠密と数の利を活かした侵略計画を立てたと。多少無理やりに解釈するとこんな感じですかね。

 

さて、本編では深夜帰りの佐藤を知らぬ存ぜぬで追い返し、複数で拉致。嗅ぎつけたダンとフルハシ隊員を奇襲するなど、隠密の侵略者ぶりをいかんなく発揮。地下基地にてダンとフルハシ隊員に正体と目的を明かし、始末しようとしますがセブンの登場を許してしまいます。

その後、3体がかりで巨大化してセブンに挑みつつ、円盤群はウルトラ警備隊と対決しますが、あえなく敗北。

地球へ侵入していた数が数なので、もしかしたら残党がいるかもしれませんが、諸々と明るみになってしまったので、地球からの撤退を選ぶのも時間の問題でしょう。

 

夜に舞う ~特殊警察、再び~

今回のウルトラ警備隊は主にダンとフルハシ隊員が中心となって行動していました。

佐藤からの連絡を受け、ふくろう団地の調査を開始。住民に聞き込みをし、蒸発した佐藤の所在を捜査する姿はまさに特殊警察そのもの。さながら失踪事件の捜査のような。

工場の作業員に扮し団地を警戒する姿もまさしく潜入捜査のそれ。しかし前回といい今回といい、フルハシ隊員は作業員の姿がよく似合っています。

 

フック星人とアクロバティックな等身大戦闘を繰り広げた後、地下基地を発見し潜入。佐藤の発見に成功しますが、フック星人の登場を受けフルハシ隊員の活躍はここで終了。

キリヤマ隊長以下、他の隊員たちが久方ぶりに登場したホーク3号とお馴染みのホーク1号を駆り、フック星人の円盤群と交戦します。

 

演出的に若干のわかりづらさもありましたが、夜空を舞う華麗な空中戦を展開し、円盤群を見事に撃破。

「地球を護る警備隊」の面目躍如、といったところですかね。

 

それにしてもフルハシ隊員はいつになったら通報をまともに受けるんでしょうか。特段の改善が見られないまま、ついに最終回直前に来てしまっています(笑)。

 

夜に煌めく ~団地の戦い~

真夜中の団地を舞台に展開される今回の戦闘パート。夜の闇の中での戦い、と言えば個人的には第16話第29話辺りがベストバウトとして思い浮かぶんですが、今回もなかなかに見応えはありましたね。

 

やはり、闇の中での真紅の煌めきはよく映えます。

 

3体がかりのフック星人のアクロバティックな動きに攪乱され、膝をついてしまいますが、どうということはありません。気合いで持ち直し、起死回生のボディスパークで3体もろとも圧倒。

ひるんだところへすかさずトドメのスリーワイドショットを放ち、1対3という不利な戦況にも関わらず、見事に勝利を収めました。

 

スリーワイドショットの演出がやや迫力不足だったのが少し残念。

 

その他 ~次回に向けて~

ついに来てしまいました。真紅のファイター、いよいよ最終章へ突入です。

 

次回は第48話「史上最大の侵略 前編」です。

 

それではまた。