やっぱ、シンプル。 ~ARAIの雑日記~

好きなものについて色々と書いていくブログ

【感想】ウルトラセブン 第13話「V3から来た男」

今朝起きたらベランダに鳥の羽のようなものが落ちていました。

まさかまたハトが巣を作ろうとしているんじゃねえかと戦々恐々としているARAIです。

 

さあ、今回でいよいよ第1クールのラストエピソードになりますかね。

「セブン4K」第13話です。

 

ウルトラセブン 第13話「V3から来た男」

もう一人の「隊長」 ~V3から来た男が深める「防衛軍のドラマ」~

突破される宇宙ステーション、登場するもう一人の「隊長」、監禁されるアマギ隊員とフルハシ隊員、ホークと円盤との激闘、セブンの技をことごとく無効化するアイロス星人、そして、満を持して放たれるワイドショット―。

第1クールラストのエピソードを飾るに相応しい、実に見どころの多いお話でした。ドラマパートも戦闘パートも、どちらも非常に面白かったです。

 

特に印象深いのはやはりクラタ隊長のキャラクターと存在感、そしてセブンとアイロス星人との戦闘。

 

後のエピソードにも度々登場するクラタ隊長は実に良いキャラクターしてますねホント。人気があるというのも頷けます。キリヤマ隊長とはまた違った味を持つ「隊長」です。まさに「もう一人の隊長」。

 

今回はマナベ参謀も登場しましたが、防衛軍のキャラがこうして不定期にちょくちょく登場するというのはやはり良いですね。お話的にはクラタ隊長は初登場なんですが、準レギュラーとして登場済みのマナベ参謀とのああいうやり取りを見せることで色々なドラマを想像できるようにしているのは、何というか、うまいなと思いますね。世界観が一気に深まるというか。

一方で、第2話「緑の恐怖」の石黒隊員や第7話「宇宙囚人303」のミズノ隊員など、そのエピソード限りのキャラが多数登場するのもまたうまいですよね。

仕事内容によって、顔なじみと現場で一緒になることもあれば、初めて会う人と一緒に仕事をすることもある、という現実では割とざらにあるシチュエーションですが、これがまた良い感じに「地球を防衛する」という仕事のリアルさを出してくれているような気がします。ウルトラ警備隊の他の一般隊員を多く映してくれているのもまた然り。

 

こういう部分の積み重ねが、「セブン」という作品が今なお名作と謳われる要因の一つだったりするのかな、とも思ったりしました。

 

さあ、それでは例によって各項目ごとに見ていきましょうか。

 

卑劣な強敵 ~宇宙鳥人

登場したのは宇宙鳥人アイロス星人。ややずんぐりとした胴体に大きめの頭部、そして肩書通り鳥に似た翼を持つ今回の敵です。

 

宇宙ステーションV3所属のクラタ隊長率いるステーションホーク部隊を突破し地球へ飛来したは良いものの、燃料切れで不時着。

奇襲に近いかたちでウルトラホークを攻撃し、フルハシ隊員とアマギ隊員を拉致。彼らを使って燃料を奪おうと画策したは良いもののダンに見抜かれ失敗。

その後燃料を手に入れるべく、2人の解放を条件にキリヤマ隊長と取引を行うは良いものの、燃料を手に入れるや約束を反故にし攻撃を開始。

 

こうして書くと、なんだか小物で卑劣な感じがしますね。まあやったことをホントに文字にしてみただけなんですが。

 

さて、そんなアイロス星人ですが、現時点における登場怪獣の中でもトップクラスの強さを誇ります。

あのセブンと近接戦闘でほぼ互角に渡り合い、自身も軽快なステップを見せつつ光弾で牽制。スキをつかれ放たれたエメリウム光線素手で防ぎ無効化し、その後アイスラッガーさえもはじき返す芸当を見せました。

 

最終的には、初披露となったワイドショットをまともに受け爆散。敗北することとなったわけですが、ここで注目したいのは、セブンがアイスラッガーの構えをとった瞬間、すでにこのアイロス星人がはじき返すための回転運動を開始していた点。

おそらくコイツは、以前から地球を護り戦うセブンに目をつけ、技や能力を分析していたのでしょう。あの真紅のファイターといつ相まみえることになっても万全に対抗できるように。

事実、第1話「姿なき挑戦者」から前回に至るまでのおおよその戦いで、巨大等身大を問わず、セブンはエメリウム光線アイスラッガーを頻繁に使っていました。分析するには充分なほどに。

そしてその分析が功を奏し、今回の戦いはかなり有利に進みました。あのセブンを相手にここまで立ち回ることができた存在は稀有でしょう。

奥の手であるワイドショットを使わせたことから考えても、やはりこのアイロス星人は相当なまでに強く、厄介な相手だったと言えると思います。

しかもセブンがワイドショットの構えを見せた瞬間にも光弾で牽制するなどしていましたからね。戦闘のセンスもかなり高い方なんじゃないですかね。

 

いやまあ、だからこそ、上で書いたみたいな、奇襲するとか約束破るとか、して欲しくなかったような気もするんですよね。あんた、まともに戦っても充分強かったんだからと。そんな卑劣な小物っぽいやり方をするには、あんたは強過ぎるよと。

 

ところで、このアイロス星人が、実はアイロス星人ではないとする説があるようですね。

アイロス星人とされているセブンと戦った今回のこの怪獣はあくまで眷属・配下の怪獣でありアイロス星人そのものではない。アイロス星人という個体は劇中には登場しておらず、ずっと円盤に乗っていた未知の宇宙人であると。

そういう説なわけですが、個人的にはその説に賛成。あの登場の仕方から見て、あれはアイロス星人の操る生体兵器などの一種でしょう。上述のセブン分析データを埋め込むなり、学習させるなりして調整を施した対セブン用生体兵器、といったところですかね。

 

地球を護る男たち ~キリヤマとクラタ~

今回のウルトラ警備隊、ひいては地球防衛軍に関しては、やはりクラタ隊長とキリヤマ隊長を中心に展開されるドラマパートが最大の見どころでしょう。

 

「隊長」という同じ「重み」を背負いながらも、違う「色」を持つ2人。

さりとて水と油にあらず、戦友として親友として、時にぶつかり合いながらも、ひとたび並び立てばその力に及ぶ者あらず。

序盤の再会から中盤の食い違い、そして終盤の共闘と、それぞれの台詞や表情は、2人の関係性やこれまでのドラマなどを感じさせるには充分なものでした。きっと言葉では言い表せないほどの強い信頼関係が2人の間にはあるのだなと。

 

あれくらいの年齢の方たちが、あれほどまでの関係性や信頼性を築くことって、すごく素敵なことだと思うんですよね。だからこそ余計に、見ていて個人的にグッと来たというか、シンプルに「カッコ良いな」と感じました。

 

あとはクラタ隊長に鍵を渡すマナベ参謀だったり、ダンやクラタ隊長に穏やかなアシストパスをするソガ隊員だったりと、やはりクラタ隊長絡みのドラマが印象に残っていますね。

 

後半に展開されるウルトラホーク1号と3号、クラタ隊長とキリヤマ隊長のコンビネーション・ドッグファイトは言わずもがな、尺も充分、迫力も充分で、合間に挿入されるダンとソガ隊員の奮闘からセブン登場、フルハシ隊員とアマギ隊員の救出、アイロス星人との戦いも相まって非常に熱く、盛り上がるシーンでしたね。

 

やっぱりどの防衛チームも隊長の腕前はすごいんですな…。

 

そういえば、今回もアンヌ隊員がいませんでした。平時はメディカルセンター勤務らしいので、そこまで不自然さはありませんね。いてくれた方がもちろん嬉しいですが。

 

鳥人との戦い ~ワイドショット、煌めくとき~

今回のセブンは、前回のナース戦に続き苦戦の様相を呈していました。

ただ前回は目を回された後に締め付けられるなど物理的に苦戦させめられたのに対し、今回はあくまで戦術的に苦戦させられたと言った方が良いかもしれません。

と言っても、まあセブンの様子を見るにそこまで切迫した感じはなかったですし、流れ的には「接近戦もやりおる」→「エメリウム光線も防ぎおる」→「アイスラッガーも防ぎおる」→「ではワイドショットはどうだ」というような、冷静さをベースに手を変え品を変え戦術を繰り出していったような印象でしたかね。本当の意味でセブンが「追い詰められた」わけではない感じ。

 

約1クール、溜めに溜めて、満を持してようやく披露されたワイドショット。それを使うに相応しい状況と相手だったように思えますが、見ていて「おお、ついに来たか!」とテンションが上がりました。セブンと言えばアイスラッガー、みたいなところはあるんですが、個人的にはワイドショットも捨てがたいんですよね。なんせあのL字光線の元祖なわけですから。

 

一方で、「ワイドショットを出すまでしないと斃すことのできない」存在が確実に出現してしまっているという点も無視できないところ。

これについては今後、第2、第3クールと物語が展開していく中でより深く語る時が来ると思いますが、第1クール終了時点のこのタイミングでワイドショットが披露されたことには、何か大きな意味があるのではないかと考えてしまいます。

 

その他 ~次回に向けて~

さあ、次回はいよいよ「ヤツ」ですね。

「ヤツ」ですよ、「ヤツ」。不気味な黄金色が、心を持たない鋼の塊が、我らが真紅のファイターの前に立ちはだかります。

 

次回は第14話「ウルトラ警備隊 西へ 前編」です。

 

それではまた。

 

 

V3から来た男

V3から来た男

  • Kôji Moritsugu
Amazon